羅刹の紅(小説投稿)第七十四話Part2
しかし、それが当たることはなかった。理由は簡単、拳よりも拳銃の方が強いからだ。
「偉炎・・・それは、」
黒い拳銃に反応したのは優雷だった。見るのは二度目のはずなのに未だに出てくると驚きを隠せないようだ。
「当たり前だが、これは秘密で頼む。同じ部活の二人だから見せた。」
偉炎は淡々と話した。
「ふーん、学校であれだけナイフを持っていることをダメとか言っていた人がそれを持っているのは心外だね。」
雪愛の方は冷静だった。
「まぁ、それのお陰で助かったわけだから仕方ないわね。拳銃の件は私のナイフと共にグレーゾーンというわけで。」
「そうしてくれると助かる。」
拳銃の件はすぐに解決したそうだ。
「とりあえずここから出るぞ。そして、大聖堂まで移動する。」
三人は司祭館から出ようとした。しかし、ここで終わらないのが災厄、外にいた敵がまた司祭館の中に侵入して来た。彼らはなんとしても偉炎たちを排除して教会内にある今川家の宝を発見したいそうだ。
「くそ!さすが赤虎組、人数もやらかしていることも多い・・・」
ここで、偉炎が一言漏らしてしまった。ただ、これがかなり効いたらしく赤虎組という言葉を聞いた人の内一人が
「おい!なんでお前、俺らが赤虎組から依頼されているってわかったんだよ!」
と、あっさりと身バレをしつつ顔を青くしながら質問した。彼らが恐れている最悪のケース
は教会内で財宝が見つからず、武器を不必要に使用した上で赤虎組の素性がばれてしまうことだ。もし、そんなことになれば彼らのボスである御影からどんなことをされるか分からない。命がけなのだ。そして、このまま行けばその結末になってしまうのは間違いない。
「おい!このまま行けば俺たちの人生が危ねぇ!」
敵の内の一人が叫んだ。
「?人生」
偉炎は少し首をかしげた。
「そのためにもこいつは絶対に生かして帰すな!俺たちの素性を知っている。」
ちなみに偉炎知っているのは彼らが赤虎組の関係者であることだけであって、首都で凶悪な罪を重ねた凶悪犯ということまでは知らない。
「・・・こっちも覚悟決めないといけないみたいね。」
雪愛はその黒い目に「生き残る」ための執着心を宿した。