GENRE-SHUFFLE 4 投稿作品と振り返り
今回は、「GENRE-SHUFFLE 4」に参加。久しぶりに規模の大きめなイベントなので楽しかったです。
参加楽曲
You know
GENRE-SHUFFLEはその名の通り、参加者それぞれが提案されたジャンルがランダムに割り振られる地獄のイベントです。ぶっちゃけ、DTM歴9ヶ月(抽選時点では半年)の自分が出るのはかなり危険なムーブだったがゆえに、周りからも結構心配されてのですが、無事作品を提出できました。
ちなみにジャンルはジプシーコアです。幸い、どういったものかの定義が分かりやすいものだったので比較的易しいジャンルだったような気もします(本当か?)
順位の方は、合計値が中の上、平均点が中の下くらいでした。なんというか、ずっとこれくらいの成績が続いてます。DTM初心者というバイアスをかけてみれば上出来なのかもしれませんが、自分よりちょっと先輩くらいの方が大躍進をこのイベントで遂げたので、自分もどこかで一発当てたいなという思いが強くなりました。
まだ、周りの方から初心者というタグ付けをされている状態(良い方向には免罪符として機能するかもしれないけれど、悪く言えばレッテルとも捉えられる)なのかな、と自覚しています。そういったものを払しょくして、一人前のクリエイターだということを認識してもらいたいですね。まだまだ時間はかかりそうですが…
制作秘話的なあれこれ
特殊なイベントだったこともあり、かなり作品自体が難産だったので制作にまつわる話も今回は掘り下げてみようと思います。
UNOというテーマについて
今回のジプシーコアは、ジプシー音楽の元となっている地域のひとつであるスペインに注目し、スペイン語で「1」という意味があるカードゲームのUNOをテーマにして作曲しています。(余談ですが、UNOが生まれたのはアメリカらしい)気が付いた人もいるかもしれませんが、タイトルの「You know」もUNOと関連付けています。で、タイトルから逆算して「あなたに見えてる?このカード 私の最後の1枚~♪」といった勝ち方分かる?的なニュアンスで作詞しました。
では、ジプシーコアからUNOを直接導き出したかというとそれはNOで、実のところUNOをテーマにして、譜面にリバースやスキップを模したギミックを入れるというアイデアはイベント開催前から自分のメモ帳に残してありました。僕は昨年秋に開催されたBOF:NTにも参加しており、作品の投稿とは別でイベントの周回(いわゆる全インプレ)も行っているのですが、そのなかの1つの作品からインスピレーションを受けています。
↓asdf TacoMasterさんの『Front Man In The Backrooms』後半のシーン↓
僕はBackroomsのミームについては何も知らないので解釈が間違っているかもしれませんが、戦闘BGMのような楽曲と怪物と戦うシュールなBGA・ストーリーが魅力的な作品です。この後半のシーンでおそらく作曲者本人と思われる人物が、UNOのリバースカードを用いて攻撃を反射、戦闘に勝利するシーンがあるのですが、UNOという世界的に有名なカードゲームをこういう発想でBGAに落とし込むアイデアに素直に感服しました。「ああ、万国共通で面白いと感じられるネタって素晴らしいな」、と。
僕の「Dig Dug Dog」なんかもそうですが、誰でも面白いと感じられるって素晴らしいことであり、同時に難しいことでもあるんですよね。例えば、日本語の言葉遊びみたいな作品があったとして、それは海外の方には伝わらないし…(そういう作品を否定しているわけではないです)
で、何か自分もそういう方向性でアプローチしたいなと考えたときに、UNOというアイデアを拝借して、それを譜面と連動させたら面白いなとメモしていたのが事の始まりです。
作曲の苦労
ジプシー音楽はもちろん、いわゆるハードコア的な曲も経験が浅かったのでかなり大変でしたね… なかでも、特に苦労したことを3つ上げるのであれば
ジプシー音楽特有の音階
ブレイクビーツ
楽曲の展開
辺りでしょうか…
まず、ジャンルへの理解を深めるために、ジプシーコアの特徴を調べたんですが、はじめはジプシー音階(別名:ロマ音階 ハーモニックマイナーの第4音が半音高くなった音階、多分)なる聞いたこともない音階を使わなければならないという点で頭を抱えましたね…。 メジャーとマイナーしか使ったことがなくて、いわゆるドリアンモードだとかそういうのは全く理解していなかったので本当に困りました…。幸い、ジャンルとしてはコード進行がシンプルなものが多いそうで、トニックであるAmの箇所でアクセント的に用いれば良いと解説されているサイトがあったので参考にさせていただきました。
で、次がブレイクビーツ。1回も使ったことないので本当に作り方が分かりませんでした…。今回ジャンルへの合致度を示す会場での数値「ドンピシャ!」が84%とそれなりに削られてしまったのは、主にブレイクビーツの主張が小さい(or無いと認識されている)というものがほとんどでした。調べても意味が分からなかったので、ブレイクビーツのサンプルをstudio oneの機能(やり方もう覚えてない)で切り刻み、それをサンプラーに1個ずつ突っ込んで、原型+2~3パターンくらいを用意、楽曲に差し込んだんですがもしかしたら間違っていたのかもしれない…(後にもう少し便利な刻み方を教えてもらいました)
そして、展開も困りましたね。この点も結構違和感があるという意見が多かったです。自分が調べた範囲ではボーカル付きのジプシーコアって見当たらなかったんですが、テーマを分かりやすく伝えるボーカルを入れてしまいました笑。それだけなら良かったんですけれど、ジプシーコアから逸れないように楽器を聴かせるパートを長めにとったらボーカルが中途半端な構成になったのがイマイチだったみたいです。僕の好きな作品とかでサビだけボーカルがあるものとかもあるので、いけるかな~と思ったんですが… 難しい。そもそも、ギミックとリンクさせる地帯や、ジプシーコアにありがちな低速地帯など、いろいろと混ぜ込みたい要素が渋滞していたのでちょっと展開が窮屈だったのかもしれません。
インプレで指摘された部分としては、生音の扱いもそこそこあったかな…。正直、音源の問題なのか自分の打ち込み・プラグインでの音作りの問題なのか分かりませんが、この点に関してはまあ現段階で課題にするには難しすぎるかな、というのが自分の中での結論。散々いつも指摘されるミックスでの指摘が、ボーカルが浮いているという点以外は特になかったので、それだけでも良しとします。(ボーカルのリバーブの種類を、存在感のあるプレートリバーブに変更したのが良くなかったのかもしれない。自分ではいまでに浮いているように感じないので、こればっかりは分からない…)
最後に
今回、ギミックをテーマと関連付けるという変化球で挑んだわけですが、良い方向にも悪い方向にもそんなに点数には影響しなかったのがちょっと残念でした。ただ、こういう結果になるのも納得は出来てしまうんですよね…。僕自身がインプレ側で点数をつける際も、曲の出来でざっくり点数を決めて、譜面の出来が悪かったり、作品として不備があったりで減点する方式をとることが多いです。なので、いくら譜面が面白くても、テーマが優れていても、それが余程突き抜けていない限りはプラスの要素にはならないのかな、と。
作品のテーマや個性、世界観みたいなのを重視しているので、そういった部分が評価されにくいのは個人的には思うところもありますが、そういった軸の部分は曲げずに、DTM力の地力の方を上げていきたいなあと感じたイベントでした。
かなりしんどいイベントでしたが、改めて参加者・運営の皆様お疲れさまでした。次回がいつあるか分かりませんが、楽しみにしています!