2/21、AchE阻害、NMDA増量、学校薬剤師

今日は認知症治療薬について教わった。現在、認知症治療薬にはアセチルコリンエステラーゼ(AchE)阻害薬とNMDA受容体拮抗薬の2種類がある。AchE阻害薬はAchの分解酵素を阻害することで脳の神経伝達を活性化する。NMDA受容体拮抗薬はグルタミン酸と拮抗してグルタミン酸がNMDA受容体に結合するのを阻害することで、神経伝達を整えたり、神経細胞を保護する。両者の大きな違いとして、前者は服用すると興奮が見られ攻撃的になる場合があり、後者は気持ちが穏やかになる傾向があることだ。AchE阻害薬服用中に興奮兆候がみられた場合にはNMDA受容体拮抗薬や漢方の抑肝散を併用することがある。また認知症治療薬の特徴として、初めは初期投与量で開始して、様子を見ながら1,2週間ごとに投与量を増量しながら調節する。そのため薬剤師は投与量変化時に体調変化(胃は荒れてないか等)を確認する必要があると教わった。
今日は実際に来局された患者さんは、アリセプト 10mg (AchE阻害薬)、メマリー 20mg (NMDA受容体拮抗薬)、抑肝散2.5gが処方されていた。まず、アリセプトは添付文書に「 ドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する」とあり、メマリーは添付文書に「 通常、成人にはメマンチン塩酸塩として1日1回5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量し、維持量として1日1回20mgを経口投与する」とあるように、この患者さんはどちらの薬剤も最高投与量で服用中であることから、認知症の進行が進んでいるが重篤な副作用がなく治療中であることが伺える。しかし、アリセプトに加えてメマリーと抑肝散が処方されていることから、興奮兆候が出ていたのではないかと考えられる。
午後は中田小学校にて学校薬剤師業務(冬期空調検査)の見学、体験をさせていただいた。今回測ったのは温度、湿度、二酸化炭素濃度、気流の4項目だ。これらの検査は児童への影響を確認する検査であるため、児童がいるときに行う必要がある。温度は基準値が18℃〜28℃で、教室が寒すぎない(暑すぎない)かを確認する。湿度は基準値が30%〜80%で、乾燥してないか(ジメジメしてないか)を確認する。特に湿度30%以下で乾燥しすぎていると感染症のリスクが高まるが、教室というある程度広い空間の湿度を上げるのは困難であるため、感染症に対する注意喚起を行うと教わった。CO2濃度は基準値が1500ppmで、器具を2分間教室の真ん中、机くらいの高さに置き、教室の換気度合いを確認する。CO2濃度が基準値を超えると、頭痛や感染症のリスクが高まるため、休み時間に窓を開けたり、対角に窓を開けておくよう指導すると教わった。
今回は関わらなかったが、学校薬剤師が検査する項目には、プールの残留Cl濃度、温度、熱中症への注意喚起や、照度検査により席の位置やチョークの色、カーテンの使用等の助言、ダニ検査、理科室や家庭科室のホルムアルデヒド検査、薬品検査等がある。また、現代では学校でプロジェクターを用いることも少なくないが、プロジェクターの光度に関する基準はまだ定まっておらず、悩ましいところでもあるとおっしゃっていた。
自身が学校に通っていた時には考えもしなかったが、児童、生徒、学生が健全に学び舎に通う上で必要不可欠な学校薬剤師の仕事を知ることができた。実際には検査項目が多く、それぞれの結果に応じて指導、注意喚起をするための知識も欠かせないスキルであることを学んだ。