カーテンの白
いつもより少しだけ遅く起きた。
冷蔵庫の余り物で炒飯を作って、アニメを見ながら食事を取り、皿を洗って、衣類を洗濯機に回す。
その間に、昨日から干したままの洗濯物を畳むつもりが、手前のベッドに吸い寄せられてそのままダイブした。
ああ、なんて体たらく。
でも疲れてしまったのだから仕方ない。たまにはこんな休日も悪くない。
風に揺らめく白いカーテンを眺める。
私は、私に惜しみなく力や知恵を分けてくれる人たちに対して、何を返せるだろうか。
お金とか物とか、目に見えるもので返すのは簡単なのだけど、そういう形式的なものとはちょっとだけ違う気もしてる。
優しさは当たり前ではないことを知っているから、時折怖くなってしまうんだ。
何故優しくしてくれるのだろうと勘繰る心、優しくされなくなった時の恐怖、嫉妬、執着、被害妄想。そうした醜い感情を持った己への嫌悪。
私は完璧じゃない。
この世に完璧な人間など存在しない。
完璧じゃないから、間違えるし、後悔するし。
でも完璧じゃないから話し合って、助け合うことが出来るんだよな、人は。
だから、優しさをもらったら「ごめんね」じゃなくて、笑顔で「ありがとう」って言おう。
助けてもらうことをもっと受け入れよう。
完璧じゃない自分を許そう。
十分なものは返せないかもしれない。でもそんなふうに思う必要、ハナからないのかもしれないな。
それがきっと“信頼”ってやつ。
だからこれからはもっと話していこう。
もうそろそろ出ないといけない時間だ。
洗濯機はとっくに止まって、風に当たるのを待っている。