勢いだけでオリャーと絵を描く私なりの方法。
スゲー絵がかけた。
skebで依頼をもらった。個人使用のTシャツに使用したいとのこと。よっしゃまかせろと筆を取った結果、長い長い考え帰還も含めて2か月かかってしまったけどスゲーイカす絵になった。嬉しい。
本記事では備忘録としてこのイラストの工程を残しておくこととする。疑問点などあればコメントにでもください。覚えてる範囲で答えます。
1.頭をこねくりまわす。
『GO!という感じの躍動感のある絵』というリクエストだった。とりあえずノートに思いつく構図を描きまくる。どれもしっくりこない。
しかし、左ページ右上、右ページ右端に、こちら側に向かって走っているような構図が二回も出てきている。多分これが気に入ってると思われるのでこの方向でいく。
2.とりあえず資料を買う。
方向性を決めたけど、全く描けない。躍動感って何?どうすればいいの?わかんないウンコウンコウンコとなったのでそういう時はすぐ先人に頼る。できないことを無理にしようとしても意味はない。
購入。アイシールド21カラーイラスト集とグレンラガンやキルラキルで知られるすしおのイラスト集。これを見ながら温泉に入ったり、ペイントソフトをこねくりまわしてたら構図が頭に降りてきた。良い。
3.ラフを描く。
ドドン。ラフなんて自分がわかればいいので勢いが伝わればいい。『ぶっこわす!』『蹴り飛ばす!』『飛び出す!』というきもち。私が笑っていて、手前に足がドーーーーン!と出ているそんな感じのイメージ。
4.下絵を描く
ラフのレイヤーを薄くして、その上にとりあえずこんな感じ…というのがわかるような下絵を赤色で描く。色は分かりやすければなんでもいいと思う。
5.線画を描く。
気合で線画を描く。細かい所は描きながらその時一番気持ちいように描く。トゲを増やそう!とか、ここを尖らせよう!とか描きながらその時その時のどんどん追加していく。
線の描き方、太さの付け方なんかはアイシールド21やアメコミをお手本にする。
全体の輪郭やネクタイの先端部など、物足りないと思った部分を手書きで追加して完了。
ちなみにレイヤー構成はこんな感じ。こだわりなんて無い。ちょっと消えないようにセーブしとくか…という感覚で新しいレイヤをつくる。頭がわるいのですぐどこに何の線が入ってるのかわからなくなる。作業40%はそれを探す時間な気がする。アホ。
なお、使っているペンは『HIMOGザラ強弱』一本。全部これでなんとかなる。かわいいペン。無料です。たしか。
6.色をドバっと塗る。
色はバケツツールでドバドバ塗っていく。今回カラーの参考にしたのは大好きなモビルスーツ、マラサイ。今回は黒背景に映えてかつアチアチに感じにしたかったので、頭にうかんだのがマラサイカラーだった。グリプス戦役MSだいすき!!
7.影を描きまくる。
カゲその1を描いていく。影を描くというより、光の当たっていないところを塗る感覚で描くと良い感じ。布面とはとにかくギザギザさせておけば気持ちが良い。正しいかじゃなくて気持ちいかだけで考えてカゲ入れる。
なお、カゲは全て同じ色で塗っている。なぜなら私に影の色をひとつひとつ考える頭が無いから。上のような少し赤みがかったグレーを乗算レイヤーで載せてやるとどんな絵だっていい感じの影の色になる。(持論)太陽が赤いからだと思う。知らんけど。
あと、線画から影の色はみ出しとるやんけって思うかもだけど、これはレイヤ一覧のとこの「クリッピング」というヤツをオンにすると、下のレイヤで塗られてる部分以外の場所が消滅するので、色を塗ったレイヤの上に影レイヤを載せてやるとはみ出した部分が全部消える。つまり雑に塗れる。最高。
ちなみにこの影入れ以降の作業で使っているツールは『投げ縄塗りツール』一個になります。超便利。最高の機能です。
8.さらに濃い影をちょっとだけ描く。
さっきは光の当たってない部分に色を塗ったけど、今回は『何か物があって、それによって影が落ちている部分』を同じやり方で塗る。
こういうとこ。
レイヤ構成はこんな感じ。一回目の影レイヤーの上にそのまま乗せる。これだけでOK。なんか濃いなと思ったら透明度を上下させればOK。そんだけ。
9.光をあてる。
光の当たってる部分を塗るその1。これは主にズボン等の布地の部分。例のごとく気持ちよくギザギザを描いたり、キズが反射してる様子を描く。
色は白色。それを『覆い焼き(発光)』のレイヤに入れて、透明度を上げると良い~感じの色になる。私の色彩感覚は全て機械頼りである。
今回塗った光は布地なので透明度は高めの薄い光にする。布はそんなにテカテカ光らないので。(テカテカにするとエナメルみたいでカワイイので好きにする)
10.さらなる光をあてる。
髪や金属パーツなど、ギラギラと光る部分にさっきと同じように光を入れる。描画色はさっきと同じただの白色だけど、今回は強く反射してほしいので透明度は低めの66%。そのへんの塩梅は好きにする。
髪の光は束巻とか髪の流れとか深く考えない。気持ちよく強弱のあるギザギザを描く。あたまの丸みの縦線(地球でいう緯度みたいな)を意識して描くと急に立体感が出て来てめーーーちゃ嬉しいキモチになる。お絵描き快楽物質を出せるポイントです。
11.さらにさらにさらに!ちょっとだけ光らせる。
どこが変わったか、わかる???
わかりやすくすると、ここです。
髪に最後の光を入れる。これは私の中では光源の色がほんのりと差し込んでるイメージ。だいたいは太陽や電灯なので、黄色を覆い焼きで載せてやると良い感じになる。(もしピンクの照明の下ならピンク色になる。)
今回は髪のツヤの中心に描いた。他にもビカっと光の反射している金属やプラスチックの光の当たり始めや強く当たってる側面なんかにこれを入れるとカッコヨクなる。ポップさが足りないときにやると良い。
12.ほんのすこ~しだけ光と影を足す。
ほんの少しだけ光を追加。
ほんの少しだけ影を追加。はい。どう?わかんないでしょ?ははっはははははは。
わかりやすくするとこんな感じ。影光レイヤの一番上にレイヤをつくる。
ここを見てくれ~~~!!!という部分にうす~いブラシで明るいオレンジ色を載せてグラデーションをつける。前に突き出てる部分に日の光が当たってるイメージ。これはオーバーレイのレイヤで乗せる。オーバーレイがどういう効果なのかわからないけど、オーバーレイで色を載せると良い感じに馴染むのだ。
そして目立たせたい部分の反対の部分に影として、同じ様にうすいブラシでグラデーションをつける。今回は濃いオレンジ。影レイヤと同じように乗算レイヤ。
使っているツールは最初から入ってる柔らかブラシ。これのブラシサイズをめちゃくちゃにでかくして、ふんわ~~り乗せるイメージ。
これをすると平面的な絵がすこし立体的な印象になる。私は油絵みたいな立体的な絵を描いてるわけじゃないので、立体的な印象になる程度で良いのじゃ。
13.背景の文字を描く。
PCに映したワードの画面を見ながら気合でレタリング。止めハネは過剰にしてかっこよくする。ペンはいつものそれです。
13-2.中身を塗る。
炎っぽい色で塗りつぶす。
さらに中にアツアツな光を足したいので、塗りつぶしただけのレイヤーをコピーして2枚に増やす。さらに『線の色を描画色に変更』を使って明るい色に変更する。
これを『線幅修正』を使って細くする。
細くなりすぎて切れてしまった部分や形の気に入らない部分を手書きで(投げ縄塗りツール)で修正して完成。
14.とりあえずフチどりする。
今回の依頼主はこの絵を黒地のTシャツに印刷するとのこと。キャラクターのシルエットをわかりやすくするためにとりあえず線画レイヤーに下にもう一枚レイヤーをつくり、フリーハンドで縁取りをする。ペンはいつもの。
HIMOGザラ強弱のザラつきが好きなので、その感じと手書き独特のユレがたぶん良い感じに見えると思う。たぶん。うん。そのはず。どうでしょう?ちなみに、クリスタには自動で縁取りしてくれる機能もあります。
15.足を燃やす。
縁取りレイヤの下にレイヤをつくり、エイヤー!と脚を燃やす。これも全部投げ縄塗りツールです。
ちなみにお手本はこちら。金沢のお寺に所蔵されている地獄極楽絵図の阿鼻叫喚地獄の絵です。(多分)最高にイカす。描き方の分からないもの先人の絵をどんどん真似していく。私程度の実力では完全模倣など不可能なので真似しても真似できず私らしい絵になる。技術が無いって特だね。がはは。
15-2.炎を縁取りする。
濃い色で縁取りをする。今回は背景なのでノッペリしてて良いと判断。レイヤープロパティの『効果』の縁取りを利用する。こいつはレイヤーの中に書かれているすべてを縁取りしてくれる最高のツール。めっちゃ使っています。
15-3.炎にグラデーションを付ける。
影入れの最終仕上げの時にしたことと同じ方法で、ブラシを使ってグラデーションをつける。今回は炎の根本は明るく、外側は濃くなるようにした。
16.ハンコを押す。
気合のフリーハンド。ペンはいつもの。投げ縄塗りツールの色を『透明色』にして線の一部を欠けてるように消す。縄塗りツールは消しゴムにもなるのだ。べんりすぎ。
ということで完成。
かっこいい。よかったね。
これが私の持つ技術のほぼ全てです。
難しいこと、なんにもできん。投げ縄塗りツールと乗算、覆い焼き、オーバーレイがあればなんでも描ける。線画でそんなに頑張らなくても、色塗って影塗って光を塗れば大体しっくり来るし、ごまかせるし、何より『絵じゃん!!』となって気持ちよくなってエンドルフィンやドーパミンがたくさん出て健康に良いです。
みなさん、おえかきしていきましょう。
おわり。ばいばい。