挑
京都芸術大学へ入学して、最初に書いた文字は「挑」と「初志貫徹」。30年ぶりに真面目に書いた文字は、ひ弱く、満足がいくものではなかったけど、その文字がそのときの私の実力。今でも部屋に貼ってある。
通学制の大学は90%の卒業率(何年かかるかは別)だそうだけど、通信制は15%らしい。それを知ったのは、入学式の日だった。通信制の卒業率の低さは、一人で保つモチベーション、仕事や家庭を持ちながら勉強することにあるとされている。
それを聞いてエンジン全開、アクセルべた踏みで1年目に卒業制作以外の単位を全て取った。
頭の中が錆び付いてなかなかレポートが進まず、涙チョロリンの日もあれば、頭崩壊の日もあった。実技の方も、30年のブランクは大きかった。私が習ったことがある書体は、楷書、行書、草書、そして少しだけ隷書だった。それより古い金文などは書いたことすらなく、筆をもっても書けずに半紙を見るだけの日もあった。
篆刻(石に印を彫る)は道具すら持っておらず、先輩の厳しいご指導(オンライン)でようやく形になった。
それから最大の難関は、水墨画。基本とされる竹が描けず、最初に単位を落とした(その後合格)
書画同源、竹が合格する頃には描き方が少しずつわかってきた。
で、
ようやくここまできた。
卒業制作着手、許可。許可の文字がホームページに現れるまで、どれだけ待ったことか。
途中、何度もコンシェルジュ(大学の相談窓口)に今の単位の取り方で間違っていないか問い合わせたりした。
書道再開、まだ1年半。どれだけ書けるかわからないけどやってみる。挑戦。
まさしく、挑む。