将棋自戦記#21~第6期指す将順位戦第9局~vsドラキーさん
みなさんこんにちは、やきそばです。前回の対局から一週間。今回は短い間隔での対局となりました。自戦記の方も筆が乗るうちにどんどん書いてしまうのが良いですね。未完成の記事が1本ありますが今期も対局+自戦記の完走が目標の1つ。noteを開いて記事をしたためるこの時間を楽しみたいなと思います!
話題は変わりますが、前回の自戦記を投稿した日に指す将順位戦は8回戦の期日を迎えました。そこで同組参加者の天城こじろ~♪さんの不戦敗・失格が決まり、私の10回戦の不戦勝が確定しました。再戦を熱望していただけに残念でなりません。いつかこじろ~さんが戻ってこられたら、どこかで1局お手合わせできればなと思う次第であります。こじろ~さんへの思いの丈を語りたい気持ちを抑えて、ここは自戦記本編に進んでいきましょう。
局前の準備~ドラキーさん編その2~
10回戦の不戦勝が決まり、その時点で7勝2敗の単独2位となった私。9月末時点の順位表を見れば1位に8勝0敗のおちりすさんが、私の近くにはほぼ横に並んで2敗勢の駄々さん、daidaiさん、こえだめさんがいます。そして3敗勢がなんと6人。そのなかには最終局で当たる動点Pさんの姿もあります。このなかで前期順位が私より上なのは順位1位の駄々さんのみ。前期順位4位の恩恵は大きく、3敗目を喫した場合は自動的に3敗勢のトップに立つという恰好です。残りを2連勝すれば堂々昇級ということで、自力での昇級が急に現実味を帯びてきました。
しかし実際のリーグは混戦状態。本局に勝てば昇級への道が一気に開けるものの、負けるようでは最終局が3敗勢同士による動点Pさんとの鬼勝負になってしまいます。もし連敗すれば入替戦出場すらも怪しくなるわけで・・・。プレッシャーが掛かる前に楽になりたいという気持ちがむしろ自分へのプレッシャーになる始末。浮き足立ったり緊張したり、とにかく落ち着かない日々を過ごしておりました。
さてさて、ドラキーさんについては上のリンクから前期の対局も振り返っていただければと思います。中飛車党の棋風に変化はなさそうで、石田流を志す私に対して敢えてほかの筋に飛車を振るということも無いだろうとも予想していました。前年との違いを挙げるとすれば、先後かかわらず三間飛車の採用を決めていたことでしょうか。前局で予定外の対中飛車戦を指したこと、居飛車穴熊の採用時に勝率が低いことが主な理由です。そういうわけで中飛車左穴熊の対策にとりかかりますが、これ!という情報を見つけ出すことはできませんでした。ソフトを用いた検討もつかみどころを見つけられなかったので、実戦で石田流の感覚を取り戻すことに専念しました。ここしばらくの指す順は相振りと対振りばかりでしたから、意識的に三間飛車の数を増やしてみることに。準備が進まないときは諦めて寝てしまうなど、コンディション調整(という言い訳かもしれませんが)にも重きを置いて対局当日を迎えました。
それにしても、対局直前のそわそわ感と言ったら尋常じゃありませんでした。前日の晩に「対局に負け、Twitterの画面に敗戦の弁を書き込む夢」を見てしまったのです。もっと早寝しておけばよかったかなと後悔したり、自玉が危ないと分かっているのに無理攻めに飛び込んだり。それはもうやけに生々しい夢です。当日の朝目が覚めて「まだ指してないじゃん!」と安堵しました・・・。日中は本当に現実逃避のような過ごし方をしていた気がします。夜には対局前のルーティンとしてお風呂に入り、決まった時間にレッドブルを飲み、決めてある音楽を聴き・・・どうにかこうにか心を整えます。今期はこのルーティンを決めておいて本当に良かったなと思いますね。20時を回り対局が始まります。
淡々と組む
第6期指す将順位戦B級3組9回戦
令和3年10月2日20時
於・将棋倶楽部24 大阪道場「自由対局室」
▲ドラキー △やきそば(持ち時間各15分、秒読み60秒)
▲5六歩 △3四歩 ▲5八飛 △3二飛
▲5五歩 △4二銀 ▲7六歩 △6二玉
▲6八玉 △5二金左▲7八玉 △7二玉
▲7七角 △8二玉 ▲8八玉 △7二銀(途中1図)
▲9八香 △3五歩 ▲9九玉 △4四歩
▲8八銀 △4三銀 ▲7九金 △9四歩
▲5九金 △1四歩 ▲5六飛 △3四飛(第1図)
先手はドラキーさん。予想通りの初手▲5六歩から対局はスタートしました。5筋の位を明け渡して指すことになるので、いつでも▲5四歩の大捌きがあり得ます。互いにそういう乱戦は志向していないのだろうと思いつつ、しっかり駒組をしたいという気持ちで美濃囲いを優先します。途中1図で△7二銀まで決めてから△3五歩。大勢には影響なかったでしょうが、こういった手順にも対局者の心理がよくよく表れている気がします。
ドラキーさんはいつも通りといった感じで穴熊に、どちらかというと淡々とした雰囲気で序盤は進みました。▲5六飛に呼応するかのように△3四飛と浮き飛車に構えて第1図。昨年に似た流れで対局は進行していきました。
揺さぶりと仕掛けのタイミング
第1図以下の指し手
▲2六飛(途中2図)△2四歩
▲4八銀 △3三桂 ▲5六飛 △1三角
▲6八角 △2五歩 ▲6九金右△6四歩
▲5七銀 △3六歩 ▲同 歩 △4五桂(第2図)
▲2六飛(途中2図)のゆさぶりが昨年には無かった一手。対して△2四歩と対応したのがどうだったでしょうか。ソフトに聞くと△3二銀を推奨してまして、▲5六飛△4三銀▲2六飛の千日手模様もちらつくような…?本譜は桂馬を支えに△2五歩まで伸ばし、角筋を通して戦います。ドラキーさんは今回も▲4八角と引き、石田流に対して角のラインで対抗の構えです。
仕掛けどころにも迷いましたが、すぐの△3六歩には中飛車側からの角交換が嫌味。実際ドラキーさんも▲1三角成~▲2三角で行けると読んでいたそうで、ここは△6四歩と踏みとどまったのが好判断でした。△3六歩▲同歩△4五桂と仕掛けた第2図は、昨年の仕掛けにかなり近い局面になりました。違いは先手の▲6九金右と後手の△2五歩。揺さぶりと先後の違いがダイレクトに影響していますね。
さばきの成否
第2図以下の指し手
▲4六銀 △3六飛 ▲4五銀(途中3図)
△5六飛 ▲同 銀 △3九飛(第3図)
この周辺、さばきの成否が勝敗にも直結しかねない重要なポイントです。さばき合った先で穴熊と美濃囲いのどちらに火の手があがるのか、主導権争いとあっては互いに読みも慎重になります。途中3図では代えて▲3七歩も一局で、落ち着いた流れで戦うのもあったかと感想戦では話題になりました。本譜はドラキーさんが3分使って▲4五銀。こちらとしては先に桂損するので怪しい手順ですが、こうなると飛車交換は必至です。角交換を相手からしてもらい、その手得の間に少しでも先着しようと△3九飛(第3図)と打ちます。角交換の間に桂を拾えば、△5七角や△5七桂のような攻めがありそうです。
乾坤一擲の捨て桂
第3図以下の指し手
▲1三角成△同 香 ▲1一飛 △2九飛成
▲1三飛成△3五角 ▲1一龍 △7七桂(途中4図)
▲同 桂 △7九角成▲同 金 △7八金(第4図)
第3図から▲1三角成△同香▲1一飛までは読み筋通り。そこで先手の▲1三飛成には△3五角や△5七角の切り返しがあることを発見。桂馬を拾う攻めを模索します。できるなら5七の地点には桂馬を打つ手から考えたかったので本譜は△3五角を選びました。ここで手番を握れたのが大きく、感想戦では先手から事前に▲5七角として息長く指す手があったかもという話になりました。▲1一竜と逃げてもらったことで攻めにも弾みが付きますが、読みを進めてみると△5七桂には▲6八金直、△5七角成には▲5八香の受けがあり思うようにいきません。そんなときに見えたのが△7七桂(途中4図)だったのです。
見えたというよりは、見えてしまったという方が正しいかもしれません。対局中の読み筋、ドラキーさんの応手として読んでいたのは5つ。①手抜けば次に△6九桂成から確実な攻めが効く。②▲同銀には△7九角成▲同金△同龍の殺到で迫れる。③▲同桂も△7九角成と飛び込めば▲同金△7八金がある。④▲7八金右には△6九桂成でOK。⑤▲6八金上では△8九桂成からゆっくり攻める方針(▲同角成で受けになっていないのには気づいていなかった)。
いきなりの桂捨てなので、攻めが頓挫すれば一巻の終わりです。しかし目の前には魅力的な手順が広がっています。ドラキーさんも攻め駒はさばけており、右銀こそ働きが悪いですがもたもたしていれば昨年と同様の速度逆転が起こり得る状況です。読めるところまで読みたいけれど、ダメだったときのために時間も残しておきたい。悩みながらもこの手に命運を賭けます。
結果としては③のコースに突入。△7八金は龍切りからの詰めろにもなっており、桂捨ての顔が立って大満足の展開。このまま一気に穴熊を攻めてしまえ!とテンションも最高潮でした。
隠された真相
第4図以下の指し手
▲8九桂 △7九金 ▲同 銀 △同 龍
▲8八角 △7八銀 ▲7九角 △同銀不成
▲7八金 △6八金 ▲7九金 △同 金
▲8八銀 △6八角 ▲2九飛 △7八金打
▲7九飛 △同 金 ▲同 銀 △同角成(第5図)
感想戦では△7七桂以降の検討はされませんでした。それで攻めが決まっているとお互い思っていたからです。しかし真相は違いました。ソフトに尋ねたところ、第4図から▲1三角(仮想図)という妙防が存在していたのです!
そう、さっきのやり取りで1三の地点が開いていました。△3九龍には▲同角成と引く手があり、これが非常に頑強な詰めろ逃れです。△3九金▲同馬△3八金には▲8九金と埋める手があります。この手が入っていれば先手優勢でした。一見うまくいった攻めでしたが、その実態は幻の受けを掻い潜った先にようやく成立したものだったのです。これは見えません。が、次はありませんからしっかり心に焼き付けておきたいですね。
本譜は▲8九桂と埋める一手に対して7九の地点で清算して攻めます。何度も何度も穴熊の補強が入りますが、必死に食らいついて攻めをつなげていきます。穴熊の戦い方をよく知るドラキーさんの抵抗は凄まじく、こちらが良いとは分かっていても簡単には寄せられません。それでも第5図では馬を作りながら飛車も持ち駒に加えており、どうにか寄せの継続を図ります。
大きな大きな8勝目
第5図以下の指し手
▲8八金 △5八飛 ▲7八香 △6八飛成
▲4六角 △8八馬 ▲同 玉 △7九銀
まで88手でやきそばの勝ち
(消費時間=▲15分、△12分)
先手は▲8八金~▲7八香と駒を埋めて受け続けますが、△5八飛~△6八飛成が受けるスペースを作らせない寄せ。手番を取られることなく攻められたのが大きく、ここは厳しい詰めろで着実に迫ることに成功しました。最後は角の裏から王手をかけて、先手玉を詰ますことができました。ドラキーさん対局ありがとうございました!
振り返りと次局に向けて
対局中はとにかく△7七桂の一手に興奮していました。これが決まるか否かという大勝負に打ち勝ったのはとてもうれしいことです。実際の善悪としては反省しつつも、踏み込む決断ができたことは良かったのかなと思います。次はもっと正確な読みに基づいた決断が下せればいいですね。ほかのところでは、昨年の対局との違いをもっと意識しておけばよかったとも思います。対局中はなんとなく類型であることは意識していましたが、いざ見比べてみるとそっくりな局面です。準備段階でも前例に焦点を当てた検討がもっとできたのではないでしょうか。これも反省材料として持ち帰るのがよさそうです。
星取りはこれで8勝2敗。数字上では前期成績の7勝4敗を上回ることが決まりました。また、確認できる限りでは入替戦進出以上が決定です。これはうれしい!!!とてもうれしいですね!!!最終局までは期間が空きますし、その間の結果次第では最終局を指す前に直接昇級も決まるかもしれません。変に期待することも、逆に気取ることもせず、素直に昇級が決まればいいなーという心持ちで観戦に回りたいと思います。
最終局の相手は動点Pさん。昨年当たったときは快勝だったのですが、今期は右玉にさらに磨きがかかって好調ですね。実際24のレートも伸びていて、充実ぶりが伺えます。時間ができたのでじっくりと対策を進めていこうと思います。最後まで頑張りますよー!!!
というところで今回はこの辺で。次までの期間を利用して、次回はカメさんとの自戦記の続きを書こうと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!!