僕と彼女の絡みは側から見るとカップルに見えないらしい
林「よっ」
○「おっす」
林「待った?」
○「いや?今来たとこ」
林「行きますかぁ」
○「ええーす」
大学で知り合った私たちはただ話すだけの関係だった
でもお互い中華が好きっていう謎の趣味で意気投合して
付き合って休みの日に食事に行く
○「今日は林の行きつけだよね?」
林「そうそう、美味いんすわ」
○「期待していい?」
林「そりゃあもう」
中華街に入って、少し歩いたとこ
行きつけというには有名なお店だけど
○「うわっ、いい匂い」
林「でしょ?」
林と向かい合うように座って
麻婆豆腐とチャーハンと餃子を頼む
○「すっごいうまそう」
林「でしょ、最高でしょ」
○「もう最高だわ」
だんだんと料理が運ばれてきて
林の目に輝きが出る
○「食べていい?」
林「待って、写真撮る」
○「いらないって」
林「いるの!麻婆豆腐アルバムに納めるの!」
○「行きつけだからいらないって」
林「いるの!」
○「へいへい」
○「写真ださ」
林「うるさ」
○「もうちょっとさ〜おしゃれな撮り方しないの?」
○「インスタ映えみたいな」
○「麻婆豆腐を垂直から撮るのはちょっと」
林「なんやねん、撮らなくていいとか言って」
林「撮った写真見てごちゃごちゃ言うて」
林「あーた良くないわよ!」
○「うるさい」
林「きぃー!」
ーーーーー
○「いただきます」
林「いただきます」
まぁ有名なお店ってこともあるから味は美味しい
○「うまっ」
林「やろ?」
なんで林が得意げな顔をしてるのかは置いておいて
林「餃子すごいで」
○「確かに、すっげえうまい」
半分くらい食べて
レンゲを手から離す
林「もうチャーハンええわ」
○「少食すぎない?」
林「体重維持のためにはこれくらいやねん」
○「変なの」
林「ええんか?私がぶくぶく太っても」
○「どんなでも愛すけどな」
林「なん言うてんねん」
かっこいいこと言ったつもりなんだけどな
○「結構量多くない?」
林「そうかな?」
○「半分しか食べてない人はそう言いますよね」
林「なんやねん、その言い方!」
○「別に〜?」
林「腹立つわ〜」
ーーーーー
林「はぁ食った食った」
○「全部食べたやつが言ってくれよ」
林「あ、服見ていい?」
○「服っていうな」
林「なんでや」
○「服なんて見たことないじゃん、いつも見てんのジャージじゃん」
林「ジャージでもあったかいのあんねんで?冬物や冬物!」
○「やかましいわ」
林「とりあえず行くわよ!オシャジャージに買いに!」
やっぱジャージやん
ーーーーー
林「これもええなぁ」
林「こっちも似合ってない?」
○「ジャージで似合う?って言われても…」
林「ええやんか!どう?似合う?」
○「ん〜あんまり似合ってない」
林「これ矢久保に良さそう!」
○「また矢久保さんに売りつけるつもりでしょ?」
林「またってなんやねん、またって」
○「ほんとは矢久保さん喜んでないでしょ?」
林「この前うちに来た時に着てたやん!」
林「水色のかわいいやつ着てたやろ?」
○「高かった〜ってめっちゃ愚痴ってたけどな」
林「これ松尾さんにいいかも〜」
○「えっ松尾さん着るの?」
林「着る!着せる!」
○「強制じゃん」
林「話してるんだけどね〜中々着てくれないからさ〜」
○「嫌がってるじゃん」
林「嫌がってないよ!」
○「それよりジャージじゃなくて普通の服着てくんない?」
林「私にとってはこれが服なの」
○「ださジャージを着るな」
林「ださジャージじゃないわ!オシャジャージや、オシャジャー!」
○「略すな、ダサい」
○「家でもジャージなのどうにかしてくれよ」
林「うるさいな、あほんだら!」
○「言い返す語彙力も無くなったか小娘」
結局新たなジャージを買ってとても笑顔な林
林「これめっちゃかわいくない?」
○「まぁ似合うな」
林「やろ?」
林「買ってよかったやろ?」
○「うん、買ってよかったかも」
林「一緒に着ような」
○「それはやだ」
林「なんでやねん」
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