3/27 高血圧合剤
今日は、高血圧治療薬の合剤について教わった。
患者①: ザクラス配合錠HD/1T/分1/夕食後、カデュエット配合錠3番/1T/分1/朝食後の処方。この患者さんは、H22.7に血圧が高かったため、ノルバスク5mg/1T/朝が処方され、9月に血圧が少し下がりノルバスク2.5mgに変更、11月にまた高くなりノルバスク5mgに戻ったが、H30.12にそれでも血圧が高いとのことで夜のアムロジピン2.5mgが追加された(7.5mg/day)。その後、R3.5にまだ血圧が高いままだったので夜のアムロジピン2.5mgがザクラスLDに変更(正味アジルサルタン20mg分の追加)、R4.11にはザクラスLDがザクラスHDに変更(アムロジピン10mg/dayで極量)となった。R5.12にコレステロールも高いことが分かり、朝のノルバスク5mgがカデュエット3に変更となり(正味アトルバスタチン5mg分の追加)、現在に至る。高血圧治療薬の合剤でも選択肢が多く、よく出るのはカルシウム拮抗薬とARB、特にアムロジピンとARBの合剤である。ザクラスやユニシアはアムロジピン2.5mgまたは5mgとARBの合剤で、アムロジピンの量のみを調整して、LD/HDの切り替えや、アムロジピン単剤の追加ができる。アイミクスはアムロジピン5mgまたは10mgとARBの合剤で、HDではアムロジピンが極量であるため、アムロジピンを追加することができない。反対にミカムロはアムロジピンは5mg固定で、ARB(テルミサルタン)が40mgまたは80mgの2種類あり、エックスフォージはアムロジピン5mg+バルサルタン80mgの1規格である。
アムロジピン以外のカルシウム拮抗薬として、アゼルニジピンとの合剤であるレザルタスがあるが、アゼルニジピン8mg+オルメサルタン10mg又はアゼルニジピン16mg+オルメサルタン20mgの2規格であり、LDからHDでカルシウム拮抗薬とARBの両方とも倍量になっているため、切り替えには注意が必要である。また、アムロジピン2.5/5/10とアゼルニジピン8/16/32はそれぞれ同等の効力を持つが、アゼルニジピンは副作用のリスクが高いため32mgを極量として設定できない。
ここまでに挙げた合剤は、ARBのメーカーがアムロジピンを足して合剤にしている。すなわち合剤になった時点で必然的にアムロジピンがジェネリックになっているということであるが、薬価も安くなり、コンプライアンスの向上するというメリットがある。
高血圧治療薬の選択において、血圧は日内変動があり、高かったから用量を増やせばいいという考えではなく、患者さんの状態(いつ血圧が高いのかなど)を考慮して服用タイミングやタイミングごとの量、それぞれの薬の極量を加味した薬剤選択を設定しなくてはならない。その中で、少しでもコンプライアンスの向上を目指して、合剤という選択肢がある。合剤と単剤の使い分けや、今後の病状変化に対する薬の調整のしやすさを考慮して治療が行われる。患者さんのコンプライアンス向上という医療者の考え同時に、飲む量やタイミングが変わることがコンプライアンス低下も招きかねない。そこで薬剤師が重要な役割を担っていることを学んだ。