【詩】　子離れの夢

かわいいけど疲れてた
あっというまよと簡単に言う先輩ママたち
寝るときに目を閉じながら　
半分冗談　半分本気で
明日の朝目覚めたら　高校の卒業式で
あっという間だったわ　さみしいわ
と言って涙する自分
それがいいわーと思ったりした

２歳ちがいの男の子がふたり
いない時は言われなかったのに
もう一人は　女の子は　と言われるようになった
三人はいらない
病院行かなきゃ子どもはできない　
男でじゅうぶん
それ無神経だよ
幼い子どもの　模範になりたい母の私は
声を荒げたりしない
傷つける言葉を吐く勇気もない
でも一度だけ言い返した　女の子のいる人に
うちは女の子いないんで
十代の妊娠を家の中で見ることからは確実に救われてて
ありがたく思うわと

生まれたてはかわいい
少しポチャるとかわいい
歩けるとかわいい
言葉が出るとかわいい
いつがピークなんですか　子どものかわいいの？
センパイお母さんたちは一様に
いつも「今が一番よ」とか
「ずっとかわいいわよ親には」
と　おためごかしをいう
じゃあ私の親には　今の私が一番かわいいんかい
３４でも４９でもかわいいんかい
同い年のセンパイママが一人　聞きたい答をくれた
見た目のかわいさ？ピークは5才ね

けさ目がさめると　夢が終わっていた
子どもの高校の卒業式
近所の同級生の家でいっしょに見た　オンラインでなんで　
外にテレビを出して　コロナなんで

全部ほんとうだった

すんでみたら
あっというまで
十代妊娠は家でも外でも見なくてすんで
５才のときも　今も
子どもはかわいかった
いつまでもかわいかった
卒親してたつもりでも　かわいかった