金がない毎日でも僕たちは幸せ
夕方過ぎのスーパーにて
○「遥香、周りの状況送れ」
遥「私たちと同じ商品を狙ってる主婦一名」
遥「他いません!」
○「これが取られたら僕たちのご飯はない!」
○「何がなんでも取るぞ!」
遥「おぉ!」
店員さんが
シールを貼ったその刹那
勢いよく駆け出し
まるで百人一首の大会のように
上の句を読まれたらすぐ取るように
半額シールの貼られたお弁当を
勢いよく手に取った
○「やった!今日の晩御飯!」
家に帰って遥香とお弁当食べる
ロウソクを電気代わりにして
おかずもご飯も半分ずつ
遥「おいしいね」
きっと、いや
世界で一番かわいい
お風呂も節約のために二人で
お風呂を沸かしたら水道代がかかるからシャワーだけ
リンスのいらないシャンプーで頭を洗って
ナイロン製の泡立てで体を洗って
二人密着してシャワーで流す
これが節約
○「つ〜ん」
遥「こ〜ら笑」
ーーーーー
遥「星綺麗だね」
遥「今日は満月じゃないんだ」
○「大事?」
遥「ん〜なんかよくない?」
○「確かに」
歯磨きをしにいつもの公園へ
うがいは公園の蛇口で
○「帰ろっか」
遥「うん!」
ーーーーー
二人の休日が重なってドライブに行くことにした
目的なんかないけどない方が良い気がした
高速なんて乗れないから下道を運転する
○「夕飯何にしようか」
遥「二人で好きなの食べよ」
夕焼け
美味しそうな天丼屋を見つけた
遥香の好きなエビフライを期待して入ったけど
メニューを見る限りなかった
○「何食べる?」
遥「これ美味しそう」
安いと言える金額じゃないけど
遥香の好きなエビと
僕の好きな野菜が入ってるから
それにした
二人で一つの丼を分け合って食べて
三つあったエビは全部遥香にあげた
真っ暗になった空を見て
邪魔にならなそうな車道に車を停めた
シートを倒して
家から持ってきた毛布を上から掛けた
毛布の中、二人で手を繋いで
遥「あ、見て満月」
○「綺麗」
遥「いいね」
車の中は遥香の好きな曲が流れてる
○「僕がもっとお金あったらさ」
○「好きな料理食べさせてあげれたし、高速使えたし、ホテルにも泊まれたし」
○「普通の女の子みたいなことさせてあげれなくてごめんね」
遥「ううん」
遥「好きな食べ物を共有するのも、下道の綺麗な街並みを見るのも、手を繋ぎながら目を合わせて寝るのも」
遥「幸せだよ、毎日」
光を放つ満月に照らされた
遥香の顔で
僕はまた君に恋をする
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