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【著作権フリーのコント】学校の出し物や授業のネタ探しで自由に使ってください。その9「結婚の申し込み」(単元:国語)

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・使用の場合の許可は不要。
・ネタの改変(アレンジ)を行う時のみ、info@funbest.jpまで連絡またはネタ元の表記をする
・商用利用不可
上記を守っていただければ、先生がやっても子どもがやっても、芸人がやっても、一般の方がやっても構いません。
どうぞ自由に使ってください。

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エンディングコント
「結婚の申し込み」
(2人板付き・椅子2・机1/テーブルに牛乳パックで作ったパズルが2対)
矢島:(土下座をしている)お父さん…お願いします。娘さんを僕にください!
野村:…。
矢島:必ず娘さんを…まいさんを幸せにしてみせます。お願いします!
野村:…まことくん、頭を上げて。こっちに座りなさい。
矢島:はい。(野村の隣の椅子に座る)
野村:まことくん、きみは誠実で素晴らしい男だ。私だけでなく、妻も君のことを気に入っている。
矢島:だったら…なぜ結婚を認めていただけないのでしょう?
野村:君の苗字は何だね。
矢島:りっしん…です。
野村:そうだね。りっしん【忄】まこと【真】。いい名前じゃないか。
矢島:はぁ…。
野村:うちはきの【木】という苗字だ。きのまい。まるで春先に咲き誇る【梅】のようなステキな名前じゃないか。
矢島:そうですね…。
野村:それが君の苗字に変わる。りっしん【忄】まい【毎】。なんか…【悔】しいじゃないか。
矢島:は?
野村:何か君にまいの全部をあげたような気がして…悔しいじゃないか!
矢島:え、そんな理由ですか?
野村:そんな理由とはなんだ!君!口を【慎】みたまえ!
矢島:あ…すいません。
野村:君には分からないだろう。嫁にやる父親の気持ちなんて。
矢島:確かに、苗字が変わるというのは抵抗があるかもしれません。でも、まいさんの父親であることには変わりはないんですよ?
野村:そんな単純な話ではない。苗字が変わるだけで、人の人生など大きく変わってしまう。
矢島:そうでしょうか?
野村:うちの妻はかこという名前でね。漢字ではこう書くんだ【古】。
矢島:古いと書いて、かこですか…。
野村:妻はくさの【艹】という苗字でね。貧乏で毎日が苦しいと言っていた。
矢島:うまくできてんなぁ。
野村:私はその妻の支えになりたい一心で結婚した。しかし、その後も生活は安定せず、私の苗字になってから、妻の心は【枯】れてしまった。
矢島:苗字のせいだって言いたいんですか!?
野村:それも一理あるということだ。
矢島:いやいやいや!言葉といえど、人生を左右するまで影響は与えませんよ!現に、お2人のところには素敵な娘さん…いや、まいさんが産まれた。【枯】れた大地にも新しい生命が宿ります。まいさんはそこに咲く【梅】の木のようです。
野村:まことくん…それはすでに我々夫婦が枯れていると言いたいのかね?(野村立ち上がる)
矢島:説得失敗したぁぁぁ!!
野村:我々は老いぼれていると!?
矢島:いや、そういうことじゃないんです…。
野村:【悔】しいー!
矢島:あー、また出たそれ!
野村:口を【慎】みたまえ!
矢島:ごめんなさい!もう絶対に言いません!
(野村、椅子に座る)
矢島:…でも、なんか安心しました。やっぱりどこの家庭にも苗字の問題がついて回るんですね。
野村:どういうことだね?
矢島:うちも苗字でゴタゴタがあったみたいで。
野村:そうだったのか…。
矢島:うちの父親はわたる【亘】といいます。父は明るい人柄で、【恒】に周りを【恒々】と照らす太陽のような存在でした。
野村:うまくできてんなぁ。
矢島:母親はかこといいます。
野村:うちの妻と同じ名前じゃないか!?
矢島:はい、偶然にも。
野村:【古】いと書いてかこなのか?
矢島:いえ…こう書きます【昔】
野村:【昔】と書いてかこって読むの!?
矢島:はい…【惜】しかったですね。
野村:いいようまいこと言わなくて!
矢島:母親の旧姓はにんの【亻】といいます。とにかく貧乏で、色んなところから金を【借】りていました。
野村:それは…【苦】しかっただろうねぇ。
矢島:そんな母親に一目惚れした父は、プロポーズで指輪を出してこう言ったそうです。「結婚してくだちゃい」って。
野村:最後噛んじゃった!【惜】しいなぁ!
矢島:しかしその後、苗字を変えることに、周囲から反対を受けました。あと一歩のところで幸せになれなそうとか。
野村:【惜】しいからね!
矢島:子どもがあと1点足りなくて受験に落ちそうとか。
野村:【惜】しいからね!
矢島:東京23区に家を建てたいって言ってたけど、結局、八王子で妥協しそうだとか。
野村:…【惜】しいのかそれは!?八王子も十分いい街だと思うぞ!?
矢島:結局は周囲の反対を押し切って結婚しました。まぁ、大方の予想は当たっちゃいましたけどね。
野村:どういうことだ?
矢島:息子の僕も、何をやってもあと一歩で届きませんでした。
野村:恐るべし【惜】しいの遺伝子!
矢島:初恋の相手には告白する前に親友に奪われるし…
野村:あぁー【惜】しい!
矢島:第一志望の大学もマークシートをずらして書いちゃって不合格になるし…
野村:それも【惜】しい!
矢島:マイホームは大泉学園になるし…
野村:…微妙だなぁぁぁ!ギリ23区っちゃあ23区だけど!もうほぼ埼玉だからねそれ!
矢島:お父さんがいう「苗字の呪い」って、案外嘘じゃないのかもしれません。
野村:そうかもしれないな…。
矢島:人生【惜】しいこと続きで、諦めることのほうが楽だとも思いました。
野村:まことくん…。
矢島:でも…まいさんとの出会いだけは…諦めたくありません!(野村のパックを奪う)
野村:あ…!
矢島:まいさんに人生で妥協ばかりさせちゃうんじゃないかって?僕を【侮】らないでください!
野村:親の旧姓使ってきたぁ!
矢島:必ずお父さんに、まいさんを嫁に送って【悔】いがなかった!と言ってもらえるようにしますから!
野村:まことくん…。
矢島:お父さん…改めてお願いします。(土下座をする)娘さんを…僕にくだちゃい!
矢島・野村:【惜】しい!
野村:噛んじゃったよいいところで!
矢島:はぁ…うまくいかないもんですね…。
野村:(笑いながら)まことくん、娘を頼むよ。
矢島:…ありがとうございます!
野村:君みたいな頼もしい青年なら、まいを嫁にやっても【悔】いはないだろう。
矢島:…あ、そういえば、お父さんの名前って何なんですか?
野村:私か?いえろう、きの いえろうだ。
矢島:いえろう?漢字でどう書くんです?
野村:黄色の【黄】でいえろうだ。
矢島:すごい当て字ですね!!
野村:まぁ今でいうキラキラネームってやつだ。
矢島:はぁ…。
野村:ちょっと疲れたな。私は少し休むから、君はここでゆっくりしていきなさい。
矢島:え、お父さん?
野村:(ゆっくりはけようとする)
矢島:お父さん?お父さん!!
野村:(呼んでも無視してはける)
矢島:…行っちゃった。(テーブルのパックをいじる)そりゃそうか…。娘が嫁に行くんだもの。【悔】しい気持ちを紛らわすために、【横】になるしかないよな。
(照明フェードアウト/エンドロールへ)

彼氏→慎(りっしん まこと)
彼女→梅(きの まい)
彼女の父親→横(きの いえろう)
彼女の母親→枯(きの かこ)
※旧姓は苦(くさの かこ)
彼氏の父親→恒(きの わたる)
彼氏の母親→惜(りっしん かこ)
※旧姓は借(にんの かこ)

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