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恋愛履歴書④

僕の人生は、恋で作られている

恋の経歴を伝えることは、僕の経歴を伝えること。

そう、これは恋愛履歴書なんだろう。

(①はコチラ)

https://note.com/yahho3/n/n08e1b9c99941

(②はコチラ)

https://note.com/yahho3/n/ne25756465845

(③はコチラ)

https://note.com/yahho3/n/neeb668033b63

'00 Y's memory-1

高校3年生になった。

まだNちゃんの痛手から回復しきれていなかった僕は、新しい出会いにちょっと臆病になっていた。

ちょうど大学受験の年。

そもそも恋なんてしてる場合じゃないのかもしれない。

僕は塾に通うことにした。

出来たばかりの塾で、みんなすぐに仲良くなった。

同じクラスに女の子はいたけれど、今ひとつぐっと距離を詰めたいって思う子ではなかった。

僕は恋愛で第一印象を大切にしている。

付き合えるか、付き合いたいか。

それは顔を合わせて少し話せばある程度の可能性は分かる気がした。

もちろん、自分だけが付き合いたいたくって、相手にされないこともある。

でも、僕はそんなにモテるタイプではないから、好きになったら自分から伝えることは惜しまない。

そういう言葉を伝えるチャンスをくれる人なら、意外と可能性があると分かってきていた。

Nちゃんと会わなくなってから、どうも前向きな気持ちが欠けているみたいだった。

5月になった。いよいよ受験ムードが漂ってきて、新しい生徒がどんどん増えてきた。

「この授業って、センター数学?」

いきなり教室で女の子に話しかけられた。

超ド派手なヒマワリのワンピース。

まだ5月だって言うのに、手足も惜しげなく晒されていて、ちょっと目のやり場に困る程だ。

「そうだよ。えーっと新しく入ったの?」

「せやねん。ウチ全然分からへんし、良かったら色々と教えて」

それがYちゃんだった。

日焼けした肌が、ワンピースによく似合っている。

彼女の天然そうな仕草と、セクシーな格好のアンバランスさがものすごく心に刺さった。

翌日から毎日塾に通って、彼女を探した。

彼女はすぐ近くの共学高に通っていて、塾のクラスは1つ初級のところだった。

僕は彼女を見つけるたびに口実を作っては話しかけた。

一緒にご飯に誘って、毎日色んな話をした。

Yちゃんとはすごく波長が合うのか、一緒にいることがとても自然だった。

異性の友達なんて1人もいなかったけれど、Yちゃんとはずっと前から仲良しだったんじゃないかと思えるくらいに遠慮せずに話が出来た。

もちろん、彼女とステップを進めたかった。

彼女は制服でもスカートを短くしていて、落ち着いた色のセーラー服から覗く太ももに、僕のフォースは毎日覚醒していた。

だけど、Nちゃんのことがあって、すぐには関係を進める勇気が持てなかった。

Yちゃんを失いたくない。

お互いに特別なあだ名を付けあって、親友みたいに過ごす彼女に拒絶されるのが怖かった。

出会いから2ヶ月ほどしたある日。

同じ学校の悪友Sに呼び止められた。

「あのさー、お前ってYと仲良かったやろー?俺ら付き合うことになってさぁ。一応伝えておこうかなって...」

!!!!!!!!!!!!!

-------

!!!?

「えっ、そうなんや。。。」

多分、傍目から見てもはっきり落胆していただろう。

自分と話してる時以外の彼女が、どこで誰とすごしているかなんて、正直全く気にかけていなかった。

まさかSと仲良くなっていて、付き合うまでいっているなんて...

これは本当に予想外の事態だった。

もちろんYちゃんからはそんな素振りは全く見えなかった。

つい昨日まで、いつも通り「あはは」と笑いあってご飯を食べていた。

どうしたらいいんだろう。

Yちゃんを問い詰めるべきなのか。でもそんなことをしても謝られたいわけじゃない。

僕はYちゃんとセックスがしたかった。お互いのフォースを高め合いたかった。きっと彼女はそのための最高のパートナーになってくれる。

そうだったはずなのに。。。

葛藤の後に、僕の中に暗い野望が芽生えた。

自分の方がSよりも仲良くなってしまえばいい。

僕は付き合うことに重きをおいていなかった。

だから彼女がSと付き合ってしまっても文句は言えない。

だけど、付き合ってないからこそ僕が彼氏に遠慮する言われもない。

なんせ、僕の方がYちゃんとは仲がいいはずなんだから。。。

その日のうちに、僕はYちゃんを呼び出した。

内容を察していた彼女は初めから俯いて、喋りにくそうにしていた。

僕は彼女のことを、先に教えておいてほしかった、とひとしきりなじったあと、でも今まで通りに会って欲しい、Sとのことも隠さず話して欲しい、と伝えた。

彼女は泣いていた。

僕は自分の暗い野望を果たすために彼女をおもむろに抱きしめた。

Yちゃんは少し身をこわばらせたけれど、振りほどきはしなかった。

その日から、僕のフォースの暗黒面が牙を剥き始めた。。。

(つづく)


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