
ちいかわ 穴/喜びがない編 徹底考察
こんにちは すけさぶろーです
皆さんはちいかわという作品をご存じでしょうか
「ちいかわ」は、イラストレーター・ナガノさんが手掛ける漫画作品で、
可愛らしいキャラクターたちが織り成す、日常を描いた物語です。
一見ほのぼのとした雰囲気ながら、深いテーマも込められており、子どもから大人まで幅広い層に愛されています。
メルヘンちっくな世界が舞台です。しかしその中には、ちょっと不思議で、時にシビアな現実が潜んでいます。
ちいかわは、真面目で頑張り屋な小さなキャラクター。
友達の「ハチワレ」や「うさぎ」と一緒に、日々の小さな幸せや困難に向き合いながら、少しずつ成長していきます。
ちいかわたちは、そのまんまの名前が示すようにとても可愛らしく、見ているだけで心が温かくなります。
どのキャラクターも個性豊かで、愛嬌があります。
表向きは平和に見える世界ですが、ちいかわたちは「採用試験」や「借金返済」など、リアルな課題を抱えています。
このギャップが独特の魅力を生み出しています。
働くことの意味、友達との絆、小さな幸せの尊さなど、
日常の中で忘れがちな大切なことを優しく教えてくれる作品です。
そんなちいかわという作品でも屈指の名シーンであるはちわれが落とし穴に落ちるシーン
「落とし穴編、喜びがない編」ともいわれるこのシーン、感動できると話題になっています。
なぜみんなこのシーンに感動するのでしょうか。
その魅力に迫ります。
この場面のあらすじを見ていきましょう
はちわれはモンスターのような生き物を討伐をして
代わりに収入を得る暮らしをしていますが、
その日の最後の獲物を討伐しようとしたところ、
大きな穴に落ちてしまいます。
はちわれは穴を抜け出そうと
這って上りますが、壁が高くてなかなか登れません。
しかしポジティブなはちわれは
それでもなんとか自分の力だけで登ろうとします。
しかしどうにもならず、
雨も降ってきてしまいます。
ここではちわれ屈指の名台詞「喜びが、ない」が出ます。
悲しいなぁとか苦しいなぁとか自分の境遇に対する反発ではなく
喜びがないという表現がいかにもはちわれらしくていいですね。
そんなときちいかわが現れます。
ちいかわは主に草むしりをしながら収入を得ています。
草むしり中に道に迷ってはちわれの落ちた場所にたどり着いたようです。
ちいかわはすぐに降りて助けようとしますが、
一緒に穴から抜けれなくなるのではちわれからやめるように言われ、
どこかに行ってしまいます。
すると長い蔦を持って現れて、大きな木につないではちわれに
向かって垂らしてあげます。
はちわれが蔦を登り始めると
ちいかわがはちわれのさすまたを置いて行っていることに気づきます
はちわれは「いいよ、おいていこう」と言っておいていこうとしますが
ちいかわは構わずさすまたを拾いに穴の底まで行って拾って口にくわえて
無理やり蔦を登ります。
その姿をみてはちわれは笑って蔦から落ちそうになりますが
なんとか登り切って、ちいかわも続いて登り切ります。
最後は雨が上がり虹がかかってふたりでチャルメラを食べに帰るハッピーエンドになりました。
さてこの話の感動ポイントはちいかわがさすまたを回収しにわざわざ穴の中に落ちるシーンです。
その謎を解いていきましょう。
ちいかわは友達思いです。自分の危険を顧みずに一緒に穴に落ちようとしました。
このときは自分も出れなくなる心配をしていなかっただけかもしれません。
しかし二回目に穴に入ったときは違います。蔦を垂らしているとはいえ
自分が戻れなくなる危険性を承知で入っていきました。
これは普段の臆病なちいかわとは違います。
しかも珍しくやる気に満ちた表情もしていました。
それだけさすまたを回収したかったのでしょう。
なぜこんなにさすまたにこだわったのでしょうか。
それははちわれとの思い出があるものだからではないでしょうか。
はちわれはポジティブで未来志向です。
だからさすまたがなくなっても生きてさえいれば
思い出は新しく増えるし作っていけると考えています。
だからおいていこうと言っているんですね。
しかしちいかわは違いました。
消極的ですが、過去を大切にしているんですね。
だから二人の思い出の品を命をかけて取りに行くんです。
この時、必死になって口にくわえたままアンバランスになりながら
一生懸命蔦を登りましたが、ものすごく不格好です。
でも人は必死な時ほどかっこ悪くなるんです。
例えば全力で泳いでいる水泳選手を思い浮かべてください。
呼吸のために顔を上げた表情って必死でいてかっこ悪いですよね。
それほどちいかわは必死でした。
他人のためにかっこ悪くなれるちいかわはとても素敵ですね。
これに対して、友達思いのはちわれが
がんばる友達が必死な様子を涙が出るほど笑うでしょうか。
これは違うと思います。
この涙が出ているコマ、なんだかおかしいと思いませんか。
はちわれは本編通してよく笑うしにこにこしていますが、爆笑するシーンは意外に少なくて
涙が出るほど笑っていることはほぼないです。
ではこれは何だと思いますか?そう、泣いているんです。
これには二つ理由があります。
一つは自分との思い出を必死で守ろうとしているちいかわのやさしさに触れてうれしかったんでしょう。
もう一つは、はちわれが後悔していたことを救ってくれることになったからです。
これを説明するにはまずはちわれというキャラについて語る必要があります。
はちわれはなぜか洞窟に住んでいて、趣味はカメラや料理です。
討伐任務に行っていて、ちいかわより稼いでいるにも関わらず、自分の生活にほとんどお金を使っていません
食器はひびがはいっていますし、敷布団は茣蓙みたいな硬いやつです。ドアもありません。
それはきっと趣味にお金を使っているからです。
ですが料理はお客さんであるちいかわやうさぎに対してふるまっていますし、
カメラで撮った写真はみんなに渡しています。
このようにみんなのために基本的に生きてるはちわれ。
さすまたをつかって稼ぐのは基本自分だけのためじゃないんですよね。
そんななか、稼いでる途中、事故で穴に落ちたらどうでしょうか。
雨で座り込んでいるこのシーンでは、討伐に行ったこと、つまり他人のために生きることを後悔したのではないでしょうか
このコマ、あと一匹、と書いてありますがあと一匹でなにかみんなで楽しいことをやれたんじゃないでしょうか。
皆さんはどう思いますか?
そんな後悔があったはちわれに、討伐用の道具のさすまたをいのちがけでちいかわが拾ってきたら
どう思うでしょうか。
与えながら生きていくことは間違いじゃなかったと、そういってもらえたように感じるのではないでしょうか。
つまり、はちわれが泣いているのは
はちわれの自己犠牲と恵を与える性格に対して、ちいかわが、その生き方は間違いじゃないと
必死になって訴えてるように見えるからです。
ちいかわは、はちわれの命と同じくらいはちわれの生き方や人間性、いわば魂を大切に思っていたんです。
そう、はちわれにとってちいかわが命がけでさすまたを取りに行くのは、
はちわれの魂を救済するシーンにもなっているんです。
二人で助け合って、苦難を乗り越えることで
ちいかわとはちわれ、お互いにとって大切なものを確認した「喜びがない編」
この物語は、友達のために不格好でも全力で頑張ることの尊さを教えてくれるちいかわ屈指の名場面だと思います。