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反権威の皮を被る権威主義者 #3: 幼稚な女たちは責任から逃れるために専業主婦になる
加藤諦三氏の人生相談で「幼稚な男は無責任な世界を求めています」というのがあった。
これも実家で母親が「権利を主張するなら義務を果たせ」とよく言う。流石は定年までフルタイムの仕事に就いていた人間である。
実家は「毎日が母の日」状態で家事を分担していないと日々の生活が成り立たない状態であったがゆえに、巷間言われるような家事負担だの財布の問題だのを議論するような暇がなかった。
無責任な女の作り方
もっと身も蓋もなくいうと、「多くの女性は権力はほしいが責任は負いたくない」です。
— 神去りしアカウント💉💉💉💉(以下略教会員) (@dogezaaan) October 27, 2022
これもよく言われる話だ。
なぜ女性の家事負担が減らないのか、夫は働くだけなのに、妻は働いた上に家事までしなければならないのかというと簡単で女性が「無責任」だからです
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
労働の報酬は「作業」に対して2~3割で「責任」に対して7~8割がかかります。では責任とは何か?
責任とは「社会的に逃げられない状態」「やらないという選択肢が無い」ということです
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
男性は仕事に責任があります。男は稼ぎが悪かったら文句を言われて当然、勝手に仕事を辞めたら離婚されて当然、そういう状態が責任ある状態
逆に言えば、いまの女性は、働いても良いし、家事してもいいし、育児してもいいし、自由なわけですよ
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
こういう自由な状態を維持したまま幾ら働いても、それは「無責任なアルバイト」なので、1日16時間働こうが年収300万くらいにしかならない。それが仕事というものです
自分の心の中でどれだけ必死に「やらなければ!」と思ってても意味ないですよ、責任ってのは精神的・肉体的なものではないですからね
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
責任とは社会的なものなので、社会常識的にそうなっているか、契約書類として残している必要があります。少なくとも親族一同全員に宣言くらいはしてる必要がある
そういう事はせずに「なんとなく今の状態になっているので、これから話し合えば状況を変更できる」こんな状態で幾ら必死に働いったって責任報酬は発生しません
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
この自由でフワフワした状態を、ガッチリ固めて身動き取れなくすることで、初めて責任報酬が発生します
これフリーターがいくら働いても給料安いのと同じ理屈
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
社長からパーティ会場用の花を任された社員が、当日「渋滞で花屋が遅れてます」って報告したら、社長が怒って「花屋に注文するのがお前の仕事じゃない! 花を用意するのがお前の仕事だ!」って言われた話にも通じてくる
「結果的に仕事も家事も育児もやっている」なんて一切評価されなくて当たり前なんですね、責任がないから
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
これが最初に「私が仕事も家事も育児もやります!」って宣言したら周りの人間の頭が正常なら「それ大丈夫なの?」ってなるし、もっとマシな分担が出てくるわな
どうせやるなら社会的に責任持って仕事した方が良いんですよ。逃げる余地とか、自由に変更する余地を残しておきたい気持ちも分かるんだけど、それやると、本来受け取れるはずの報酬の2~3割しか受け取れないんで割に合わない
— 砂鉄 (@satetu4401) October 27, 2022
自分のことは自分でやる、という環境でありながら役割分担のようなものがあると、収納一つとっても揉める。
しかし、世の中にはとんでもない家庭もあるようだ。
しかし、中には「女性は家庭を守らなくてはいけない」という強い思い込みがあって、専業主婦という生き方を選んでいる人もいるのではないか。そういう考えに基づいて、あれもこれもすべて自分で背負い込んでしまう人というのは、夫を甘やかしてしまっている部分もある。いい歳こいて仕事以外、料理も洗濯もできない、自分のシャツがどこにあるのかもわからない「子供のようなオッサン」を日本社会に大量につくってしまっている。
その一方で専業主婦バッシングもある。
そもそも専業主婦ってゆうのは単に東京の勝ち組のライフスタイルなのであって、家事ができるできないとか、子供がいるいないとかとは全く関係がないんだよね。男性の収入だけでは嫁に飯を食わせられない家庭が仕方なく共働きを選択してきた。専業主婦叩きは典型的な「嫉妬」なんですよ。
— フェリス秘書子@元婚活垢 (@FerrisForOthers) October 26, 2022
昔と違うのは、単に金がないから嫁を働かせてるだけなのに、「女性の社会進出」みたいなお題目でそれを正当化する人が増えてるってこと
— フェリス秘書子@元婚活垢 (@FerrisForOthers) October 26, 2022
この温度差は何なのか。
専業主婦が無職といわれ激怒しているフェミニストがいるが、しかしそこで激増する低収入独身男女や低収入自営業妻、専業主夫、シングルマザーやシングルファザー、要介護家族抱えた独身者の生活に想像力が及ばない点、公平性を考えない点は、近年フェミニズムが支援されない理由をよく表している。
— 谷本真由美 (めいろま) 「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) May 6, 2019
年金は払うべきですね
— 谷本真由美 (めいろま) 「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) October 16, 2022
日本は独身の低所得男性や女性やシングルマザー、シングルファザーへの差別がひどく、裕福な専業主婦は年金支払いを免除し優遇する。 https://t.co/OgIEPrukXz
だから書いたでしょう。本でも。1960年代の実に差別的な制度なんですよ。配偶者控除は。
— 谷本真由美 (めいろま) 「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) February 20, 2022
同性カップル、独身、片親、自営業に対して大変差別的なのです。
差別反対の左翼はなぜこの差別について取り上げないのか?
夫大企業勤務の専業主婦が優遇され、なぜ零細自営業家庭やシングルマザーが差別か? https://t.co/7OwrSoDwd3
そしてこういう見方が出てきているが、間違ってはいない。
生活保護シングルマザーになれば、年収800万の夫を持つ専業主婦と同等の経済力が持てる。
— 惨型糊🏴☠️08il2G/IzA (@The_MuRaMaSa) August 2, 2020
…誰が下層男性と再婚なんぞするかよ。ありえねーわ。
で、別れた男の方は次の女を作るでしょう。コレが時間差一夫多妻制。
…独身男性の皆さん、既婚より割高な税金払うの楽しいよなァ?
この点については自分も指摘したことがある。
暗黒メモ「最強の被害者」|白饅頭 @terrakei07 #note https://t.co/hoAjujbM6b
— クソえもん@総研ひとり (@yajiumafighter1) January 2, 2022
今時、女が生きて行くためには
・恋愛を楽しむための彼氏
・生活費をくれるパトロン
・優秀な精子をくれるドナー
・感情をケアしてくれるパパ
と、4役の男が必要なわけ。
これと一緒で女の子には父親は一人では足りないということも言えます。
— クソえもん@総研ひとり (@yajiumafighter1) January 2, 2022
・遺伝上の父親
・養育費・学費を払ってくれる父親
・生活費をくれる父親
・感情のケアをしてくれる父親
等々。
そんなわけで、「権利を主張するなら義務を果たせ」と言われたこともなく、無責任な世界を求める女が作られるのである。
優遇の中だけで生きてきて普通の感覚がない…そんなモンスターが生まれているのが恐ろしいです…
— 公正正義を応援するだけの人 (@helpJusticemen) January 2, 2022
女から責任を免除する代わりに権利を剝奪してきたのは誰か?
このような無責任な在り方が続けられなくなってきているのは明らかだ。
特に経済的な理由で。
そんな中、第3号被保険者制度や配偶者控除の見直し・廃止の議論が浮上してきた。
このようなパターナルな制度があるが故の問題、それが専業主婦幻想だろう。
それにしても配偶者控除や第3号被保険者制度が、雇用機会均等法と同時期に導入されたのは、今から思えば謎である。
経済界の「専業主婦という消費しかしない存在を、"パートのおばちゃん"という安い労働力として引きずり出し、資本主義経済のシステムに組み込む」という本音があったのではないか、というのが私見だ。
そして、その背後には製造業中心からサービス業中心への経済構造の転換ががある。
そしてミシェル・フーコーの議論、近代産業社会が個人を健全な市民として包摂する条件は以下の2つ、という主張を引用すれば、
「当該社会において認められる種類の生産労働に従事し得ること」
「当該社会において通常とされるかたちの家庭を営み、子どもを産み育てることができること」
前者の要件の重要性が肥大化し、後者が軽んじられてきたのではないか、と指摘したい。
男女雇用機会均等法以前へのバックラッシュは待ったなし
「当該社会において通常とされるかたちの家庭を営み、子どもを産み育てることができること」ということが軽視されるということを掘り下げれば、本邦特有の事情としての「共同体存続規範の欠如」を挙げたい。
しかし、人口問題を考えれば少子化と、その背後にある少母化への手当てが必要という指摘が今更ながら注目を集めている。
そして反動的な政策の必要性を訴える声が大きくなり始めた。
実は個人的には歓迎したいことではある。
但し、経済的・社会的な不安を感じることなく母親になれる女性を増やすこと、それが「反動的な政策」の目的であること、が条件だ。
更に注意することがある。
上野千鶴子が出産育児言説に付き纏う反動性に敏感だったことを思えば、何らかの形で「保守的」な価値観をインストールせよ、という命題になってしまうことだ。
「日本は何が不満なんだ? 何が少子化だよクソ」働く母親たちの本音を代弁した「日本死ね!」ブログの衝撃
— クソえもん@総研ひとり (@yajiumafighter1) October 24, 2022
『男性中心企業の終焉』 #1 #文春オンライン https://t.co/Un4gCypdp0 ミシェル・フーコーの近代的主体論に通じる問題意識。一方で出産・育児にまつわる言説の反動性に上野千鶴子は敏感だった
これが統一教会を巡る騒動の取り扱いが難しい理由の一つ。
注意することとすれば、統一教会のゴールはカルト国家の樹立だ。
母親になりたくない女たち?
神田沙也加の転落死について直観したことがある。
上の拙稿で指摘したのは
子どもを作りたくないのではなく母親になりたくない?
最初は親の七光りと言われながらも、舞台女優として両親とはいささか違う道、領域で活躍の場を自ら見出した神田沙也加。
芸能人ならではの男性遍歴の噂もさておき、俳優の村田充と結婚するも後に離婚。離婚原因は村田充は子供を欲しがっていたが、神田沙也加は子供を作りたくなかったらしい、という。
神田沙也加は離婚理由の中で「生きてきた環境の中で持った考えを変えられず」と語ったそうだが、これも母・松田聖子の影を感じずにはいられない。
母親のようになりたくないと思っていたのではないだろうか?
という点である。そして
社会的に見れば、神田正輝・松田聖子離婚は「女性のロールモデルの崩壊」を象徴したが、神田沙也加の転落死は「女性の社会的成功の代償」を象徴しているのかもしれない。
それは、夢を叶えるどころか、夢を見ること自体の終わりを象徴しているのかもしれない。
とも書いた。
己の母親を反面教師として学習する、見てしまう結果が結婚難として現れていることも過去から指摘されていたことだ。
拙稿では小倉千加子の著作を引用した。
結果的に「母親になること」忌避する女性が作られる。
とにかく結婚、出産、育児にまつわる言説が、不平不満系ばかり流通している現状も、そのような傾向を加速させている、という要因もあるだろう。
そして「母親」と「女性」の分断。
母になったことを嘆く女性は、なぜ「ワガママで頭がおかしい」と言われるのか 口にするだけで批判されてしまう #プレジデントオンライン https://t.co/QCuQOj32Hy 昨年末に神田沙也加転落死で思うことをnoteに書いたけど、このコラムも問題意識は近いところがある。メモ。
— クソえもん@総研ひとり (@yajiumafighter1) June 11, 2022
こういう話って、この妻が育った実家の環境を反映する側面があって、「母は男選びに失敗した」と思っている娘なのかもしれません。小倉千加子「結婚の条件」という本で指摘された構造です。 https://t.co/5OmECNHncJ
— クソえもん@総研ひとり (@yajiumafighter1) June 10, 2022
「母親」と「女性」を分かつものですね。本邦では「母親」にならないと人権が認められない社会、という印象があります。noteで掘り下げるか… https://t.co/Cetab6gwtD
— クソえもん@総研ひとり (@yajiumafighter1) October 27, 2022
この問題が母権パターナリズムという厄介な問題を産んでいるのだが、それはまた別の話。