医療機器の製造・輸入について
以下は「医療機器」を製造又は輸入して、日本市場に出荷する際に検討するべき事項の概要です。
なお、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)及び、主な厚生労働省通知は次のWEBページで閲覧できます。
[厚生労働省法令等データベースサービス]
[(pmda)各種関連通知]
1 医療機器であることの確認(該当性)
検討している製品が「医療機器」なのか否かについては、医薬品医療機器等法第2条第4項の(定義)を基に判断されます。この医療機器該当性は、その訴求事項(宣伝、広告)も大きな判断材料となりますので、製品パッケージやWEBサイト等での具体的な広告内容と併せて、薬事監視指導業務を担当する都道府県薬務課に相談してください(プログラムの医療機器該当性の相談については、厚生労働省監視指導・麻薬対策課が担当します)。
例 東京都の場合(福祉保健局健康安全部薬務課監視指導担当)
[広告・表示の相談窓口について(都内事業者の方)]
2 各種相談・問合せ先
医療機器の規制に関係する部署は以下のとおりです。
2-1 都道府県庁薬務担当課
(保健所が窓口となっている場所もあり、ホームページで確認してください)。
医療機器について、都道府県が取り扱う主な許可等は以下のとおりです。
・医療機器製造販売業許可
・医療機器製造業登録(国内製造所)
・医療機器修理業許可
・高度管理医療機器等販売業許可
・管理医療機器販売業届出
医薬品医療機器等法の薬事監視指導業務については都道府県薬務課に相談してください
・上記の許可等の管理業務
・医療機器該当性
・広告規制
・法定表示
2-2 医薬品医療機器総合機構(pmda)
医療機器について、pmdaが取扱う主な申請等は以下のとおりです。
・医療機器製造販売承認申請
・医療機器製造販売届出
・QMS適合性調査申請
・医療機器外国製造業者登録申請
・輸出用医療機器製造等届
医薬品医療機器総合機構の実施する相談業務は次のとおりです。
[(pmda)医療機器・体外診断用医薬品の相談業務について]
検討中の製品の海外や日本での類似品の状況(医療機器か否か・一般的名称等)についての調査や、都道府県薬務課に問い合わせるなどして、「医療機器」であると判断した場合には、実施要綱を確認の上「全般相談」を利用すると良いと思われます。
[(pmda)全般相談]
医療機器プログラムについては、以下の専門相談が新設されていますので、該当する場合は、こちらを利用してください。
[(pmda)SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)]
登録認証機関に認証基準該当性を相談したところ、「判断困難」とされたのであれば「認証基準該当性簡易相談」という相談区分があります。
[(pmda)簡易相談]
全ての医療機器が対象となるわけではありませんが、大学、研究機関、ベンチャー企業向けには、次の相談もあります。
[(pmda)RS総合相談・RS戦略相談]
2-3 登録認証機関
認証基準が定められた(高度管理・管理)医療機器は、大臣承認ではなく登録認証機関による「製造販売認証」を受けなければなりません。製造販売認証申請やそれに伴うQMS適合性調査申請については、登録認証機関に相談してください。
[(厚生労働省)登録認証機関制度について]
2-4 (厚生労働省)(地方)厚生局
輸入する医療機器の通関手続きは、厚労省が発出した「通関取扱要領」により税関が実務を行っていますが、医薬品医療機器等法の輸入監視業務については、厚生局にご確認ください。
[医薬品等の輸入監視等について(例 関東信越厚生局)]
2-5 厚生労働省
医薬食品局
医療機器審査管理課
安全対策課
監視指導・麻薬対策課
医政局
経済課
3 医療機器の分類
医療機器には4千種類以上の「一般的名称」が告示され、リスクに応じてクラスⅠ~Ⅳに分類されています。医薬品医療機器等法により、クラスⅣとⅢは「高度管理医療機器」、クラスⅡは「管理医療機器」、クラスⅠを「一般医療機器」として、その種類に応じた規制が行われています(製造販売業許可の種類、品質管理方法等が異なります)。
また、「高度管理医療機器」「管理医療機器」は、製品ごとに「製造販売承認」(製品により「製造販売認証」)を受けなければなりませんし、「一般医療機器」については製品ごとに「製造販売届」を行うことが必要です。
これ以外に「特定保守管理医療機器」か否かという分類もあり、特に製品表示、販売・貸与や修理等での取扱いが異なってきます。
医療機器の「一般的名称」は以下のWEBページで調べることができます。
[(pmda)医療機器等基準関連情報]
●医療機器 > 基準等情報 > 一般的名称(検索)
仮に、一般的名称(検索)画面右下【詳細検索】>■類別にて「器77 バイブレーター」「器78 家庭用電気治療器」「器12 理学診療用器具」を入力>検索
と入力すると、この類別に含まれる多数の一般的名称が検索されますので「定義」と合っているか確認してください。
例
・「家庭用電気マッサージ器」クラスⅡ(管理医療機器)認証基準あり
・「振動ヘッド付電動式マッサージ器」クラスⅡ(管理医療機器) 特定保守管理医療機器
・「温熱・電気マッサージ組合せ家庭用医療機器」クラスⅡ(管理医療機器)認証基準あり
他多数
一般的名称にて検索することにより、他社が掲載している添付文書を参照できます。
[(pmda)医療機器 情報検索]
複数の使用目的があるために別の類別に分類されている場合もあり、貴社の製品は、どの一般的名称が適切なのかは、「一般的名称定義」や日本市場で流通している類似製品を参照して(使用目的、性能及び安全性に関する規格、使用方法等について)比較検討することが必要です。
類似品が無い、見つからない場合は、リスク評価(クラスⅠ~Ⅳ)されていない「新医療機器」の可能性もあります。
「新医療機器」とは、既承認医療機器と構造、使用方法、効果又は性能が明らかに異なる医療機器。
「後発医療機器」とは、既承認医療機器と構造、使用方法、効果及び性能が実質的に同等であるもの。
「改良医療機器」とは、「新医療機器」又は「後発医療機器」のいずれにも該当しないもの。
4 医療機器製造販売業許可
医療機器を日本市場に出荷する法人(又は個人)には、医療機器製造販売業許可が必要で、取り扱う医療機器の種類に応じて、必要となる許可の種類が異なります。
製造管理又は品質管理に係る業務(QMS)を行う体制や製造販売後安全管理の方法(GVP)が、厚生労働省令で定める基準に適合していなければなりません。
許可の種類(製造販売できる医療機器の種類)
・第一種医療機器製造販売業許可(高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器)
・第二種医療機器製造販売業許可(管理医療機器、一般医療機器)
・第三種医療機器製造販売業許可(一般医療機器)
★製造販売業許可が無ければ、製品ごとの製造販売承認等を受けることはできません。
★上記QMS省令やGVP省令に適合させるためには、「医療機器総括製造販売責任者」「国内品質業務運営責任者」「安全管理責任者」を任命するなど、ハードルは高いものとなっています。
★製造販売業許可申請に先立ち、厚生労働省から業者コードの付番を受けてください(申請者等の整理番号です登録番号ではありません)。
[令和3年4月26日薬生薬審発0426第6号「医薬品等の製造業許可事務等の取扱いについて」]
[別紙1]業者コード登録票(e-Gov電子申請 又は 厚生労働省医療機器審査管理課へFAX:03-3597-0332 にて申し込んでください。)
5 医療機器製造業登録
医療機器の「設計」、「主たる組立て」、「滅菌」、「国内における最終製品の保管」の各工程を行う製造所は医療機器製造業登録が必要です。
★例えば外国製造所A(中国)で「設計」及び「主たる組立て」「滅菌」をし、国内製造所B(日本)で、「国内における最終製品の保管」の各工程を行うのなら、外国A(中国)及び国内B製造所の登録が必要ということになります。
医療機器プログラムの場合は「主たる組立て」については登録不要です。
一般医療機器の場合は「設計」については登録不要です。
★製造業者登録申請に先立ち、厚生労働省から業者コードの付番を受けてください(申請者等の整理番号です登録番号ではありません)。
[令和3年4月26日薬生薬審発0426第6号「医薬品等の製造業許可事務等の取扱いについて」]
[別紙1]業者コード登録票(e-Gov電子申請 又は 厚生労働省医療機器審査管理課へFAX:03-3597-0332 にて申し込んでください。)
5-1 国内製造所
製造所を開設する法人(又は個人)が、製造所所在地の都道府県知事に登録申請します。
5-2 外国製造所
製造所を開設する海外法人(又は個人)が、厚生労働大臣に登録申請します。申請書提出先は医薬品医療機器総合機構です。
★製造業登録申請者は各製造所を開設する法人(又は個人)ですが、外国製造業者登録に関する各種手続きは、「医療機器製造販売業者」を通じて行ってください。
[(pmda)医療機器等外国製造業者の登録申請について]
(製造所責任者)履歴書の例
平成18年7月27日事務連絡「医療機器及び体外診断用医薬品に関する外国製造業者の認定の申請に添付するべき資料に関するQ&A(その2)について」
★外国製造業登録申請事務手続きを「医療機器製造販売業者」以外の者が代行する際には、①外国申請者作成の代行者への委任状、及び②代行者作成の製造販売業者が代行しない理由書を登録申請書に添付してください。(業者コード登録時には不要です)
6 製造販売承認、製造販売認証、製造販売届
高度管理医療機器又は管理医療機器を製造販売するためには、品目ごとに厚生労働大臣の「医療機器製造販売承認」を受けなければなりません。
ただし、認証基準が定められている高度管理医療機器又は管理医療機器については、厚生労働大臣の登録を受けた登録認証機関の「医療機器製造販売認証」を受けなければなりません。
・製造管理又は品質管理の方法が「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(QMS省令)に適合していることが必要です。
・承認等申請では、添付資料が厚生労働省令で定める基準に従って収集され、かつ、作成されたものであることの調査も併せて行われます。
★医療機器製造販売承認(認証)は、製造販売業者が申請します。外国の会社が申請する方法もありますが、その際は日本国内の製造販売業者を選任する必要があります。
一般医療機器の場合は承認や認証は不要ですが、「医療機器製造販売届」を提出する必要があります。
基本要件基準(法律第41条第3項)に適合していない医療機器は、販売し、貸与し、授与し、若しくは販売、貸与若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列し、又は医療機器プログラムにあつては電気通信回線を通じて提供してはならないとされています(法65条)。
・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」平成17年厚生労働省告示第122号(基本要件基準)
6-1 認証基準が定められていない(高度管理医療機器・管理医療機器)
厚生労働大臣の承認で、申請先は医薬品医療機器総合機構です。
・医療機器製造販売承認申請
[(pmda)大臣承認について]
[(pmda)医療機器の信頼性保証業務]
・医療機器適合性調査申請(QMS省令)
[(pmda)QMS適合性調査業務]
医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)
6-2 認証基準が定められている(高度管理医療機器・管理医療機器)
医療機器製造販売認証の申請先は各登録認証機関です。
[(厚生労働省)登録認証機関制度について]
・医療機器製造販売認証申請
・医療機器適合性調査申請(QMS省令)
6-3 一般医療機器
・医療機器製造販売届書
医療機器製造販売業者が、あらかじめ品目ごとに医薬品医療機器総合機構に届出します。
注意
一般的名称の定義の範囲内のものであっても、既存の医療機器と構造、使用方法、効果、性能等が明らかに異なるもの(新医療機器)に関しては、製造販売承認申請が必要です。
[(pmda)医療機器の製造販売届書を作成する際の主な注意点]
7 費用・審査等期間
7-1 費用
7-1-1 Pmdaの審査・調査手数料
機構が実施する承認審査、(承認申請添付資料)適合性調査、QMS適合性調査等の手数料を指定口座に振込し、銀行受取書写しと調査等申請書を提出してください。
[(pmda)機構あて調査等申請書]
[審査等手数料・対面助言等の手数料について]
7-1-2 厚生労働省の手数料
医療機器製造販売承認申請及び医療機器外国製造業者登録申請については、厚生労働省手数料表を確認してください。
承認申請の場合は正本に収入印紙での納付が必要です(pmdaへの振り込みではありません)。
外国製造業者(新規)登録申請の場合は、厚生労働省手数料9万円を上記WEBページ6(2)の登録免許税として納付してください(収入印紙ではありません)。
7-1-3 その他の手数料
医療機器製造販売業許可申請、(国内)医療機器製造業登録申請は、申請先都道府県薬務担当課にお問合せください。
医療機器製造販売認証申請については各登録認証機関にお問合せください。
7-2 承認審査等の期間
医療機器製造販売承認申請については次の資料を参照してください。
[(pmda)令和5年度計画]<医療機器審査関係>
上記ファイルが閲覧できない場合は、こちらから年度計画を確認してください https://www.pmda.go.jp/about-pmda/info-about-pmda/0023.html
認証基準が定められている高度管理医療機器や管理医療機器については、各登録認証機関にお問合せください。
★医療機器外国製造業者登録については1.5月程度で登録されている事例が多いようです。
8 添付文書(注意事項等情報の公表)
令和3年8月から、これまで製品と一緒に同梱されていた紙の添付文書は原則として廃止され、電子的な方法で閲覧することが基本となりました。(電子化については例外があります)
[(pmda)添付文書の電子化]
9 医療機器の販売業・貸与業、医療機器修理業
医療機器製造販売業者から製品を仕入れて卸売又は小売、貸与、修理するための許可等は以下のとおりです。
9-1 医療機器の販売業・貸与業
(注意 製造販売業許可とは異なります)
業として、高度管理医療機器等を販売し、授与し、若しくは貸与し、若しくは販売、授与若しくは貸与の目的で陳列等するためには許可等が必要です。
許可等の種類/取扱える医療機器
・高度管理医療機器等販売業・貸与業許可/高度管理医療機器・管理医療機器・一般医療機器
・管理医療機器販売業・貸与業届/管理医療機器(除く特定保守管理医療機器)・一般医療機器(除く特定保守管理医療機器)
注意
・一般医療機器(除く特定保守管理医療機器)の販売・貸与は許可・届は不要ですが、品質の確保等の順守事項があります。
9-2 医療機器修理業許可
医療機器の修理業の許可を受けた者でなければ、業として、医療機器の修理をしてはならないとされているため、修理が必要な製品については御注意ください(一部の医療機器製造業者には特例が定められています)。
10 押印の取扱い・保険
10-1 押印(署名)
各種申請書・届書への押印(署名)は不要となりました。(一部例外あり)
[PMDAにおける押印の取扱いについて]
10-2 保険
保険については下記WEBページを御確認ください。
[(厚生労働省)医薬品・医療機器産業の振興について](医療機器の保険適用に関するガイドブック参照)
11 法定表示・広告
医薬品医療機器等法にて表示しなければならない事項が定められています。また、広告にも制限があります。
法律による定めと、他社製品の表示や広告を確認しつつ、具体的な案文を作成して都道府県薬務担当課に御相談ください。
[(厚生労働省)医薬品等の広告規制について]
東京都内の場合
[(東京都)広告・表示の相談窓口について]
11-1 法定表示
・法63条(直接の容器等の記載事項)
・則222条(医療機器の直接の容器等の記載事項)
・則223条(歯科用金属の表示)
・則224条(医療機器に関する表示の特例)
11-2 広告
・法66条(誇大広告等の禁止)
・法68条(承認前の医療機器の広告の禁止)
参考書籍
医療機器製造販売申請の手引き 株式会社薬事日報社
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