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安倍批判を狙い撃ち!道警の組織的市民排除(ヤジ排除国賠第7回期日報告)


 2021年2月24日に、道警ヤジ排除問題をめぐる国賠訴訟の第7回期日が札幌地裁で開かれました。28席の傍聴席に対して、40名の希望者がいたため抽選になりました。傍聴に来てくださった方はありがとうございます。

 次回の裁判期日は4月28日の15:00からです。
 次回からついに証人尋問に関する手続きに進むと思われます!道警による永遠のような文書攻撃ともおさらばです。
 傍聴を希望される方は、14:30までに札幌地裁へお越しください。

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(札幌地裁)

「大声を上げて右手を前に突き出すこと自体が攻撃的」という珍説


 今回の期日ではこれまで同様に双方による書面の交換がありました。道警側は前回の原告側の主張に対して、しつこく再反論を行ってきました。

 道警はこれまでもヤフーニュースのコメント欄(ヤフコメ)を印刷して証拠として提示したり、「凶器となりうる自撮り棒」などとアクロバットな主張を繰り広げてきました。


 そして、今回出された書面にもおもしろ要素が散りばめられていました。

 そこには大杉が安倍をヤジる際、右手を上げて安倍を指差したことに関して、「人に接近して興奮状態で大声をあげて右手を前に突き出すこと自体が攻撃的」と書かれてあります。しかも、丁寧に下線を引いて強調しています。

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 確かに、あの場面での大杉のヤジは激しい調子に見えるかもしれません。とはいえ、ヤジはあくまでヤジであって、攻撃ではない。物理的な「攻撃」と、言論における「攻撃的」な様子とを混同する道警の態度自体が、言論の自由というものをないがしろにした態度だと言わざるを得ません。


 もしも道警の理屈が通るのであれば、国会で同様のスタイルでヤジを飛ばしている安倍晋三や、自民党の政治家の方がよっぽど「攻撃的」じゃないかと思うのですが、排除しないんですか??


 また、周囲の聴衆との身体的接触すらなかった桃井については「高度に危険な状態」あったことの証拠として、「『えー』と言いながら離れていく女性」がいた、「明らかに原告の方をにらみつけている者がいる」など主張しておりますが、これも無茶苦茶です。確かに、近くで大声を上げる人物がいることで、そちらを見たり、離れたりする人がいてもおかしくないでしょう。

 しかし、この社会は言論の自由を掲げる民主主義国家であり、札幌駅前は公共空間です。異なる意見が表明されること自体は、なんら否定するべきことではないはずです。意見の違いがあるところから、それぞれの意見を交わしたり議論することだってありうる。
 しかし、道警側の主張は「異なる意見を表明する=危険=排除は正当」としており、およそ民主主義国家の警察とは思えない発想を堂々と展開しているのです。頭が痛くなります。

 それ以外にも、これまでの道警側書面においても「ヤジ」は一貫して「罵声」「大声」と表現されています。公共の場で多様な意見を出しあい、すり合わせるのが本来の民主主義のあり方のはずですが、道警側の主張を読んでいる限り、やはり「意見の衝突があってはならない」と考えているとしか思えません。「安倍やめろ」という声は、いち主権者としての「政治的な言論」の一部です。それを「罵声」と表現する態度に道警側の傲慢、かつ非民主的な思想が透けて見えます。


いずれにせよ法の要件を満たしていない


 ともかく、道警側が排除の根拠として持ち出している警察官職務執行法(警職法)4条および5条は「生命や身体に被害が及ぶ状態」、又は「聴衆に危害が及ぶ状況」でなければ適用が認められません。

 そして、道警側はそれらの要件を満たす状況であったと印象づけるために、原告2人の行動が「高度に危険な状態」「極度の興奮状態」にあったなどと主張しているわけです。要するに道警は、「あいつらマジでヤバイ状態だったから排除したんだよ。わかるでしょ?」と言っているわけです。それだけ「危険、危険」と主張するなら、オリジナルの証拠一つくらい出してほしいものです(これまで、道警側は自らが保有している映像などの証拠を一つも提出していない)

 さらに、もしも道警側の主張していることが事実であったとして、周囲に大量の警察官がいたあの日の状況では、対処法はもっとあったのではないでしょうか。というか、それだけ「ヤジは危険」と主張するなら、それに対して事前の対策をもっと練っていてもよかったんじゃないですか? いきなり実力行使に及んだ道警側の措置が、法的な要件を満たしているとはとても思われないわけです。

 そんな調子で書かれている書面は、原告であるこちら側からすると滑稽かつ不快な代物です。道警による排除で受けた精神的苦痛を補償してもらうために裁判を起こしているというのに、裁判を通じてさらに誹謗中傷されるというのではたまったものではありません。ここでの誹謗中傷に対して、再び裁判を起こしたいくらいです(無限裁判ループ)

 

道警側の意図と今後の証人尋問について


 そもそも、なぜ道警側はこれほど粘着して文書を出し続けるのか。

 ヤジ排除弁護団の小野寺信勝弁護士の見立てとしては、第1に道警側として「積極的に急ぐ必要はない」というもの。裁判はいずれにしろ結論が出ます。なので、遅らせる意図もないが、積極的に進める必要もないと言うことです。第2に「原告の書面で終わらせたくない」という判断からどんなに小さい書面でも反論してくるのだと思われます。(口ゲンカをしていて、言い返せなくなっているのに「黙ったままだったら負けだ」と考えて負け惜しみを言うようなものです)。

 ただ、原告側としては、同じようなやり取りが延々と続くことに対して、うんざりした気持ちもわいてきているのも事実です。そして、その思いが裁判所にも伝わったのか、今後は「証拠調べ」と呼ばれる手続きに入っていくことになりそうです(法廷で見た原告側の印象では、裁判官も手続きを先に進めたいように見えました)。

 ここでいう「証拠調べ」とは、証人尋問のような方法を使い、当事者の証言から裁判官が事実認定を行なっていくプロセスです。それによって長い書面を用意してのやりとりは減るため、今後は裁判期日間のスパンも短くなっていくと思われます(これまでは二ヶ月に一回ペースですが、一ヶ月に一回程度になると予想)。

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(裁判後は、内容について弁護士・当事者らが解説する報告集会があります)

「組織的」な道警の市民排除


 今回原告側からはヤジ排除の当日に「警察官らが特定の表現行為(政権批判)を排除する意図を有していた」ことを主張するために準備書面と証拠書類を提出しました。

 実際、大杉・桃井の原告以外にも、複数人の市民が警察官による排除行為を受けていました。その方達に関しては、大杉・桃井以上に、差し迫った危険が存在しないことから「演説会場の警備を担当した警察官らの間には、安倍政権を批判する表現行為を行う市民は排除するとの共通理解が存在した」ことを補助的に主張する内容になっています。
 3人の方のうち山口さんと岩手さんには実際に報告集会に来ていただき証言もいただきました。ありがとうございました。

ケース① 山口たかさん


 山口さんは「戦争させない市民の風・北海道」のメンバー12人くらいと、紀伊國屋札幌本店前で「選挙に行こう!明日を変えよう!」という主張の街頭宣伝をしていました。そこでは、横断幕及び「この投票が明日を決める」「平和にYES改憲にNO」「年金100年安心プランはどうなった」などと書かれたA3サイズのプラカードを掲げていた。

 その後、山口さんと友人2名は三越前の安倍の演説会場に向かおうと「年金〜」のプラカードを持って大通公園に向かったところ私服警官から「どいてどいて」「下がって下がって」などと言われ移動を妨げられた。


(排除翌日のつぶやき)

 演説会場の近くから移動させられた後も遠巻きに行動を監視された。その後、タクシーに乗って現場から離れようとしたものの、車はほとんど進まず、赤れんがテラス前で降りたところ、再び私服警官に囲まれ動けなくなった。メディアのカメラなどが様子を撮影し始めたところ、私服警官が離れてやっと解放された。

ケース② Sさん


 Sさんは「ABE OUT」と書かれたA4のプラカードなどを持って、新札幌駅でおこなれる予定であった首相の演説に向った。首相から見える場所である、対向車線の縁石に座って待っていた。首相が来てプラカードを掲げたところ私服警官が周囲を行き来し始め、下げると去って行った。
 何度かそのやりとりがあったと、私服警官から「持っているものを見せてもらえませんか」と言われ、見せたところ「一緒に来てくれる」と移動を迫られた。その後、3人の警官に首相演説が見えない位置まで連行された。
 警察官はその後も演説終了まで、Sさんに「どこから来たんですか」「この後どこへ行く予定なんですか」などと動向を探るような質問を繰り返しされ、つきまとわれた。

ケース③ 岩手光雄さん

 岩手さんは首相演説を聞くために札幌三越前に立っていた。演説が始まってから「安倍やめろ」という男性のヤジが聞こえた。岩手さんも続けて「安倍やめろ」と声をあげたところ青いスーツを着た3~4名の若い私服警察官に取り囲まれた。警官から「とにかくここを離れましょう」「こっちへ来てください」などと言われたので、「なぜ離れなければならないのか」と問い返したところ、「職務を誠実に行なっている」と言われた。その後、仕方なく会場を離れたが、それでもしばらく尾行を続けてきた。

 

 3人の方の証言だけでも道警の排除がいかに恣意的であったかがわかります。裁判所には「組織的であった」「安倍批判のみを狙い撃ちにした排除であった」という事実認定も含めて、正しい判断をしてもらいたいと思います。


排除「政権批判のみ」 道警ヤジ訴訟で原告側:北海道新聞 どうしん電子版

【ヤジ排除訴訟】力ずくで連行が「犯罪予防」|噴飯ものの道警主張  


朝日新聞2021年02月25日朝刊 北海道面「法令要件満たす職務執行」 道側、再び反論 道警ヤジ訴訟 /北海道

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