【第9回】薬剤師100人カイギ:薬剤師の未来を再定義する100の旅 - 第9回レポート
薬剤師100人カイギとは?
世間的には「ただお薬を渡すだけの人」と思われている薬剤師ですが、薬剤師のキャリアや価値観は本来もっと多彩。その奥深い可能性を引き出すことで、未来を創る力が秘められています。「薬剤師100人カイギ」は、薬学のフィールドから集結した100人の薬剤師が、キャリアの軌跡、そこにかける想いや情熱、挑戦の体験などを共有する舞台。20回にわたるセッションを通じて、あなたに新たな視点を提供し、キャリアの選択肢を広げるきっかけを与えます。
薬学生、薬剤師、そしてその他の薬学に関わられる皆さんが、自分自身のキャリアパスを大胆に描き直し、新たな挑戦に勇気をもって飛び込む一助になることを期待して、「薬剤師100人カイギ」第5回目のレポートをお届けします!
薬剤師100人カイギHP
第9回目(2024年9月28日 開催)まとめ
~ 登壇者紹介 ~
一人目:株式会社ウィメンズ漢方代表 臨床漢方カウンセリング協会代表理事 住吉忍
住吉さんはご実家が漢方薬局で、幼い頃から漢方薬に興味を持たれていました。薬剤師免許を取得後は調剤薬局の勤務を経てお母様と共にご実家の漢方薬局を営まれました。旦那様の転勤をきっかけに個人での漢方カウンセリングを始められ、不妊治療専門のクリニックでの漢方相談も担当されました。その後は株式会社ウィメンズ漢方を立ち上げ、漢方カウンセリングや処方提案の事業を展開されてきました。現在は多数の企業とも連携し、臨床漢方カウンセリング協会を設立して活動を広げていらっしゃいます。(⇒詳細レポート)
二人目:株式会社DeaLive 牧原正樹
牧原さんは新卒で自動車会社に入り、デジタル系の開発や商品企画に携わった後、IT企業で新規事業企画を担当していました。 現在は株式会社DeaLiveの代表として活躍されています。元々は大企業のエンジニアだった牧原さんが、なぜ医療分野のスタートアップを始めたのか、その経緯について共有していただきました。(⇒詳細レポート)
三人目:株式会社ぷちてんぐ代表取締役 稲沢市議会議員 NPO法人TCM小児推拿協会 監事 国際中医専門員 小柳彩子
小柳さんは北里大学卒業後に調剤薬局で働きながらドラッグストアでのバイト経験をしていました。その後、上海中医薬大学本校に留学、曙光医院、上海中医医院にて実習を行い、卒業後に国際中医専門員の資格を取得しました。日本に帰国後は株式会社ぷちてんぐ設立、American Holistic College of Nutrition卒業、株式会社マクロビオス・パナセア設立、名古屋商科大学大学院卒業と多彩な経歴を積み、現在は稲沢市議会議員として活躍されています。
多彩なキャリアを歩まれている小柳さんのこれまでの思いや行動のきっかけを語っていただきました。(⇒詳細レポート)
四人目:がんと闘う薬剤師 畑中聡一郎
28歳の若さで悪性脳腫瘍を経験した薬剤師、畑中聡一郎さん。彼はどのようにしてこの試練を乗り越え、そして今、何を思い、どのような活動をしているのでしょうか?(⇒詳細レポート)
五人目:竹の葉薬局三鷹新川店 薬剤師 松村歩美
松村歩美さんは2021年に薬学部を卒業し、薬局薬剤師として働く傍ら、YouTubeチャンネル「薬剤師カモTV」のメインパーソナリティ、政治活動や薬学部での招聘講師など多くの活動をされています。
薬剤師100人カイギでは、現在の多彩な活動から、今後の人生の目標まで語って頂きました。(⇒詳細レポート)
一人目:女性のヘルスケアに伴走する漢方薬剤師 住吉忍
株式会社ウィメンズ漢方代表
臨床漢方カウンセリング協会代表理事
住吉さんはご実家が漢方薬局で、幼い頃から漢方薬に興味を持たれていました。薬剤師免許を取得後は調剤薬局の勤務を経てお母様と共にご実家の漢方薬局を営まれました。旦那様の転勤をきっかけに個人での漢方カウンセリングを始められ、不妊治療専門のクリニックでの漢方相談も担当されました。その後は株式会社ウィメンズ漢方を立ち上げ、漢方カウンセリングや処方提案の事業を展開されてきました。現在は多数の企業とも連携し、臨床漢方カウンセリング協会を設立して活動を広げていらっしゃいます。
取り組みのきっかけ
住吉さんは自身が不妊治療を経験し、不妊治療を受ける方を漢方療法でサポートする中で、女性か安心して体調を相談できてやりたいことと健康を両立できる社会の実現を目指すようになりました。
株式会社ウィメンズ漢方では、体質管理アプリ、AI問診の開発、薬剤師によるオンライン相談の事業を提供されています。
現在の活動
株式会社ウィメンズ漢方が提供していらっしゃるアプリ「メルシー」では、東洋医学を活用して体質にあわせた妊娠しやすい身体づくりのアドバイスが受けられます。基礎体温を記録してグラフ表示で確認し妊活記録・予定も管理できるカレンダーも利用できます。
オンライン相談では月経、不妊、更年期、美容など女性ならではの悩みの相談に対応されています。
医師と密に連携し、提供する医療の質と安全性、ホスピタリティにも配慮された結果、リピート率90%を実現されています。
今後の取り組み
住吉さんは、リーダーとしての自分に課題を感じながらも、理念と夢を持って仲間を巻き込んで進もうと奮闘されています。
勤務するスタッフが子育てと薬剤師としての仕事を両立し成長できる職場を目指していらっしゃり、薬剤師が患者さんからだけでなく自分自身を認め褒められるようにとの思いを持たれています。
今回お話をお聞きして、住吉さんの熱意溢れる思いと楽しそうなお姿がとても印象的でした。
私も薬剤師として、リーダーとして、住吉さんのような女性になりたいなと感じました。
文章:運営事務局 岡田彩花
二人目:やさしさとテクノロジーで社会課題にアプローチする 牧原正樹
株式会社DeaLive
牧原さんは新卒で自動車会社に入り、デジタル系の開発や商品企画に携わった後、IT企業で新規事業企画を担当していました。 現在は株式会社DeaLiveの代表として活躍されています。元々は大企業のエンジニアだった牧原さんが、なぜ医療分野のスタートアップを始めたのか、その経緯について共有していただきました。
取り組みの切っ掛け
牧原さんが医療分野に興味を持ったきっかけは、「身内の癌闘病経験」と語って頂きました。自身の身内に起こったことから、自宅での癌治療の負担を軽減し、患者や家族にとって少しでも楽になるサービスを開発したいと考えるようになりました。この想いから、医師や薬剤師、化学療法認定看護師、栄養士と共にプロジェクトを立ち上げました。
現在の活動
癌と共に生きる人々をサポートするサービス「AllMyLife」を開発・運営しておられます。このサービスは、癌治療中の副作用の予測や自宅での症状管理、特に栄養面でのサポートを提供しています。患者や家族が安心して治療に専念できるよう、専門の栄養士や医療スタッフと連携してオンラインサポートを行っています。 事業自体も色んな方々の協力を得ながら進めておられます。どんどん外側に挑戦されて、スタンフォード大学病院まで足を運び世界と日本の違いも体感されています。
今後の取り組み
今後も、癌患者と専門家をデータとモデルで繋ぐプラットフォームとしてサービスを展開し続けて、社会課題に取り組んでいかれます。自宅での症状管理のデータベースを構築し、医療機関や製薬企業に価値を提供することを目指しておられ、現在は、愛媛県の自治体とも協力し、新しいプロジェクトを進めています。「私は、お金のためではなく、社会を前進させるためにこの取り組みを行っています。多くの方々が応援してくださっており、その期待に応えるためにも、引き続きチャレンジを続けていきたいと思います。誰もがアクセスできる医療の世界を目指し、今後も努力を続けます。 」と熱く語って頂きました。
最後に、牧原さんからのメッセージとして、
私たちのモットーは「優しさのテクノロジーで社会課題にアプローチする」です。癌を経験した人々を支えるために、テクノロジーを駆使していきたいと考えています。日本の社会課題に挑むために、皆さんのご意見やご協力を是非お願いしたいと思います。
と力強くメッセージを残していただきました。
文章:運営事務局 右高稜大
三人目:畑をたがやす薬剤師 小柳彩子
株式会社ぷちてんぐ代表取締役
稲沢市議会議員
NPO法人TCM小児推拿協会 監事
国際中医専門員
小柳さんは北里大学卒業後に調剤薬局で働きながらドラッグストアでのバイト経験をしていました。その後、上海中医薬大学本校に留学、曙光医院、上海中医医院にて実習を行い、卒業後に国際中医専門員の資格を取得しました。日本に帰国後は株式会社ぷちてんぐ設立、American Holistic College of Nutrition卒業、株式会社マクロビオス・パナセア設立、名古屋商科大学大学院卒業と多彩な経歴を積み、現在は稲沢市議会議員として活躍されています。
多彩なキャリアを歩まれている小柳さんのこれまでの思いや行動のきっかけを語っていただきました。
江戸時代から続く置き薬屋
小柳さんが薬学部を目指すきっかけは家業の置き薬でした。
幼少期から日本の伝統医療に関わることで薬や医学に興味を持ち、特に漢方薬のルーツである中医学に興味を持ちました。ただ、いきなり中国に行くことはリスクが高いと思い、まずは日本の医学部または薬学部へ進学しようと思い至りました。
薬学は4年であること、母からの名義貸しでお金をもらえるということを聞き、薬学部への進学を決めました。
卒業後は留学の資金を貯めるために、調剤薬局に勤めました。
家業を継ぐ決断
上海中医薬大学本校を卒業後、そのまま中国に滞在してオーストラリアへのワーカーホリックを考えていたところに一通のメールが届きました。
そのメールの内容は祖父が交通事故で首を骨折してしまい、すぐに帰国するようにというものでした。日本への帰国後、祖父の寝たきりの姿を見て、自分を育ててくれた事業を続けるために家業を継ぐ決断をしました。
その後、個人事業だったものから株式会社ぷちてんぐを設立しました。
薬を売ることへのジレンマから畑をたがやす薬剤師へ
株式会社ぷちてんぐを設立した際に、企業理念として「日本の健康寿命を延ばす」というものを掲げました。
薬を売ることは、病気になった人から儲けることへのジレンマを感じました。また、健康食品も取り扱っていたものの、自分たちが売りたい健康食品がなく、これを使って本当に健康になれるのかという疑問が出てきました。
そこで自分たちで健康食品を作ること、健康は食から生まれるため食品企画製造の会社として、マクロビオス・パナセアを設立しました。
日本の心と身体を健康に
西洋医学、中医学、気功治療、ホリスティック医学と様々な知識を得てきた小柳さんですが、現在は市議会議員としても活躍されています。
そのきっかけは新型コロナウイルス感染症でした。政府が行なった感染症対策と新型コロナワクチン(mRNAワクチン)を取り巻く疑問から参政党と出会い、市議会議員への立候補・当選へと繋がりました。
小柳さんは究極の目標として、日本の心と身体が健康になるのであれば、西洋医学や中医学などどんな方法でもいいと思っているとのことです。
ただ、日本ではそこに行政の関わりも強いため、現在は行政から国民の生活と健康を守っていく活動を続けています。
最後に
薬剤師のみなさんは日々の業務の中で、矛盾やジレンマを感じていることと思います。
その中で、「本来医療はビジネスであってはいけません。初心と患者に正直に行動をしていただきたい」と力強いメッセージをいただきました。
日々の業務に追われているとつい忘れてしまいそうになる医療業界を志した思いですが、その思いを忘れず誰のために行動するのか常に考えていきたいと思います。
文章:運営事務局 濵地広毅
四人目:がんと闘う薬剤師 畑中聡一郎
新卒3ヶ月でがんになった薬剤師の物語
28歳の若さで悪性脳腫瘍を経験した薬剤師、畑中聡一郎さん。彼はどのようにしてこの試練を乗り越え、そして今、何を思い、どのような活動をしているのでしょうか?
順風満帆な日々からの突然の病魔
熊本県出身の畑中さんは、大学で薬剤師の資格を取得し、地元で就職。彼女と同棲を始め、まさにこれからという時に、激しい頭痛や吐き気、視界の歪みといった症状に襲われます。精密検査の結果は、悪性グレード4の脳腫瘍でした。
闘病生活と支え
抗がん剤治療、放射線治療・・・想像を絶する苦痛の中で、彼を支えたのは、同じ病気と闘う仲間、看護師や病院スタッフの温かい励まし、そして、彼女や家族、友人の存在でした。
がんになって得たもの
「もし人生をやり直せるとしたら?」という問いに対して、畑中さんは「今と同じ人生を選ぶ」と答えます。
がんという経験は、彼の人生観を大きく変え、普段の生活のありがたさ、そして、周りの人々の支えの大切さを改めて認識させてくれました。
現在の活動
闘病経験を通して得た貴重な学びを、多くの人々に伝えるため、畑中さんは精力的に活動しています。
・InstagramなどのSNSでの情報発信
・オンライン・オフラインでの患者会開催
・大学での講演活動
未来への展望
畑中さんの最終目標は、がん患者とその家族の心の拠り所となる薬局をオープンすること。
「がん患者さんの心のケアまで行き届いた医療」を目指し、彼は今日も活動を続けています。
私たちへのメッセージ
「毎日朝を迎えることができるのは奇跡」。
畑中さんの言葉は、私たちに、日々の暮らしの大切さ、そして、今を精一杯生きるということを改めて教えてくれます。
畑中さんの講演を聞き、当たり前だと感じている毎日の大切さを改めて感じ、医療者として本当に患者さんの立場や思いに寄り添った医療を提供していきたいと思います!!
「がん患者やその家族の心の拠り所になる薬局を自分でオープンする」という目標に向けて、走り続ける畑中さんを薬剤師100人カイギは全力で応援していきたいと思います。
文章:運営事務局 山本飛翔
五人目:国民のヘルスリテラシー向上に携わる薬剤師 松村步美
竹の葉薬局三鷹新川店 薬剤師
松村歩美さんは2021年に薬学部を卒業し、薬局薬剤師として働く傍ら、YouTubeチャンネル「薬剤師カモTV」のメインパーソナリティ、政治活動や薬学部での招聘講師など多くの活動をされています。
薬剤師100人カイギでは、現在の多彩な活動から、今後の人生の目標まで語って頂きました。
多彩なキャリアの歩み
“国民のヘルスリテラシー向上に携わる薬剤師”として活動されている松村歩美さん。関西出身、大阪薬科大学(現大阪医科薬科大学)を卒業後、現在は個人在宅特化薬局で勤務をされています。
その傍ら、登録者8千人越えのYouTubeチャンネル「薬剤師カモーンTV」のメインパーソナリティを務めています。さらには、薬剤師向けの研修事業を企画運営し、女性のヘルスリテラシー向上を目指す団体「SRHR pharmacy PROject」の理事を務めています。
薬剤師法第1条との出会い
松村さんが薬剤師としての道を選んだのは、大学4年生の秋、薬学倫理の授業で薬剤師法第1条に出会ったことがきっかけでした。
『この条文に感銘を受け、「薬剤師は医薬品の供給だけでなく、公衆衛生にも貢献できる」と知り、私は国民のヘルスリテラシー向上に取り組もうと決意しました。これが私が薬剤師としての活動を広げたいと考え始めた理由です。』と言われます。
多方面での貢献
薬局薬剤師としての業務をする一方、薬剤師向けの研修事業やYouTubeチャンネルを通じて情報発信を行っています。
「特にCOVID-19の影響で、私が重要だと感じたのは、ビジネス、現場、学術の三つの要素が相互に連携することです。その中心に位置するのが政治です。」と言われ、2021年に行われた衆議院議員選挙では新人立候補者の選挙陣営に参加されたり、厚生労働省へ緊急避難薬に関する政策提言を行うこともされています。
私が歩む道
『私の今後の目標は、薬剤師向けの事業をさらに拡大し、学生向けの講演活動も増やしていくことです。また、新しい挑戦にも積極的に取り組みたいと考えています。個人的な目標としては、家庭と仕事の両立を図り、我が子に「お母さん、いつ見ても楽しそう!」と思ってもらえるような人生を送りたいと思います。 』
大学4年生の時に、48歳までの将来の目標を描き、その通りに目標を達成してきた松村さん。今回の薬剤師100人カイギ登壇を機に改めて「2024年9月28日時点で描く、これからの私」を描かれ、力強く宣言されました。
多くのことに挑戦し続ける松村さん。これからも薬剤師の枠を大きく超えて社会に貢献されていくことを応援しております。
ありがとうございました。
文章:運営事務局 松村步美
運営あとがき
第9回100人カイギもリアル&オンラインの同時開催ができ、無事に盛況に終わりました!
5人の登壇者漢方や東洋医学、がん患者さんやご家族のサポート、YouTubeなどなど幅広い方面での取り組みをお聞きでき、学びや感動の多い回になりました。
やはり”薬剤師”の枠にとらわれず薬剤師の仕事に自分の強みや興味を掛け合わせていくことで、ワクワクキラキラが生まれていくんだなと感じました。
私も駆け出しの薬剤師として、憧れの先生や目標を見つけられるイベントは貴重だなと思っています。
次回は記念すべき第10回を迎えます!!
ようやく折り返しを迎える段階ですが、薬剤師さん・薬学生さんの交流の場や新しい発想のきっかけになれていると実感しています。
登壇者さんも参加者さんも一緒になって夢や思いを語れるイベントとして、残りの半分も駆け抜けていけたらと思います。
これからも共にワクワクできる仲間が増えていくことをスタッフ一同、心から楽しみにしております☆
文章:運営事務局 岡田彩花
第10回 薬剤師100人カイギのご案内
次回、第10回薬剤師100人カイギは、2024年11月23日(土)18:00-20:00にリアル&オンラインのハイブリッド開催されます。
人のつながりが健康になるかを研究する薬局薬剤師、腸活薬剤師、異色キャリア薬剤師、世界一自由な薬剤師、開発途上国支援の最前線からODAで働く薬剤師と様々なジャンルで活躍する方々に登壇頂きます。以下、Peatixに登壇者の詳細も記載されております!!魅力的な方々ばかりですので、ぜひ現地にお越しいただき、登壇者との懇親会にもご参加ください!!
登壇者・運営メンバー共々、皆様方との交流も楽しみにしております!!
申込はこちらから
https://peatix.com/event/4147617/view
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