苦手意識の正体は?
プレゼンが得意な人はいるだろうか?
ここでいうプレゼンとはただ人前で説明するということではない。自分の伝えたいこと、主張などをパワーポイントなどのソフトで資料を作り、相手に伝えることだ。
私は、以前パソコンのインストラクターをしていたこともあり、人前で話すことに苦手意識はそれほどない。
だが、自分の主張を資料にまとめるということ、
つまり「書くこと」がとても苦手だと思っていた。
そう、あの日までは。
突然のお誘い
「プレゼンのUXサービススキルコンペに参加してみませんか?」
ある日、突然、社内の教育部門から一本のメールが届いた。UXサービススキルコンペって何だろう?
普段、教育部門とは接することがない私にとって、
はてなマークでいっぱいだった。
が、そういえば、先日会社の研修で、UXスキルアップ研修に出たことを思い出した。
UXというのは、User eXperienceの略で、
「ユーザーがひとつの製品・サービスを通じて得られる体験」を意味しているそうだ。要は顧客が期待しているもの以上の物やサービスを提供する、というためには顧客視点に立って物事を考えよう、といったマインドだ。
ちなみに、わが社は情報システムを提供するコンピュータ会社であり、営業、SEを5000人以上抱えている会社である。このUXサービススキルコンペというのは、わが社では半年に1回やっているコンペで、顧客提案のスキル向上を目的とし、営業やSEが毎回出ている大会である。
私が所属しているのは調達部門で、客に提案することはまずない。これまでコーポレート部門はこの大会には出ていなかったそうだ。顧客提案する機会もない部署なのでお声もかからなかったのだろう。今回より、出たくても出るチャンスがなかった人へのために、
コーポレート部門の混合チームも出場できることとなった。1チーム4人制なのだが、なかなか人が集まらなかったのだろう。3人集まったチームの最後の1人として私が選ばれた。
「まぁ、せっかくの機会だから出てみようかな。お声もかけてもらったし」そんな軽い気持ちでの出場だった。そして、当日を迎えた。
出場チームは6チーム。1チーム、3~4名なので、
全体で約20人ほどのメンバーが当日集合した。
プレゼン当日
集合は9:00 課題は当日発表とされていたため
準備は何もできてない。「何が課題になるのだろう」ドキドキしていた。
課題は『顧客の問題を解決するデジタライゼーションサービスの提供』です。わが社の製品を使ってプレゼンをしてください。とだけ言われた。
ターゲット顧客、キャッチコピー、スローガン、想定利益などは自分のチームで考えて解決してください、と。
なんじゃそりゃ???
私は目の前が真っ暗になった。
まずい。ヒジョーにまずい。
なぜならば、私はわが社の製品を知らないのだ。
顧客先常駐が多かったので自社の製品を使ったことがないのだ。「どうしよう・・・」そんな不安を抱えながら初めて会うメンバーと課題に取り組むこととなった。
そして、やはりコーポレートチームだからなのだろう。
誰もわが社の製品を詳しく知っている人がいなかった。
「参加したのは失敗だったかもしれない。いくらなんでもわからない人の集まりでできるはずがない」そんな気持ちでいっぱいになった。
不安な気持ちでスタート
9:30 開始
商品を決めて、キャッチコピーをつくり、パワーポイントで資料作成。決められたフォルダに、14:45までに事務局が決めた共有フォルダに格納すること。それ以降の修正は許されない。そして、その後各チームでプレゼンをするのだ。
かろうじて、製品を知っている人の知識を頼りに、なんとか資料作りが進んでいった。それにしても時間がない。お昼は資料つくりをしながら弁当を
食べた。気持ちが焦るばかりで味がしなかった。
14:40
知らないなりに、何とか資料を作りこみ、時計を見たらあと5分。
「やばい!スライドが一枚足りてない!!!」
文章考える余裕もないので、とりあえず言いたいことを3つに絞って箇条書き。真っ白よりはいい。そんな気持ちだった。
ふぅぅぅ。なんとかぎりぎりのところで間に合った。セーフ。だが問題はここから。いかんせん、知らない商品をプレゼンするというのは自信がない。
まぁ、唯一の救いは一応、資料を最後まで完成させることができた、ということだ。細部にこだわりすぎて最後までできなかったチームもあるそうだ。また私たちの最大の弱みであった「製品を知らない」ということが、実は強みになる、と、様子見をしにきてくれた事務局からのアドバイスが大きかった。自分が商品を知らないからこそ、製品知識がないお客様の気持ちに寄り添って資料が作れるのだ。そんな負け惜しみに近い言い訳をしながら焦る気持ちを何とか抑えプレゼン会場の会議室にむかった。
プレゼン開始 まさかの・・・
そして、プレゼン。
結果から言おう。
なんと優勝してしまった。
普段から顧客に提案している営業、SEを差しおいて、私たちコーポレートチームが優勝してしまったのだ。資料がわかりやすく、丁寧に記載してあったところが評価されたようだ。
資料作り、つまり書くことが苦手だ。私はこれまでずっとそう思っていた。だが、きっとそれは苦手だと「思い込んだいた」のかもしれない。
苦手意識の正体は「経験不足による思い込み」
できるだけ書くことを避けてきた。だから苦手なのではなく、もしかしたら経験が足りないだけかもしれない。経験不足だとしたら自信がないのは当たり前。そう、苦手意識の正体は経験不足からくる思い込みなのだ。
だとしたら解消方法は、経験を積む、つまりたくさん書いて経験を積むことだ。「書く」ことが苦手だと思っていた私が、気づいたらライティング講座を受けている。無意識に経験を積めば苦手意識がなくなるかもしれない。そんな気持ちから申し込んだのかもしれない。
私の「書く」という苦手意識が消えたら、人生思ってもみない方向に動くかもしれない。今はそんな期待でいっぱいだ。
参考
事前に読んだ本はこちら
■社内プレゼン
■社外プレゼン