あの光の中へ
「あれ…」
辺りが眩しくてつい目を開けてしまった。
私はいつものように夜までずっとゲームをして、
睡眠薬を飲んで布団で寝てしまったはず。
周りがぼーとする。
眼鏡をかけてないけど、頭が覚醒するうちに視界がクリアになっていく。
「ここ電車の中だ」
私はいつのまにか地下鉄の車両の中に座っていた。
でも誰もいない。
服装はパジャマのままで、裸足だ。
ポケットにはスマートフォンが入っている。
充電は86%
直前までTwitterをしていたから。
「電波は…圏外だ」
仕方ない。
しかし、一通メール届く。
「文字化けしてる…」
どうしよう、これは読めない。
辛うじて解読できる漢字は、
「衣…更着駅?降利炉…降りろ、か」
きさらぎ駅といえば2ちゃんねるのオカルト掲示板に寄せられた都市伝説。
車両にアナウンスが響く。
「次はきさらぎ駅、きさらぎ駅」
このまま地下鉄に乗っていてもしょうがない。
メールに従って降りることにする。
誰もいないホーム、薄暗く、スマートフォンの明かりでようやく足元を照らせる。
「はぁ、どうしたもんか、これ」
改めて駅前をみる。
このきさらぎ駅の駅前が私の知っているきさらぎ駅ではない。当て字が違う。
「希更義…駅?のぞみがさらによしとする駅?まるで三国志にでてきそうな…」
のぞみか…
そうだなぁ…できたら派遣切りも、うつ病にも、休職にもなってない、普通の生活ができる幸せが希望だなぁ…
じゃなきゃ、私、こんなことに…
「え?」
こんなことって、どんなことだ?
私何を思い出そうとしていたんだっけ。
またメールが届く。
今度は文字化けはしていない。
「貴方の希望をここで見つけて」
希望と絶望は表裏一体で、
現実が絶望が溢れているからこそ、
空想の中に希望を持たせる。
せめて、醒めない夢の中ならば、永遠の幸せを貴方に。
せめて、この悪夢の中で永遠に私とともに。
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さよなら、みんな