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【マンガの研究】エッセイマンガを描くときに注意したいこと。
過去の記憶を元に、伝わるエッセイマンガを描くにはどうしたらいいでしょうか?
編集の佐渡島さんに聞いたポイントを元にまとめました。
僕の失敗例
エッセイマンガ、とは何かというところが議論になりそうですがここでは単純に「実体験を元にした作者自身が主人公のマンガ」とします。
では早速ですがまず、僕のこのマンガをみてください。
居酒屋のアルバイトで牛と豚を間違えたら、失敗以上に怒られた話。 pic.twitter.com/FWPPHbC25G
— やじまけんじ@8/10電子書籍発売 (@yajima_kenji) September 13, 2020
このマンガをみて編集の佐渡島さんは
「牛肉と豚肉の区別の出来ない男の話」
と言っていた。
実は僕が描きたかったのは
「確認の意味が男と先輩でズレてるっていう笑い」
みたいなことだったんです。
コメントや引用RTでそういう風に読んでくれてる人もいたんだけど、かなりまちまちな感想で「あ、そういう風に伝わっちゃったか」というものが多かった。これは完全に僕の描き方ミス。
じゃあ、どうしたらよかったかというと、
人が興味をもつ切り口を本気で考える
そもそも過去に起きた出来事は変わらない。
つまり、
「牛肉と豚肉の違いが判らず間違えて出して、
確認の仕方でさらに怒られた」という出来事。
そのこと自体はもう過去のことで変えられない。
伝わらないときはネタが悪いわけではない。
なので現在の視点から多くの人が興味を持つように切り口に変えることによって、多くの人に読んでもらうことができる、と佐渡島さんがわかりやすい例えをだしてくれた。
佐渡島さん例1:
TV番組の「芸能人格付けチェック」のように多くの人が興味をもつ文脈にそろえてみる。
冒頭、男がテレビで格付けチェックをみて
「違いが判らない選手権あったらおれが一位なのにな…」
などと言っている。
そして回想に入り、アルバイト時代の豚肉と牛肉を間違えるくだり。
これであれば「違いが判らない」という話として楽しみやすい。
あるいは、
佐渡島さん例2:
上司と部下のコミュニケーションミスの例として語る。
冒頭で「世の中の上司のみなさん、部下に“確認しろ”と言っていませんか?」その話、通じてない理由はこうです…
などと、冒頭で世の中のコミュニケーションがうまくいっていない上司に興味をもってもらう切り口にする。
こうすることで上司と部下のコミュニケーションの話、として
読んでもらいやすくなる。
これは佐渡島さんが出してくれた例でパッと出してくれた説明のための案だが、要するに大事なのは
何の話かわかる、ということ。
単純なようで、むずかしい。でもこれを意識しないと多くの人に読んでもらうのは難しそうだ。
そして、佐渡島さんが言うには、伝えるためには“伝わらない理由”、を知っておくことも大事だという。
「伝わらない理由は大きく2つ」
伝わらない場合、大きく理由は2つにわけられるという。
○伝えたい事が明確じゃない。
つまり、僕のマンガでいうと、「牛肉と豚肉の違いが判らず間違えて出して、確認の仕方でさらに怒られた」という出来事。
この出来事をどう意味付けをするのか。
ここが「牛肉と豚肉の区別の出来ない男の話」
なのか、「確認の意味が男と先輩でズレてるっていう笑い」
では伝え方がそもそもかなり変わってくる。
ここを明確にして、それにあった演出をすることが大事だ。そして
○伝わってるかどうか、相手の反応を確認しない。(推敲足りてない)
僕のマンガの場合、まず自分で読みなおしが足りなかった。
どういう印象を与えるか、という客観的な視点での読み直しが必要だったのだ。一番いいのは誰か仲間や編集さんにみてもらって「伝えたい事が伝わってるか」確認することだろう。
そして以上のことを打ち合わせで話してもらったあとに、描きかけていたマンガを少し手直しして「何のマンガなのか」が冒頭でわかるようにしてみたら、
バイトで学んだのは「色んな“ふつう”があるなあ…シミジミ」っていうことでした。 pic.twitter.com/sOhd2aI682
— やじまけんじ@8/10電子書籍発売 (@yajima_kenji) September 15, 2020
バズった!
このマンガは当初は
「熊の人形を持ってくる女性がいてそれが普通になってた」
みたいなぼんやりしたエピソードを思い出して描いたんですが、
それを「普通って色々あるし変わるよね」っていう切り口で揃えてみたら多くの人に読んでもらえました。
みなさんもエッセイマンガを描くとき、読むときに
人が興味をもつ切り口を本気で考える
伝えたい事が明確か。
伝わってるかどうか、相手の反応を確認する。(推敲する)
ここを大事にしてみると、たくさん読んでもらえるかも?
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