TRP2022備忘録
年始にNHKで杉山文野さんのドキュメンタリー番組が放送されていた。そこで杉山さんが行っている東京レインボープライドの活動を知り、参加してみたいなとぼんやりと思っていたところTwitterでボランティア募集の投稿がタイムラインに流れてきたのが3月初旬、ボランティア説明会に参加しすぐにエントリーした。
私は昨年9月に自分の悩んでいたことはデミロマンティックという名前で、アセクシュアルなどのAスペクトラムの中に在ることを知り、ノンバイナリーという性自認があることを知り、今年の頭には自分はアセクシュアルかもしれないと気付いた。自分の存在や悩みの名前に出会い、自分について沢山考えた数ヶ月間だった。名前を知ったことやTwitter上で似たようなSOGIの人と関わる中で欠陥品だと思っていた自分を肯定できるようになった。何より無意識下で自分自身に掛けていた「人は恋愛し結婚することが幸せだ」という呪いから解放された。
東京レインボープライドでは手を繋いで歩いているカップルが沢山いて、その光景は恋愛が何かよく分かっていない私にとっても微笑ましく、普段の街中でも実現できる社会にしなければと思った。そんな社会をサポートすべく企業のブースにはマッチングアプリの会社もいくつかあり、「セクシュアリティ関係なく、好きな人と一緒にいられることは素晴らしい」といったメッセージを耳にするたびに疎外感を感じていたのも事実であった。
しかしながらブースの中には自分がアセクシュアルについて知るきっかけにもなったNPO法人も出展していたし、最終日のパレードでは沿道でAceフラッグを振っている人を数人見かけた。数は多くはないけれどアセクシュアルやその周辺の人は存在していて、自分は間違ってなんかいないんだと改めて感じることのできた3日間だった。
代々木の会場を後にすればそこには現実が待っていて、ボランティア中や会場内では絶対に聞かれることのなかった異性の恋人の有無に関する質問は、若者である私には打ってつけかのようにバイト先の人や大学でのクラスメート、久しぶりに会った友人らにこれでもかと話題にされる。そんなこんなで東京レインボープライドから1ヶ月ほどたった今、遅ればせながら思い出に浸りつつ備忘録を書いている。あの3日間の居心地の良さを現実にできる日を作るために自分には何ができるか考えようと思う。そのためにもあの3日間を忘れないために少し書き留めておこう。