新卒薬剤師・薬学生に知って欲しいお金のこと
お金に関する書籍やネット記事など多数ありますが、今回は若手薬剤師向けに自身の経験を基にお金について解説していきます。
お金とは?
お金とは経済学では貨幣と呼ばれ、価値保存、価値尺度機能をもつ財やサービスの交換手段です。
簡単に言うと引換券みたいなものです。
日本銀行はいま日本円を120兆円発行しており、それが社会の中でぐるぐる回っています。
このように政府と企業、家計(個人)が経済主体となってお金は流動的に循環しています。
ここで個人の経済活動において無視できないのが税金と社会保険料です。
この税金と社会保険料が給料から天引きされて、残った額が手取り(可処分所得)となります。
書籍などのコンテンツにかかれている「お金」はこの可処分所得に該当します。
薬剤師としては保険調剤を取り扱ううえで、社会保険料にも目を向けなければいけません。
労働人口が減少し、高齢化社会の深刻化、国民の社会保険料負担も増える中、調剤報酬への配分は現状維持あるいは減少すると容易に予想ができます。
それは直接的に薬剤師の給料は現状維持、もしくは減少するということです。
実質物価指数は2年で8%も上昇しており、長期のインフレが懸念される中、給料の上昇する見込みがほとんどないということは、実質的な手取り額が減少することに繋がります。
今後個人の資産を守るためにも「お金」についてよく理解する必要があります。
消費支出バランス
●モデルケースとして月収30万円で一人暮らしAさん
Aさんは地方のドラッグストアに勤務する1年目の薬剤師で、可処分所得として24万円収入があります。
住宅補助や福利厚生費、居住地域で異なりますが、家賃から通信費までかけて給料の約半分は固定費として支出されます。
これは生活を維持するために必要な金額なため、過度に削減しすぎると心身ともに負担がでるためお勧めしません。
その他の金額に保険、娯楽、投資、貯蓄などがあげられます。
予想外の出費等を考えると薬剤師の給料で自由に使える額はあまり多くありません。
ここでAさんに私が伝えたいのは、10年先の未来を見据えて投資と貯蓄をしっかり考えた方がいいということです。
●投資
投資は資産運用でも、薬剤師として専門スキルの取得でも、海外留学でも何でもいいです。
他の人には誰にも負けないくらい知識や経験を得ることが重要です。
その得た知識を利用して、自分が本当にやりたいことを副業として始め、いずれは誰にも負けない財・サービスを作ってください。
その財・サービスがいずれ誰かの元に届き、「お金」になってあなたに循環してきます。
現在のAI革命、薬剤師の過剰供給、高齢化社会に対抗するには他の薬剤師と差別化し自身の価値を引き上げることが重要です。
●貯蓄
貯蓄に関して、書籍などを読めば「生活防衛資金以外をすべて資産運用しろ!」などと記載しています。
金銭面だけみれば余剰資金を資産運用し、投資に回せば複利効果でリターンが大きくなるのは確かです。
しかし、生活にはワークライフバランスも重要です。
「幸せになるために資産を増やす」ではなく、「資産を増やすこと」が目的となっている人もいます。
私は流動的に使用できるお金としてある程度は貯金し、自分の幸せのためにお金を使うことも必要だと思います。
薬局経営をいずれ考えている方であれば、4年で500万円くらいを目処に貯金を考えてください。
月10万円×48ヶ月=480万円
法人を設立する際の自己資本金が必要となり、500万円程度は自己資本があれば融資審査も通りやすくなります。
私は資本形成の意味でも、若手薬剤師の早期独立開業を推奨しています。
開業もいわば自己投資となります。
独立開業を目指す方はこの記事を読んでみてください。
まとめ
お金は価値保存、価値尺度機能をもつ財やサービスの交換手段
家計簿をつけて消費支出バランスを確認する
10年先を見据えて投資や貯蓄を考える
薬剤師の方は真面目で保守的な考え方の人が多いと思います。しかし、薬剤師の資格を持っているから薬剤師しかできないわけではありません。
薬剤師が小さい頃からの夢で、仕事が本当に楽しく充実してる方は別ですが、仕事に魅力を感じていない人がいるのも事実です。
資格を持ってる優位性を理解して、本当に自分がやりたい事を仕事にできるよう努力することで、新しい世界が見つかるかもしれません。