あなたのとくべつな仕事。
小さい頃に、強烈にあこがれた仕事はないだろうか?
僕は小学校2年生の頃、すでにマンガ家に憧れていた。
特別な仕事だと思っていた。
理由はいくつかあるんだけど、自分の好きな楽しい事をして生きられる、というのが一つ。
それと、特に技術的な部分へのあこがれが大きかったと思う。
まず、写植(文字)とスクリーントーン(マンガの中に出てくる模様)をマンガ家は自分で描いてると思っていた。
なぜそんな思い込みをしていたのかというと、小さい頃読んだ手塚治虫の本にこんな逸話があったのだ。
手塚治虫の小学校の先生が黒板に描く「丸」がイビツすぎるので、代わりに手塚治虫が描くことになり、その丸がすごくきれいだったらしい。
他にも定規を使わずに真っすぐ線を引く、とか下書きをしないでいきなり原稿に線を描き始める、といったものだった。
とにかくマンガ家は画面の中にあるものを全部自分で描いているんだ、と思っていた。だから僕は習字を習っていた時もそのことを意識していたし、スクリーントーンの線も自分で自由帳に練習していた。
ある種の職人や、芸術家のように特別な仕事だと思っていた。
でも今、デジタルな道具が普及して、綺麗な線も、円も、自在に描けるようになった。
マンガを描く、ということの技術の比重が軽くなって、誰でもiPadでマンガを描けるようになった。
特別さが失われたことは少し残念な気もするけれど、子育てで忙しいお母さんや、サラリーマンが在宅や副業、あるいは趣味でマンガを描ける世界って本当にいいな、と思う。マンガは会話に使える表現のひとつになったんだ。
だから、昔思っていたよりも、マンガ家は特別な仕事じゃないと感じている。
だからといって、自分の中で特別さが失われてしまったかというと、そうでもない。
特別な仕事かどうかは、自分にしか感じられない。
デザイナーも給食のおばちゃんもお医者さんも大工さんも本屋さんも、誰しも自分の文脈の中でしか、自分の仕事を考えることはできないんだと思う。
あなたの仕事は、特別なのだ。
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