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蝶と月


やはり私のこころのいくばくかは
あのとき壊死してしまったのだろうか
感応しない部分があるようで
生きるほどに
少しずつそういう患部が
増えていくようで
欠けていく月と同じだと思う
機能することをやめ
自分の一部ではなくなったはずのものが
まだ私のなかに残っている
物言わぬ多臓器不全に占領される
擦り切れた私の実体は
一体どこに連れ去られてしまったのだろうか
無軌道に少年が放ったボールは
一体どこに埋もれてしまったのだろうか
失った夢
無くなったもの すべてが
反転した世界があるとすれば
どちらが残るべきだろうか
どちらの世界に
蝶は飛んでいるだろうか




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