共通テスト受験必須科目"情報Ⅰ"といてみた
これは「imtakalab Advent Calendar 2024」の13日目の記事です。
https://adventar.org/calendars/10354
はじめに
こんにちは。yajaと申します。
私は現在、情報系大学の学部4年生をしています。
大学に入ってから、Pythonやアルゴリズム、統計分析などの情報学の基礎を学んできました。しかし最近、これらの内容は高校生の必須カリキュラムである「情報Ⅰ」という授業で扱われていると知りました。さらに、発展的な内容を扱う「情報Ⅱ」という選択科目まで設置されるらしいです。驚きです。
ところで、みなさんは共通テストやセンター試験を受けたときのことを覚えていますか?
なんと、今年から「情報Ⅰ」が共通テストの受験必須科目として追加されるそうです。私が受験したときには、「情報」という試験そのものが存在しなかったため、この変化に驚きを感じています。試験では、プログラミングやセキュリティ、データ分析など、実践的内容が扱われているそうです。
「情報Ⅰ」がどんな試験なのか、そしてその難易度や実用性はどれほどなのか気になりませんか?気になったので今回は、実際に共通テストの「情報Ⅰ」について調べ、挑戦してみました。
共通テスト『情報Ⅰ』とは?
情報Ⅰのカリキュラム
情報Ⅰでは、以下の4つの主要分野を学びます。それぞれが実践的なテーマであり、社会で求められる基礎力を養うことを目的としてるそうです。
情報社会の問題解決
情報技術を活用して問題を発見し、解決する力を養う。
情報セキュリティ、法律や制度(知的財産権、個人情報, 著作権法)、身の周りの情報システム、情報モラル等
コミュニケーションと情報デザイン
メディアの特性を理解し、情報デザインの考え方やコンテンツを学び、情報の表現・伝達の工夫する能力を養う。
情報のデジタル化、Webサイト、インターフェース等
コンピュータとプログラミング
コンピュータの仕組みや情報の内部表現を理解し、プログラミングによる問題解決能力を培う。
アルゴリズムの表現方法(フローチャート、アクティビティ図)、ソートなどのアルゴリズム、コンピュータの能力を引き出す技術等。
情報通信ネットワークとデータの活用
情報通信ネットワークや情報システムの仕組みを学び、小規模な情報数通信ネットワークを設計できる力を身につける。
ネットーワークの構成、プロトコル、クラウド、情報セキュリティ、データベース等
情報の教科書
以下が『情報Ⅰ』の教科書の目次です。内容盛りだくさんです。
基本情報とかなら取れちゃいそうな感じしますよね…
ふつうに、むずかしそうで、いやですね。
ちなみに、選択授業である『情報Ⅱ』では、これらの内容をさらに掘り下げて学ぶそうです。怖いですね。
『情報Ⅰ』試験概要
共通テスト『情報Ⅰ』は、約60分間で大問4~5問に取り組む形式です。試験は2日目の最後に実施されるそうです。
大変ですね…
実際に解いてみました
『情報Ⅰ』は今年から始まった試験のため、まだ過去問がありません。
そこで、以下の2つの問題を解いてみました。
テスト結果
まず、大学入試センターが作成した試作問題。
結果は 72点。
情報系学生の名折れ。はじさらし。つらよごし。
文字量ありすぎで、最後の大問まで辿り着けませんでした笑。
試験時間60分のところ、80分ほどかけてやっと最後まで解けました。
得点は 97点。
それでも、全問正解できん、カス。
続いて、令和6年度の「情報関係基礎」の過去問。
結果は 60分間で70点。
留年したほうがいいかもしれない。
テスト内容の印象
試験の難易度:
全体的に基礎的な内容が多いと感じました。しっかりと問題文を読み、ある程度の数学知識があれば、頑張って考えることで解ける問題が多かったです。単純な知識問題ばかりではなく、思考力を試すといった問題が多い印象です。時間配分の難しさ:
60分という制限時間の中で、長い文章を読み、疑似コードを読み解き、データを読み解く必要があり、集中力が求められると感じました。特に印象的だった点:
アルゴリズムや疑似コードの問題では、ストーリー仕立ての形式になっており、考えながら解いていく過程がとても面白かったです。ただ単に「こういう機能の関数を作りたい。疑似コードの空欄を埋めよ」といった形式ではなく、順序立てて誘導がしっかりと行われていたため、思考プロセスが自然に進み、理解しやすい構成でした。また、実用的な問題も多く、学んだ知識をそのまま社会で活用できる形に落とし込まれているという印象をもちました。
問題の紹介
試験問題は全体的に文章が長く、ほとんどの問題が記事で紹介するには難しい内容です。ここでは、前後の文脈がわからなくても解けそうな短い問題を2つ紹介します。
2次元コードの問題
下線部A: 2次元コードの3か所の隅にある二重の少し大きな正方形は,読み取り機にこの二次元コードがあることを教えている位置検出の目印なんだ。
情報システムの問題
下線部B: 商品補充の担当者は、専用アプリを使えば、在庫管理サーバに登録された自動販売機内に残っている商品の数が確認できる。
受験生へのリスペクト
共通テスト『情報Ⅰ』を解いてみて、高校生の学びのレベルに感心しました。私が、大学1~2年で初めて触れた内容を、すでに高校で習得しているという事実に、教育の進化を強く感じました。
問題に、パリティビット、論理回路、音のデジタル化が出てきた時は、ちょっと、ひやっとしました。正直、選択問題形式じゃなきゃ解けなかったかもと思う問題もありました…笑
とはいえ、情報Ⅰが導入されてすぐということもあり、受験で情報Ⅰを利用できる大学はまだ少ない状況です。ただでさえ負荷が大きい共通テストに、新たな必須科目として「情報Ⅰ」が加わったことは、高校生にとって大きな負担だろうと感じました。60分という短い時間で解答するのは相当な集中力が必要だと思いました。
「受験生すごい、頑張ってほしい…!」と思いました…
まとめ
共通テスト『情報Ⅰ』を実際に解いてみて、高校生の情報学に対する学びのレベルに驚かされました。高校生がすでにPythonやアルゴリズム、データ分析といった内容を身につけている一方で、私はこれらを大学1,2年生で初めて学びました。このギャップは、大学カリキュラムにも大きな影響出てきそうですよね。情報リテラシーを備えた学生が増えることで、大学では現在のカリキュラムより高度な内容に時間を割けるようになり、未来の情報学専攻学生やエンジニアの可能性がさらに広がりそうです…!
その一方で、焦りも感じました。高校教育の進化に伴い、今後はより高いレベルの知識やスキルが求められる時代が来るかもしれません。この進化に取り残されないように学び続ける必要があると痛感しました。
皆さんもぜひ、一度共通テストに挑戦してみてください!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。