#069. 水無月前
夜逃げ。
夜中にこっそり逃げるように引越しを行うこと、だそうだ。フィクションの世界でならたまに出くわすが、リアルでは、まぁ、あの1件だけで。
5月の末。いまでも覚えている数少ない友人知人の誕生日である。その数字を見ると思い出すのである。彼の一家が夜逃げをしたという事件を。
小学校の同級生。頭が良くて人気者。クラスの委員長を歴任。最後のほうは逃げてはみたが誰も立候補しないので推薦されてもちろん当選。
高校生の頃だったか。しかしその頃には縁は薄れていたので他人事だった。そんなこともあるのか。そんな感想であった。
で、数十年後の同窓会である。そんな彼と再会した。
え?
てなもんだ。
察したらしい。まぁ、慣れたのか。ああ、あれ。嘘だから。誤報だから。父親の経営してた会社が危なかったのは事実。そこでたまたま2週間くらい家を空けたらそんな噂が流れた、と。
そんなことを思い出し、そしてそろそろ梅雨なのか、と。
そんな時期。
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