再会した彼は予想外のポジションへ登りつめていた①
1 終わりとはじまりとアドラー王
ーー身体中が痛い。そして寒い……。
なんとか川から這い出たものの、体力は欠片も残っていなかった。
自分でもよくわかる。私は死ぬのだと。
とっくに神への信仰は捨てたはずなのに、なぜか恨みごとを呟いてしまう。
そして、気づいた。
ああ、私はまだ、神を信じている。ここまできてもまだ、どこかで期待しているのだ。神は救いの手を差し伸べてくださると。
涙はもう涸れ果てて一滴もでてこない。
もうすぐだ。もうそこまで、死は近づいている