資産家はなぜ質素なのか?
先日、YouTubeで面白いことを言っている動画を見たので、少し自分の見解も加えながら、感想を書いてみる。
その動画では、「資産家の人はわりと質素な暮らしをしている人が多い」ということを話していた。高収入のサラリーマンは所得が高いわりに支出も多く、わりと派手にお金を使う人が多いらしいのだが、何億円と資産をもっている「資産家」は、わりと普通な家に住んで、服もブランドではなくユニクロ中心だったりして、とても外見からではそんな何億円も持っているように見えない、というのだ。
それを最初に聞いたとき、「お金を持ちすぎているとお金を使うことに興味がなくなる」的なよくある話なのかな、と思っていた。しかしよくよく考えてみると、そういうわけではなく、理詰めで考えてもそうなる、ということに気がついて、面白いなと思った。
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たとえば、いま1億円を所有していたとする。年利5%で運用したとしたら、500万円が手に入る。その運用益で食っていくのだとしたら、1億円は持っているものの、それはあくまで自分の「商売道具」であって、それを元手に「純増した分」、つまり「年収」は500万円、ということになる。
資産家は、自分の力で稼ぐのではなくて自分の持っている資産を増やすことで食っていくのだから、たとえ1億円をもっていたとしても5%しか運用益がでないのであれば、年収は500万円なのである。これが、資産家が意外と質素である理由だ。
もちろん、資産である1億円を食いつぶしていくことはできる。その場合、自由に使えるお金が1億円もあるわけだから、かなり贅沢をすることができるだろう。しかし、その1億円がいわば自分の人生における「リミット」になるわけで、枯渇したら食い扶持がなくなってしまう。
だから、資産家にとって、資産を使うということは、タコが空腹時に自分の足を食べるのと同じで、自滅への道を突き進むことになるわけだ。
逆に、1億円資産をもっていたとして、年利5%で運用する場合、儲かったお金をすべて投資に注ぎ込めば、どんどんお金は増えていく。1億円が、2年目には1億500万円になり、3年目には……とどんどん増えていく。
それを20回繰り返すと、2億5000万ぐらいになる。毎年500万円を使い込んでいたら1億円は1億円のままだけれど、使わずにそれを全部投資に回せば、20年で1億5000万円ほど増える、と。
そう考えると、資産家は質素でも不思議はないだろう。お金は、もはや自分で使うためのものではなく、「自分のお金を増やすための道具」として見るようになるのだ。
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一方で、高級取りのサラリーマンは、そんなことは気にしない。理由は単純で、彼らはたとえ会社が倒産しても、能力が十分にあるので、すぐに次の転職先が見つかることだろう。
つまり、サラリーマンにとっての資本は「自分自身」であり、なんらかの能力が失われることはあるかもしれないが、基本的には自分の市場価値はさがらない。金融資産という意味で考えてみると、サラリーマンの生涯年収は2億円とかいうから、サラリーマンというのは潜在的に2億円の価値があるのである。
それを、労働市場で貨幣に換算して、給料としてお金を得ている。現金を運用してお金を稼ぐ資産家と、労働力を運用してお金を稼ぐサラリーマンは、実は違いとしてはそれが一番違う、ということになるのかな、と。
実業家というとまた違うのだろうけれど、どっちの道がいいか、というのは人それぞれな気がする。僕は、いろんな経験ができる分、サラリーマンのほうが楽しいと思うけれど。