羅刹の紅(小説投稿)第七十八話Part2
・あらすじ
町で悪行を繰り返す赤虎組に狙われることになった普通を愛する高校生「最上偉炎」は対抗するために校内に一般部を作った。一般部には素性が全く分からない顧問の「切風叶」と偉炎の親友で馬鹿力を持っている馬鹿な「北条優雷」がいる。そして新たな仲間として同じクラスメイトでかつてこの国のトップである「五大財閥」に君臨していたが、祖父の謎の死によってその地位をはく奪された今川家の令嬢「今川雪愛」が加わることになったのだが彼女は入部する交換条件で一般部に依頼をした。それは祖父が雪愛に遺した財宝が教会にあるためそれを探してほしいとのことだった。しかし、その財宝にも赤虎組の手は伸びており、偉炎たちは赤虎組と教会に戦うことになった。様々な出来事が起きる中、偉炎たちは赤虎組に勝利するが、戦闘の後始末や財宝の在り方をさがすなどまだまだやることはたくさんあるのであった。
優雷が明らかに嫌そうな顔をした。
「そうよ、だからあんたはさっさと動く!体動かすぐらいしか取り柄がないんだから。」
「なんだと!」
優雷と雪愛が喧嘩になりかけた途端、三人のARコンタクトに電話がかかってきた。そして、それぞれの電話相手はどうやら同じそうだ。
「おーーーす!みんな生きているかい?とりあえずお疲れ様ですゥ。」
我らが顧問である切風叶からだった。
「・・・僕たちが襲われることを事前に予測していたのか?」
偉炎は切風の口調から彼女がこうなることを予測していたのではないかと疑った。
「いやだなー、教会の方で大きな音がしたからそれを確認しただけだよ。それにほら、君には優雷と雪愛という強力な仲間がいるでしょうが。」
「仲間・・・」
「無事なら問題はない。それよりもそちらの現状を教えてくれ。」
切風叶は偉炎たちの安全を電話越しに把握するとすぐさま教会の状況を聞いた。
「・・・教会の関係者が危ない。一命は取り留めているけど怪我がひどい人もいる。おそらく赤虎組の連中が財宝の在り方を吐かせるために攻撃したんだろう・・・安全のために早く病院に行った方が良い。それと施設の破壊がひどい。特に大聖堂はガラスが飛び散っているし、中にある木の長いすや石像とかが壊れてしまっている。どう見てもごまかせる状態ではないぞ。」
偉炎は知っていた。切風叶がこのような質問をしたのは、おそらく戦闘があった証拠を消そうとしているからだ。それはかつて偉炎が初めて戦った体育館の屋上でも戦闘などを見ていればわかるだろう。ただ、今回はそううまくいくのか疑問が残る。戦闘の範囲が教会全体という広い範囲で行われているからだ。それに教会の関係者もその様子を確かに見てしまった。「高校生が武器を所持していた。」なんて町で噂になったらそれこそアウト。切風叶の力量が勝負のカギとなった。
「OK!後処理は任せて~。」
切風は何不自由なく返答した。
「え!?大丈夫なのか?」
「もちろん。私を誰だと思っているの?」
「いや、知らないから今困っている。」
偉炎は正論をぶちかました。始業式の日に会った切風だが偉炎は未だに彼女の正体を分からずにいた。何度か聞く機会はあったものの、いつもはぶらかされていた。しかし、この会話の流れで切風は自身から墓穴を掘った。なぜなら、偉炎は自然な流れで切風の正体について触れたため、次のセリフは自身の正体を言わないとおかしな状況になってしまったからだ。ただ、切風にそれは通用しなかった。
「それより君たちは財宝の在り方を見つけ出しておいてね♡とりあえず七時まで探してみてもしなかったらそのまま帰っていいよ。また後日探せばいいから・・・」
切風は自身の事について触れず完全にスルーした。そして、明日以降探すことについて少し不服な様子で話した。この瞬間、偉炎は感覚的に理解してしまった。彼は切風叶という女に支配されているのだ。屋上での戦闘以降において拳銃所持という弱みを握られ、様々な要求を飲んできた彼は、今回の任務が達成できなかった場合の未来を恐る恐る感じてしまったのだ。今回の目的は別に赤虎組の連中を倒すことではない、今川家の財宝を手に入れることなのだ。それができていないこの時点で、偉炎はただただ切風叶という恐怖を読み取ってしまったのだ。
「速く財宝を探そう!夜が遅くなる前に!!」
偉炎は傷ついた身体を起き上がらせて二人に指示した。
「え?いや、あんたはまだ休んでいていいわよ。」
雪愛は偉炎に休むように勧めた。しかし、偉炎はそんなことをしている場合ではない。もし、ここで財宝が見つからなかったら任務は失敗、切風叶の偉炎はへの信頼はなくなり拳銃の件が表に出てしまうかもしれない。
「でも、あなたはもう充分にやることをしてくれたわ。あとは私たちに任せてゆっくりしていなさい。」
「いや、僕も探す。ここで見つけないとだめだ。いつ赤虎組の連中が再び教会を襲うか分からない。そうなる前に、ここで手に入れておかなければ!!」
気が動転していた。冷静でないことは客観的に見れば明らかだ。雪愛は彼が普段の状態ではないことを判断すると手に力を入れ、ピンと伸ばした。いわゆる、手刀の形にしたのだ。そして、躊躇なく偉炎の首筋に向かってその手を強く押し当てた。
「ぐっ・・・!」
強い衝撃に襲われた偉炎は意識を保つことができずそのまま気絶してしまった。その後の雪愛と優雷の行動について彼が認識することは残念ながらできなさそうだ。
優雷が明らかに嫌そうな顔をした。
「そうよ、だからあんたはさっさと動く!体動かすぐらいしか取り柄がないんだから。」
「なんだと!」
優雷と雪愛が喧嘩になりかけた途端、三人のARコンタクトに電話がかかってきた。そして、それぞれの電話相手はどうやら同じそうだ。
「おーーーす!みんな生きているかい?とりあえずお疲れ様ですゥ。」
我らが顧問である切風叶からだった。
「・・・僕たちが襲われることを事前に予測していたのか?」
偉炎は切風の口調から彼女がこうなることを予測していたのではないかと疑った。
「いやだなー、教会の方で大きな音がしたからそれを確認しただけだよ。それにほら、君には優雷と雪愛という強力な仲間がいるでしょうが。」
「仲間・・・」
「無事なら問題はない。それよりもそちらの現状を教えてくれ。」
切風叶は偉炎たちの安全を電話越しに把握するとすぐさま教会の状況を聞いた。
「・・・教会の関係者が危ない。一命は取り留めているけど怪我がひどい人もいる。おそらく赤虎組の連中が財宝の在り方を吐かせるために攻撃したんだろう・・・安全のために早く病院に行った方が良い。それと施設の破壊がひどい。特に大聖堂はガラスが飛び散っているし、中にある木の長いすや石像とかが壊れてしまっている。どう見てもごまかせる状態ではないぞ。」
偉炎は知っていた。切風叶がこのような質問をしたのは、おそらく戦闘があった証拠を消そうとしているからだ。それはかつて偉炎が初めて戦った体育館の屋上でも戦闘などを見ていればわかるだろう。ただ、今回はそううまくいくのか疑問が残る。戦闘の範囲が教会全体という広い範囲で行われているからだ。それに教会の関係者もその様子を確かに見てしまった。「高校生が武器を所持していた。」なんて町で噂になったらそれこそアウト。切風叶の力量が勝負のカギとなった。
「OK!後処理は任せて~。」
切風は何不自由なく返答した。
「え!?大丈夫なのか?」
「もちろん。私を誰だと思っているの?」
「いや、知らないから今困っている。」
偉炎は正論をぶちかました。始業式の日に会った切風だが偉炎は未だに彼女の正体を分からずにいた。何度か聞く機会はあったものの、いつもはぶらかされていた。しかし、この会話の流れで切風は自身から墓穴を掘った。なぜなら、偉炎は自然な流れで切風の正体について触れたため、次のセリフは自身の正体を言わないとおかしな状況になってしまったからだ。ただ、切風にそれは通用しなかった。
「それより君たちは財宝の在り方を見つけ出しておいてね♡とりあえず七時まで探してみてもしなかったらそのまま帰っていいよ。また後日探せばいいから・・・」
切風は自身の事について触れず完全にスルーした。そして、明日以降探すことについて少し不服な様子で話した。この瞬間、偉炎は感覚的に理解してしまった。彼は切風叶という女に支配されているのだ。屋上での戦闘以降において拳銃所持という弱みを握られ、様々な要求を飲んできた彼は、今回の任務が達成できなかった場合の未来を恐る恐る感じてしまったのだ。今回の目的は別に赤虎組の連中を倒すことではない、今川家の財宝を手に入れることなのだ。それができていないこの時点で、偉炎はただただ切風叶という恐怖を読み取ってしまったのだ。
「速く財宝を探そう!夜が遅くなる前に!!」
偉炎は傷ついた身体を起き上がらせて二人に指示した。
「え?いや、あんたはまだ休んでいていいわよ。」
雪愛は偉炎に休むように勧めた。しかし、偉炎はそんなことをしている場合ではない。もし、ここで財宝が見つからなかったら任務は失敗、切風叶の偉炎はへの信頼はなくなり拳銃の件が表に出てしまうかもしれない。
「でも、あなたはもう充分にやることをしてくれたわ。あとは私たちに任せてゆっくりしていなさい。」
「いや、僕も探す。ここで見つけないとだめだ。いつ赤虎組の連中が再び教会を襲うか分からない。そうなる前に、ここで手に入れておかなければ!!」
気が動転していた。冷静でないことは客観的に見れば明らかだ。雪愛は彼が普段の状態ではないことを判断すると手に力を入れ、ピンと伸ばした。いわゆる、手刀の形にしたのだ。そして、躊躇なく偉炎の首筋に向かってその手を強く押し当てた。
「ぐっ・・・!」
強い衝撃に襲われた偉炎は意識を保つことができずそのまま気絶してしまった。その後の雪愛と優雷の行動について彼が認識することは残念ながらできなさそうだ。