待つ犬。
飼い主を待つ犬には他を寄せ付けないオーラがある。聴力、臭覚、ありとあらゆる感覚を使って、店に入って行った飼い主を追跡しているから。だから飼い主が戻った時の喜びはひとしおで、それがたったの5分でも10分でも、1時間でも1日でも。
ティアハイムにいた犬たちも、きっと飼い主がいないことに気づいた時、全ての感覚を使ってその姿を追い続けたはず。クタクタになってもずーっと、ずーっと。
日本の愛護センターにいた犬も、ドイツのティアハイムの犬たちも、ボクに向かって『どうして、どうして?」と吠えかけてきます。ボクも『どうしてだろう…』と考えます。
どうしてだろう、と。
その時飼い主たちは、
どんな風だったのだろう、と。
ボクはただタイムを抱きしめたくなるばかりです。