JURY DUTY(その3 了)※ネタバレ、考察あり。
後半4話は一気見しました。感動のエンディングに素直にやられました。
全8話の7話の最後で判決とネタばらしをして、最終話はネタバレに対するロバートのリアクションと裏話、そして後日譚という構成。
それで製作手法的に抱いていた疑問もいくつか明かされました。
まず、ロバートは法廷ドキュメンタリーの出演者の応募に応募してきた2500人の中から選ばれた1人だったということ。
法廷ドキュメンタリーの撮影という体でカメラが常に密着していたんだということなのでしょう。まあ私などはそんなことリアルであるかね?と思ってしまいますが、2500人の中からそういうことに疑いをもたないような人が選ばれたのでしょう(てか正直ロバートのニブさはヤラセを疑うレベルですが、最終回を見るとヤラセではなさそうです)。
ロバートは本当に”いい人”なんです。この作品のテーマは、「本当にいるいい奴図鑑」だと思います。あるいは、「フォレスト・ガンプ」リアル版といったところかも。
ぶっちゃけ、2500人から、今回の脚本上、ある程度予想される事態。一番それに沿った行動をしてくれそうな人選がロバートなわけだからからそうなんでしょうけど。ただ実際、脚本を書いた側の人が、「こんなに予想通りの行動してくれるなんて」と感動しているのです。
さらに共演者たちも、それをリアルで間近に見ているからこそ、ロバートのことを「この人は掛け値なしにいい人だわ」と感動している様子が伝わってくるのです。
昔から「いい人」は報われないとか損をするとか言われて、「悪い奴ほど得をする」ことが当たり前になっている今日この頃ですが、最近はかなり「いい人」の需要が高まっていて、「いい人」が金銭的にも報われる時代になってきたかもしれません。この作品では、最後ロバートは大金を得られます。視聴者はこれに何も異論ないでしょう。
私は最初の投稿で、ロバートが気の毒に見えたと書きましたが、その後の展開はそうでもなかった。思えば、ロバートを陪審員長にするための伏線だったのでしょう。その後ロバートに課されるミッションは、わざとらしい程にロバートを持ち上げる結果をもたらすように仕組まれていたのです。
ドッキリの基本は、なにかストレスになるイベントを与えて辛い思いをさせたのち、種明かしをして、あー嘘でよかった、となる展開でしょう。
が、このドッキリは仕掛けの中でロバートをアゲていって、本人も自信を深めていく。この裁判は本当に自分にとっていい体験だったなあ、と思っているところでネタバラシをするので、結果ロバートは全然気の毒じゃありません。よーくよく考えるとぼやきたくもなりますが、ロバートはいい人なのでそんなことは考えません。
つまりこのシリーズは、「いい人」を訝って、たぶらかせば堕ちるんじゃないか?という引きずり下ろしのスタンスでなく、「いい人」をより「いい人」たらしめて、「やっぱりブレずにいい人」な様子を見て気持ちが良くなる”陽の者”。いい人が報われる話が見たい。願わくば、フィクションでなく本物のが見たい。という需要に応えてくれています。
”リアリティショー”の本場アメリカ。初期のYOUTUBEを眺めて「欧米人はカメラ慣れしてるなー」と思っていました。いまや日本人も顔出しカメラ目線当たり前になりましたが、リアリティショーのバリエーションはやはり向こうのが豊富ですね。
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