政治資金規正法改革のポイントは現金預金残高管理―令和臨調・経済同友会・自民案(三案)を比較すると・・・
昔、普通の会社だが、その現金の帳簿残高がだんだん増えていく会社があった。恩師から引き継いだ会社だった。当時のかかわり方は、帳簿から数字を集計して決算を行うだけ、監査を行う契約にはなっていなかった。
当然、実際に現金が増えているのか、疑問を持ち、ある時、契約外だったが、現金の実際残高の照合を依頼した。60歳前後の男性の経理担当者だった。
やはり、現金の実際残高は全く足りない。預金預け入れとも合わない。最終的な調べは経営者に委ねたが。使い込みとのことだった。
三案は透明性確保を主眼にしているようだが
私見だが、令和臨調案の一つのポイントが政治資金の流れの透明化で、その中でも「パーティー券の売買を含む現金による政治資金の拠出・収受の禁止」は重要だ。同友会案でも、「現金授受の全面廃止、指定口座の使用」として「政治資金パーティーの会費受領だけではなく、政党・国会議員に関わる全ての政治資金の現金授受を廃止するとともに、指定口座を使用した入出金管理を行う」とある。両団体ともメンバーが重なっており、考え方として理解できる。
これに対し、自民案は似て非なる。ここでは、法律案要綱の第5で、「預貯金口座への振込みによることなく、政治資金パーティーの対価の支払いをすることができない」としつつも、「パーティーの開催日に開催場所においてする対価の支払い等については、口座への振込み以外の方法によってすることができる」としている。一応「遅滞なく、その政治資金パーティーの対価に係る金銭を開催者の預貯金口座に預け入れるものとする」ことが付記されているが。
しかし、問題は、政治資金のうち政治資金パーティーはその一部にすぎないこと。そもそも政治資金規正法自体、弥縫策だらけ。そもそもいくつもの政治団体(資金管理団体、その他の政治団体、政党、政党支部など)が認められ、種々の資金に応じ複数の口座で管理するなど、複雑になりすぎている。
まず、「政治資金に関する収入の口座を一本化する」ことが出発点になるべきだろう(会報『TKC』令和6年5月号『政治資金規正法の改正を強く望む!』より)
以上