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【エッセイ】アガサクリスティーを生まれて初めて読んだ感想とマンガへの活かし方を考える。


この記事は、やじまがオリエント急行を読んで、自分のマンガにどう活かそうかと考えた感想文です。アガサクリスティーの「オリエント急行の殺人」のネタバレがありますので、これから読もうと思ってる人はどうぞ、読まないように。



昨日は休みだったので、今準備しているマンガの参考のためにコルクの編集者ぴろしさんが勧めてくれたアガサクリスティーの小説を生まれて初めて読んだ。

「オリエント急行の殺人」。

ネタバレ込みで最後までのあらすじを言うと

『雪によって身動きが取れなくなった寝台列車の車両で殺人事件が起きる。実はその被害者はアメリカで起きた有名な誘拐殺人事件の犯人。

乗り合わせた乗客全員が探偵ポワロを除いてその殺人事件の被害者家族の知人で、

これは裁判を金の力で無罪を勝ち取った犯人への復讐のために全員で企んだ殺人だった。』

というものだ。。


やじまはミステリの
「本当はもう作者がわかってることを、情報を小出しにして少しずつ教えられる感」
がもどかしくてあまり読まないのだけれど、これもそのもったいぶった感じはした。

情報が出てくるたびに的外れな推理をするサブキャラにもイライラする。黙っててくれ!

ポワロのキャラも、外見的特徴以外はそんなに出てる感じでもない。


でも最後まで読み発見、気づきがあった。

読み終わってから寝る前に「どうしたら自分が読みたいオリエント急行になるか?」と考えていた。


自分だったら、「犯人の側から見たオリエント急行」そのドラマが観たいと思った。

まず、同じようにアメリカで事件が起きる。その事件によって、それぞれの気持ちが一致して復讐の計画を立てよう、となる。

その計画実行の日までのそれぞれの心境の変化、そしていざ実行しようとすると、予想外にポワロが乗り込んできてしまう。そのポワロをどう欺くか、その様子を描くのだ。。。


とここまで考えたところでこれは「忠臣蔵」に近い話だと思った。

藩主が不当な裁きによって切腹させられたことに憤った藩主たちが吉良に復讐する話と同じ構造。そこに復讐に至るまでの人間ドラマが描かれる。

やじまは忠臣蔵=赤穂浪士の話が何故か好きだ。大佛次郎の描いたのも好きだし、「イヌの仇討ち」と言う吉良側から書いた井上ひさしの小説も好きだ。

「いざ、復讐やるぞ」ってなる、そこに至るまでのそれぞれの気持ちが描かれるのが好きだった。

途中で復讐への気持ちが薄くなってしまう奴もいるし、大石蔵之介に疑いを持つ奴もいる。女と逃げてしまうやつもいる。

そういう、『藩主のために復讐する』と言う共通の目的を持った人たちが、
どういう感情の変化をするのか、そのリアクションの違いがとても面白い。


そう言う意味で、『オリエント急行の殺人』もやじま版で描くなら犯人たち側の
感情について描けたら、自分好みかもしれないと思った。

この『オリエント急行の殺人やじま版』を自分の今準備しているマンガの演出でできると、とても面白くなるかもしれない。


※余談というか話しが少しそれるけれど映画「仁義なき戦い」の脚本家の笠原和夫の脚本術を描いた『映画はやくざなり』という本がある。その本の中で笠原和夫は先輩に「三遊亭円朝の全集と忠臣蔵を繰り返し読め」と言われたと書いていた。そのくらい、この忠臣蔵の型は基本なのかもしれない。





この下は、↑上で書いた準備中のマンガのキャラデザです。

キャラデザをするために「ハンターハンター風」にかいたり、「浦沢直樹風」に書いたりしてみました。

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