【僕らのコントの著作権フリーにします】学校の出し物、授業のネタ探しなどで自由に使ってください。その7「コンプライアンス」（単元：算数）
クリエイティブ・コモンズのBY・NCです。
使用する条件として、
・使用の場合の許可は不要。
・ネタの改変（アレンジ）を行う時のみ、info@funbest.jpまで連絡またはネタ元の表記をする
・商用利用不可
上記を守っていただければ、先生がやっても子どもがやっても、芸人がやっても、一般の方がやっても構いません。
どうぞ自由に使ってください。
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コント「コンプライアンス」（単元：算数）
矢島→先輩の先生
野村→後輩の先生
（矢島、1人板付き／机・椅子に座っている）
野村：（上手から登場）矢島先生、ちょっといいですか？
矢島：どうしました、野村先生。
野村：算数のテストなんですけど、文章題の内容見てほしくて。
矢島：あー。どれどれ…「たけしくんは200円を持って、スーパーに120円のりんごを買いに行きました。おつりはいくらになるか答えなさい」
野村：で、200－120で答えが80円になる感じですね。
矢島：そっかそっか。あれ、野村さんのとこって3年生でしたっけ？
野村：そうですね。
矢島：はぁはぁ。まぁ問題はいいんだけどね。文章がな。
野村：文章？
矢島：ほら、今ってコンプライアンスうるさいじゃない？ちょっとでも文章がおかしいと、テスト返却した後に保護者からクレーム来たりするからさぁ。
野村：え、なんか変なところありました？
矢島：例えば、この問題だと、たけしくんが1人でお使いに行く感じになってるでしょ？
野村：はい。
矢島：小学3年生とはいえ、今のご時世、子ども1人だけでお使いに行かせるかなぁ。
野村：なるほど。
矢島：今子どもに対する物騒な事件が多いでしょ？だから、買いに行かせるならお母さんなんだよ。
野村：じゃあたけしくんのところを「たけしくんのお母さん」に変えればいいですか？
矢島：いや、そうすると別の問題が出てくるんだよ。
野村：別の問題？
矢島：いや、大人1人がさ、スーパーにりんご1個だけを買いに行くシチュエーションってある？
野村：ないですね。
矢島：だろ？バーモントカレー作るんだって、はちみつがいるからね。
野村：ちょっと意味が分かんないですけど。
矢島：それに今、働き方改革とか男女平等とかで、必ずお母さんが買い物行くっていう風潮もよくないと思うんだ。
野村：じゃあどうすればいいんですか？
矢島：通販だよ！誰もが手軽に買い物できる手段なら「たまたま文章に出てくるのがお母さんでした、決して男尊女卑で書いたわけじゃないです」って言い訳できるじゃん。
野村：必死すぎません！？そこまで考える人います？
矢島：念には念を重ねないと！
野村：じゃあたけしくんはどうするんですか？
矢島：たけしくんは公園で遊んでるに決まってるだろ！
野村：知らないですよ！何すかその設定。
矢島：子どもは遊ぶ中で育ってくんだから！あ、でも1人で遊ばせてると物騒だとか無責任だってなるから、あくまでも周りの大人が見守ってますよっていうのは書いておかないとね。
野村：最初の文章だけでそんな変わります？
矢島：だから最初の文は、「たけしくんは近所の公園で、周りの大人たちに見守られながら楽しく遊んでいます。それはさておき、たけしくんのお母さんは、Amazonでネットショッピングをしていました。」
野村：Amazon！算数の問題でAmazonって文字見たことあります！？
矢島：しょうがないだろコンプライアンスなんだから。
野村：だいたい前段の公園のくだり要らなくないですか？問題と関係ないシーンだもん。
矢島：ちょっと待てよ…これたけしくんって固有名詞出して大丈夫かなぁ。
野村：もう今度は何ですか！
矢島：君のクラスにもたけしくんっているだろ？
野村：いますね。
矢島：ほら！こういう固有名詞を下手に出したりすると「あれ、うちのことかな？」ってなっちゃうんだよ。万が一、そのお母さんが最近りんごを1個買ってたとしたら、「生活が盗み見されてる！」ってなるぞ！
野村：ならないですよ！そんな偶然あります？
矢島：子どもも保護者も嫉妬する奴はいるからね！「これはたけしびいきだ！」「うちの子も算数の問題で出させろ！」なんて言われるかもしれないよ。
野村：いませんよそんな親！
矢島：だから、ぼかそう！少年Aとか…。
野村：犯罪者みたくなってるよ！そっちのほうがより怪しいでしょ。
矢島：あー、そっか。これじゃ少女Aはいないのかって、中森明菜からクレーム来るかもしれないな。
野村：何言ってんすか！？見ねぇだろ中森明菜がこの問題！
矢島：だから、たけしくんはやめて、「ある人」にしよう。
野村：もう子どもでもないんですか！？
矢島：ある人が近所の公園で、周りの大人たちに見守られながら遊んでいます。
野村：すげぇ怪しい文になってますよ！？
矢島：それはさておき、ある人の母親にあたる人物が、某大手通販サイトでネットショッピングをしていました。
野村：え、Amazonも隠すんですか！？
矢島：ほら、うちの学校の備品、アスクルで発注してるじゃん？
野村：どこに配慮してるんですか！
矢島：学校側からクレームきたら…
野村：来ないですよ！さっきから配慮しすぎてワケわかんなくなってますよ？
矢島：何言ってるんだ君は！君みたいなやつがな、新元号を手放しで喜べるんだよ！
野村：何の話してんすか！
矢島：命令の「令」だぞ！？
野村：いや、知らないですよ…。
矢島：ちゃんと組合に入って活動しなさい！
野村：いいんですよ組合の話は！そんな難しい話してないでしょ今！
矢島：だいたい最後の「答えなさい」ってのも良くないよ。先生が上で児童が下っていう感覚が良くない！
野村：じゃあ、どうしたらいいんですか。
矢島：「不躾なお願いではございますが、こちらの書面にてご回答いただければ幸いでございます。」だろ。
野村：何で5文字がそうなるんですか！ビジネスメールみたくなってるし。
矢島：だから最終的にこうなるな。
矢島：ある人が近所の公園で、周りの大人たちに見守られながら遊んでいます。それはさておき、ある人の母親にあたる人物が、某大手通販サイトでネットショッピングをしていました。仮にある人物の母親が所有する全財産が200円だったとして、その日、送料無料キャンペーンを使って120円のりんごを購入したとします。その場合、ある人物の全財産の残額はいくらになりますでしょうか。不躾なお願いではございますが、こちらの書面にてご回答いただければ幸いでございます。
野村：なげぇわ！第1問だぞ！こんな長い文章子どもが読むわけねぇだろ！
矢島：え？
野村：もっと簡単な文章にしてくださいよ！
矢島：そうだよな！たしかにこれ1問目だもんな。
野村：お願いしますよ。
矢島：リンゴはくだものですか？
野村：簡単すぎんだろ！
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