SPOILMANとの出会いと「Comber」「Undetow」のレコーディングについて
SPOILMANとの出会いは、コロナウィルスなんてものがやってくるなんて思いもしていなかった頃、西荻窪FLATで行われた「POSSE?」というライブだった。
その日に出ていたバンドは10組を超えており、いろんなバンドを見て回っていたのだがタイミングが合わず、SPOILMANを観ることはできていなかった。
その日、私たちのライブは好感触で、私たち自身も納得のいくライブができた。ありがたいことにCDもよく売れた。
他のバンドも見て、楽しみ疲れて、物だらけの楽屋で機材たちと肩を並べてのんびりしていたとき、たまたま出演者の方がフラッと入ってきて、
「あの、団地ノ宮の方ですよね」
と声をかけてきてくれた。その瞬間、下の階の物販ブースにCDを置きっぱなしにしていたことを思い出した。
邪魔なので早く避けてとか言われたらどうしよう、と思い焦ったが、その後に続いた言葉は意外にも
「CD買いたいんですけど…ライブすごい良かったです。」
という、なんともうれしい言葉だった。
それがSPOILMANのカシマさんだった。
その後、SPOILMANの音源を聴き、打ちのめされ、
twitterのスペースなどでお話しさせてもらったり、
ライブも見に行き、すっかりSOLIMANのファンになった。
褒めてくれたからお返しに、とかそういうことではもちろんない。SPOILMANはカッコいい。
一筋縄ではいかないフレーズたち、なのに無駄が全くない。
田辺さんの壊れそうなのに的確で力強い、気持ちいいドラム。
ナガイさん、そして後任のホサカさんの禍々しくうねるようなベース。
(うますぎる人からうますぎる人へバトンタッチされていてすごい)
カシマさんはまるで投げやりのように叫んでいるけど、わたしはそこに悲しさややるせなさを感じる。
歌詞もそうだ。一見、暴力的でもそこに「不安」と「悲しさから開き直ってふざけるしかなくなった」というかんじが漂っている。
ちゃんと人間の悲しさがある。
それにシンクロするようなギター。
私には、とても切なく聴こえている。
団地ノ宮とは全く違う音だけど、遠くない何かがあると感じている。
オルタナティブの面白みだなぁといつも思う。
SPOILMANの今回の新しい二枚のアルバムでも、かなりその音は確立されているように感じた。
今回、「Comber」「Undetow」という二枚のアルバムがリリースされた。
この二枚のとんでもないところは、「アルバム2枚同時リリース、しかも一日で全部録った」というところだ。
「やろうと思うんスよねぇ」ってカシマさんが言ってるときはもう、ほぼ決まってるも同然で、私が初めて話を聞いたときはもうすでに計画が進んでいた時だったんじゃないかな、と思う。
そして共通の友達のアーティストみんなが「ヤバいけど、多分本当になるんだろうな…」と思っていたはずだ。
私は、前作の「HARMONY」でボーカルとポエトリーで参加させていただいたのだが、なんと今回も「Undetow」に収録されている曲、
「Super Pyramid Schems」で歌わせていただいた。本当にうれしい。
(パンツ出ちゃったのは本当に事故です。編集してくれたカシマさん、そしてブックオフ君ありがとう。)
音源を聴く前からカシマさんに
「前作ではとても効果的に歌ってくださったので、今回はもっと団地ノ宮を無駄遣いした感じにしたいんです!」
と言われていて、一体どんな曲を歌うことになるんだろうと思っていたが、
デモを聴いて歌詞を見た途端、どんな人物がこの歌を歌っているかがすぐにイメージできたので、早く歌いたくてウズウズしながらレコーディングの日を待った。
英語だけはちょっと構えた。
レコーディング当日は本当に楽しかった。
二枚ともいろんなアーティストが参加しているのも特徴だ。
参加の仕方も様々で、
さっと仕事を終えて帰るクールな人もいれば、
順番でみんなのRECを応援している人もいた。
スタジオの机の上には、JIMIさんが作ってくれた、なんかすごいおいしいサンドイッチ、ガトーショコラ、誰かが持ってきたお菓子、お菓子、私が持ってきたのど飴、お菓子、お菓子。ホームパーティーのようだった。
遊んでいるように見せかけて、淡々と進んでいくレコーディングは、実験的で本当に面白かった。
私含むみんなが全力で楽しんだことが正しかったんだな、と勝手に思う。
出来上がりを聴くと、すごく奥行きのあるアルバムになっていて、とてもうれしい気持ちになった。
いつか、どこかでボーカルをやってほしいと思っていた友達のゆきちゃんが、「Eucalyptus Hole」で歌ってくれたことも、本当にうれしかった。
その後に続いて私が歌っていることも。
「Comber」「Undetow」二作とも、誰もまだ触れられなかった自分の感情の一部を揺さぶってくれるような、とても素晴らしいアルバムになっているので、是非聴いてみてほしい。
こんな素敵な機会に呼んでいただき本当にありがとうございました!
またなにかありましたら、お待ちしてますので。