見出し画像

「野宿をしながら自転車で日本を横断した話」 5/31 彦根→京都 75km

***前書き***

今回の日記はかなり長い(4500文字以上)となっているので、写真だけみていただけるだけでもありがたいです。それでは。


結局朝まで蚊と格闘?!

一晩中と格闘していて、半分寝だ状態なのが5時半まで続く。周りは人通りも少なくて最高の場所だったはずが、一転して状況はあまり好ましくない。ただ、そこから2時間は諦めて、ぐっすり寝たように思う。

2度目に起きた時は少し周りからが聞こえてきた。どうやら小学生の集団登校が自分の寝ていた公園の前から始まっていたようだ。メガネをしていなかったのでいまいちよく見えなかったが、小学生の何人かが不思議そうにこちらをみていた気がする。まあ、当然の反応だと思う。自転車と荷物を横に公園で寝ている人を見るのは初めてのことだろう。

驚かせたようなら申し訳ないと思ったが、あまりにも疲れていたのでもう少し横になる。ちなみに言っておくと、公園の中でも木の下の方で寝ていたので、あまり目たたず、邪魔にならないように寝ている。


今日の目的地はいよいよ○○!!

画像1

昨日買ったパンやバナナの残りを食べて、早速出発。今日は基本的に国道8号線という大きな道路を南西に向かい、滋賀県の県庁所在地である大津市に着いたら下道を行く、というシンプルなルートなので、特にGoogleマップを長く使うこともなさそう。携帯の電池を節約できるので、素直に嬉しい。

画像2

彦根市を出ると、「近江八幡市」に到着。医薬品やリップクリームで有名な「近江兄弟社」の印象しかないが、観光の面ではどうなのだろうか。街の中を少し散策しても良いとは思ったが、京都に早く行きたい欲が勝ち、そのまま進み続ける。

画像3

途中、ロッテの大きな滋賀工場を通り過ぎる。ロッテの文字を見て板チョコを食べたいと思っていたが、よく考えてみると板チョコは明治だった。お菓子会社違いだ。そのすぐに織田信長で有名な「安土城跡」という看板が見えてくるが、城跡ならまた今度でいいかなと目的地までの道をまた進み続ける。


○○すぎる関西のスーパー

何か見覚えのある地名が出てくるかと少し標識や看板などを意識して見ていると、「立命館大学」と書かれた看板が。あまり日本の大学については知らなかったが、どうやらよく耳にするこの大学は関西の大学だったらしい。また一つ、世界の謎が解ける。

画像4

大津市手前でスーパーに寄って小休憩。と考えていたら、隣接する小さなお店に「たこ焼き」の文字が見えたので一ついただくことに。券売機に向かってメニュー表示を見ると、「1パック100円」と書かれている。愕然。漫画のように一度目を擦ってもう一度かっ開いてみても、やっぱり100円。

画像5

「この値段なら4個くらいしか入っていないのだろう」と最初は思ったが、蓋を開けてみると、しっかり普通サイズのたこ焼きが6個入っている。

5月中旬に日本に戻ってきて初めてのたこ焼きだったので、少し味わいながら食べた。これが普通に美味い。想像を超える美味しさとかそういうわけでなくても、この味と量を100円で食べられるの日本は幸せな国だと感じる。

画像7

なんとなくスーパーの中に入ってみるとさらなる驚き。惣菜、お弁当から一般的な食品まで全てが地元のスーパーと比べて格段と安い。弁当は198円均一。品物は日本の物なのに、価格だけは東南アジアのよう。

画像6

ちなみにこの掌より大サイズのフランスパンは1つ100円。安い。

画像9

関西のソウルパン(?)とも呼ばれている「サンミー」というパンにも初めて出会う。東日本の人間としては、このパンに関する知識は皆無だ。

結局小さめの焼きそばを購入し、駐車場であっという間に平らげる。エネルギー補給ができたところで再出発。そこから1kmほど進むといよいよ「近江大橋」が目の前に見える。名前が広く知られている(?)割にはあまり豪勢な造りの柱ではなく、見た感じは至ってシンプル。

画像8

しかし橋の上からの景色は壮大で、曇っていたのにもかかわらず、圧倒的な琵琶湖の光景が左右に広がる。写真では映えて見えないのが申し訳なくなるほど果てしない。ここまでの規模だと、ぱっと見た感じでは海なのか湖なのかわからなくなるほどだ。今度またこっち方面に来ることがあったら、次は琵琶湖一周の旅なんかもしてみたい。

画像10

その後は大津市の中心街を通り、これまた豪勢な造りの滋賀県庁に目を奪われる。

画像11

ちなみに、滋賀県にも路面電車は走っているらしい。こう言った情報も、ネットだけではあまり知り得ない。


いよいよ古都・京都へ到着

ここからは下道、山道を走り続ける。少しの坂道はあったものの、これまでの1週間、特に熱海に行った日なんかと比べると全く苦になるほどではない。ちょっとするとあの京都府に入る。京都まで自転車できたという達成感だけで、胸の高揚感は最高潮

ちなみに京都へ来たのは人生初だ。地元・青森の高校へ進学していればおそらく修学旅行で来ていたはずなのだが、あいにくアメリカの高校へ通ってしまったので叶わなかった。

偶然「知恩院」という浄土宗総本山のお寺を見かけたので、行ってみることに。この場所は海外からの観光客が参加しているツアーの目的地となっているようで、中国人や欧米人らが多数見受けられる。かなり有名な場所のようだ。

画像12

やはり京都のお寺のお寺は違うんだと見せつけられるように、正門の大きさから少し圧倒される。

画像13

敷地内の本堂も、寸分のズレもない瓦屋根、シンプルな配色に表れるミニマリズム、1000年弱の伝統を体現しているかのような建築に魅せられる。

画像14

そこから散歩がてら少し歩いていると、いかにも京都らしい建物と石畳が映える小路が出現。京都に来たという実感がさらに湧いてくる。

画像15

駐輪場に戻って坂を下ると、「祇園さん」という愛称でも有名な「八坂神社」へ到着。

画像16

画像17

参道の人混みは異常なもので、この神社の人気さを感じられる。参拝を済ませ、ここでも恒例の御朱印をいただく。


京都に来たらやっぱりこれ!!

画像20

次の目的地は、中京区にあるお茶で有名な「一保堂(いっぽうどう)茶舗」の本店。おそらくこの旅1番の奮発である、900円の新茶を頂くことに。メニューを見てもよくわからなかった際、お店の方が勧めてくれたものだ。

半分セルフサービス、半分アドバイスを頂戴しながらでお茶づくりを勧めていく。所定の方法でゆっくり時間をかけてお茶を湯飲みの中に入れる。

「最後の1滴まで湯飲みにいれてください。おいしいですよ。」

お店の方がおっしゃるので、ぎりぎりまで湯飲みの中に入れる。

画像21

すると、とても上品な薄黄緑色の新茶が完成する。良質なものに疎い自分でも、味の深さがしっかりわかる、ような気がする。一緒に提供してくれた生菓子も美味しくいただき、京都のお茶の世界に1人満足する。


大正時代にタイムスリップ!?

画像19

お茶屋さんを後にし、鴨川沿いを走る。対岸には、テレビなんかでよく見る「納涼床」と呼ばれる客席がある食事処がずらっと広がっている。

画像18

京都は「駅伝」の発祥の地らしく、川沿いには石碑が建立されている。

画像22

画像23

次は、兼ねてから歩いてみたかった京都大学吉田キャンパスへ向かう。まず正門から入り、メインの建物であろう講堂が目の前に表れる。

画像24

画像25

大学構内は至って普通のキャンパスといった感じだが、「吉田寮」は雰囲気が一変する。

画像39

1913年に建てられ、実に今年で107年のそれはそれは歴史が古い学生寮だ。よく学生自治を巡って大学側と争ったり、立て看板、いわゆる「タテカン」の設置と聞くとピンと来る方もいるかもしれない。(写真は6月末にもう一度訪れた時のもの)

外観からでも伝わる異世界感。ぜひとも見学してみたかったので、思い切って「見学したいのですが....」と事務の方へ伝えると、案外あっさりOKをもらう。というのも、普段から見学者はよく来るらしい。

寮内撮影禁止ということなので、とりあえず携帯はポケットの中にしまうことに。築100年以上ということもあり、大正時代へタイムスリップしたような感覚に陥る。寮内では学生自治の必要性を訴える学生の話を聞いたり、寮の外に並べられているタテカンをじっくり読んでみたり。

何に一番驚いたかというと、寮内にはたくさんのビラが壁に貼られているのがだが、ところどころ旧字体が目立つものがあるということ。よく目を凝らして見ていると、

「昭和十九年 九月廿一日(木)

 寮内防空演習実施

寄宿舎報國隊南寮小隊長 長島」

と書かれているビラが。75年も前のビラがとても保存状態が良い状態でそのまま貼られていて、言葉を失う。この寮だけまだ戦時中の日本にいるようだ。

吉田寮見学を終え、帰路に着く途中でふと思う。もしかすると、吉田寮の見学は今のところ1番衝撃的だったかもしれない。


京都らしい風景が続々と登場!?

画像26

京都大学を出発し、再び鴨川沿いを走る。

画像27

2mほどの幅の細い小路に無数のお店が軒を連ねる「先斗町」を観光。最初は「せんとちょう」と読み間違えをしていたが、どうやら「ぽんとちょう」と読むらしい。食事処が99%、残りの1%が演芸場などその他の建物だろうか。

画像28

なんと説明をすれば良いのかわからないが、とにかく上の写真を見てもらえれば伝わると思う。

画像29

いわゆる「景観条例」という条例で、ファミリーマートなんかもかなり街の雰囲気と一体化している。こういう「京都」も見ていて楽しい。

画像30

今日の最終目的地として、京都駅へ向かう。駅前には東、西本願寺がそれぞれ堂々と建っているが、なぜ東西に分派してしまったのかはあまりよく知らない。下のサイトが詳しく紹介しているらしいので、もし気になったらぜひこちらからチェックして欲しい。


意外と文明的な京都駅!?

画像31

目の前を見ると京都タワーが現れ、京都駅がだいぶ近いことを知る。駅前の人混み、渋滞はすごいもので、おそらく大部分は観光客だろうと思う。

画像32

京都駅の外観は文明的で、想像していたものとはだいぶ異なる。

画像33

てっきり、木造の歴史あるような駅舎だと思っていたが、多数の商業施設がテナントとして入ってそうな駅ビルが隣接している。

画像34

画像35

京都タワーをバックに自転車の撮影をし、駅の反対側に出てみることに。反対側もそこそこ栄えていて、とりあえず駅前のドンキで食料を調達。

画像36

再び街の方へ戻り、夜の京都を徘徊。「錦市場」という有名な観光どころを歩いてみたかったが、どうやら夕方を過ぎた頃には閉まる様子。明日の朝また来ることに。

画像37

街中はかなりの都会で、さすが150万人都市だと感心する。京都にディズニーストアがあるのには少し驚いた。京都に来るまでなんとなくあった固定観念を否定された感じだ。


1週間ぶりの○○○は至福だった!!

今日は大都会の京都で、公園で寝ていると職務質問をされると思ったので、ゲストハウスに泊まることに。ネット上で当日予約したその宿の価格はなんと1000円ぴったり。公園で野宿していた身分としては、これでも十分贅沢だ。

画像38

部屋に案内され、二段ベッドの上の方を好きに使っていいとのこと。1週間ぶりのベッドで寝れるということで、嬉しさで発狂してしまいそうだ。こういった当たり前のことに感謝の気持ちを与えてくれるこの自転車旅をやってて良かったと心から思う。

疲れた体に、先ほどドンキで購入したチャーハン唐揚げ弁当が身に染みたのは言うまでもないだろう。明日は京都市内を一日観光するということで、久しぶりにゆったりとした気持ちで睡眠をとれそうだ。に怯える必要も全くない。