地味で何も起きなかった10年とコッぺくん
やじまけんじ、初めての?週刊連載が始まりました…!
※おふくちゃんも描いてるけど、週に8コマだからね。
今回連載が始まったコッぺくんは
「面白いことが起きない、人生つまらない、なんか面白いことないかなーと感じている人」に読んでほしいマンガです。
マンガってそういう時に読むもんだろ、ってツッコみました?いや、そういうことじゃなくて、テーマというか、作者の思いみたいなやつの話です。
なぜ「面白いことが起きない、つまらない、なんか面白いことないかなーと感じている人に読んでほしい」のかというと、僕自身がマンガを描くときに「なんか描くことないかなー」って思うことが多かったんです。
ぼく、1年前まで10年くらいフリーターしてて、その生活って本当に地味な毎日の繰り返しだったんです。努力もしてないから挫折もない。家で本を読んだり、散歩したりバイト行ったりしてました。
こんな地味なフリーター生活を送ってきた僕がどうやって漫画っていうエンタテイメントを描くんだろう、って思ったんです。
両親は離婚はしてるけど、家庭環境が悪かったとかもないし、いじめられたりいじめたり、とか受験や就活で大変な思いもしてないし、ちょっと借金はあるけど、別に困窮を極めるって感じでもないし。
世の中には壮絶な体験や感情を持ってる人がいて、そういう人とネタで勝負したら負けるし、かといってよくできたストーリーを描けるわけでもないし、あんまりそういうの描きたい欲もない。つまり、
「え?マジでそんなことある?」っていうヒキがある体験がないんですよ。
え、なんか、おれの人生って地味…?
でもこれって、僕だけが感じていることじゃないと思います。なんか、目に付く人は色んな体験したり、語れるようなものをもってたりして、そんな色々ある?って思うし、がんばってんだなーって思う。
そんな気持ちを持ちながら、マンガを編集者の佐渡島さんに見てもらっていたらあるとき
そういう生活の中で起きた、ちいさい感情たちを面白く描くことが大事なんだよ
って教えてもらったんです。
はー、なるほどなあ…そうか、それならたくさんあるじゃないの。
そしてこうも言ってたんです、
「自分の感情と向き合い続ける限り、描くことが枯渇することはない」
これは、僕みたいな何にもないのに作家になろうという人間にはすごく響く言葉です。
大事なのは出来事じゃなくて、自分が感じた気持ちのほうだったのか。
だから、コッペくんってフリーター時代の僕と同じで、
「冒険」っていう大げさなものを探しながらも
彼に起こることは小さい出来事ばっかりなんです。
コッペくんはお父さんからもらった日記帳に
何かすごい冒険を描きたいのに、
僕の生活と同じように冒険らしいことはないんです。
でも実はすでに、その生活に冒険がある。
マンガの中では、楽しみをみいだすのがうまい
ロコくんっていうワニの友達がいて
彼と一緒に遊んだりすることでコッぺくんは気がつくと、
生活を楽しんじゃうんです。
だから読んでくれる人もコッぺくんのように、
何にも起きないと思って過ごすふつうの生活の中にも、
実は色んなことが起きてて、
そういうことに気持ちがむいて少し面白く生きるきっかけになったらいいな、と思ってマンガを描いています。
コッぺくん、読んでみてください。
あと、一緒にコルクで漫画を描いてるつのだふむさんのマンガも一緒に連載が始まりました。是非読んでね。
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・コッぺくん未公開ネーム。19年02月19日の6P
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