『あの頃のBLの話をしよう』って何?BL黎明期をたどるインタビュー集
この記事では、1990年代に活躍したBL漫画家、BL小説家、BL雑誌の編集者に話を聞いたインタビュー集『あの頃のBLの話をしよう』について紹介しています。
BLというジャンルが確立され始めた1980年代後半から1990年にかけてデビューし、2023年現在も第一線で活躍している方々に、BL黎明期がどんな時代だったのか、そこからどのようにして今のBLブームができていったのかを聞いたお宝本です。
BL業界の歴史を紐解く貴重な1冊ですが、インタビュアーの方がとんでもないBLオタクなので、質問のひとつひとつがおもしろく、読み物としても楽しい本になっています。
イラストはナツメカズキ先生。
『あの頃のBLの話をしよう [BLインタビュー集]』 2016年刊行
『あの頃のBLの話をしよう 』は、同人誌から始まったBLブームがどのように現在の一大ジャンルに育っていったのかを、当時をよく知る方々へのインタビューを通して紐解いていこうという企画本です。
BLという言葉がどのようにして生まれたのか、日本を代表するBL作家たちはどのようにして発掘されていったのかなどが語られていて、BL業界のなりたちを知ることができる興味深い内容になっています。
ここからはインタビューに参加された方の紹介と、それぞれがどの著作について語られているのかをまとめていきます。
漫画家 よしながふみ
『月とサンダル』でデビューし、『大奥』、『愛すべき娘たち』などの代表作で知られている漫画家です。
今はBL以外のジャンルでも活躍されているよしながふみ先生は、1990年代はBL誌で活躍されていました。
『あの頃のBLの話をしよう』では、『西洋骨董洋菓子店』や『きのう何食べた?』についてお話されています。
漫画家 こだか和麻
『せっさ琢磨!』でデビューし、『KIZUNA‐絆‐』や『腐った教師の方程式』などの代表作で知られる漫画家です。
『あの頃のBLの話をしよう』では、『KIZUNA‐絆‐』や『腐った教師の方程式』、『BORDER』についてお話されています。
小説家 松岡なつき
『深紅の誓い』でデビューし、『FLESH & BLOOD』などの代表作で知られる小説家です。
富樫ゆいか名義でライトノベルや漫画原作も手掛けています。
『あの頃のBLの話をしよう』では、『FLESH & BLOOD』や『深紅の誓い』、『WILD WIND』についてお話されています。
小説家・元編集者 霜月りつ
BL雑誌『イマージュ』を立ち上げた編集者で、現在は真坂たま、白雪真朱、工藤イルマなど複数の名義でTLやロマンス小説を手掛けている他、霜月りつ名義で時代小説家としても活躍されています。
『あの頃のBLの話をしよう』では、『イマージュ』や『小説イマージュ』、当時のBL雑誌を取り巻く環境についてもお話されています。
編集者 太田歳子
BL雑誌『MAGAZINE BE×BOY』の初代編集長を務められた方です。
『あの頃のBLの話をしよう』では、編集者の目線で当時のBL業界を語られています。
まとめ
『あの頃のBLの話をしよう』は、黎明期のBL業界を知ることができる興味深いムック本です。
特別企画として、マンガ評論家で同人誌研究家の三崎尚人さんと、書店員の高狩高志さんのコラムも収録されています。
現在も第一線で活躍する作家陣がどのようにBL業界に足を踏み入れたのか、当時どういう執筆環境だったのかということも知ることができるので、ファンの方はぜひ読んでみてください。