3/15、麻薬残薬書類

今日はがんと生命の尊厳について学んだ。
昨日の朝、膵臓がんで亡くなった患者さんがいた。H30.11に膵臓がんが見つかり、TS-1(エスワンタイホウ配合OD錠T25)による治療が開始された。その後R6現在まで抗がん剤、放射線、A1cコントロールのためのインスリングラルギンでの治療を継続していた。それまで患者さん本人が病院•薬局に来ていたが、R6.2.15本人が来院•来局できなくなり、往診になった。癌性疼痛コントロールのため、2.29にデカドロン4mg2T分1を追加、3.3にフェントステープ1mgと頓用でアブストラル舌下錠100μgが開始された。その後アブストラルは殆ど使用せず、フェントステープのみで疼痛コントロールができているようだった。3.12昼頃に訪問看護さんから苦しんでいるとの連絡があり、フェントステープを増量することとなったが、医師と訪問看護の話し合いの結果、1mg増量すると呼吸停止してしまうとの判断からフェントステープを0.5mg追加となった。しかし、同日13:30頃、患者さんが苦しんで暴れるとの連絡があった。先述の通り、フェントステープはこれ以上増量できないので、呼吸停止させない麻薬としてアンペック坐剤10mg(モルヒネ)を頓用として渡したところ、15分程度で眠ったとのこと。翌日3.13夕方に医師から「 フェントステープ1mgを3枚に増量したため、在庫を多く確保しといて」との連絡があったため、薬局はフェントステープ1mgの発注をした。3.14朝、患者さんが亡くなったとの連絡があり、訪問看護さんが残薬を持ってきた。
疼痛コントロール、特に麻薬の処方が始まったのは自分が実習を開始してからのことであり、がん末期の患者さんが亡くなるまでの最も慌ただしい場面を目にした。病気に対する治療、死に至らないための治療、痛みに対する治療と、たった数種類の薬に変化•量の変化でも様々な意味が含まれている。ただその段階に於いても、苦しみを取り除くという一貫した概念があるように感じた。そこには患者の想い•家族の想いがあると教わり、生命の尊厳とは生•死だけでは語れないのだと知った。薬剤師は薬を通して、健康だけではなく、人の尊厳に関わっていることを実感した。