見出し画像

#stayhome の本あるき

毎日、日数を数えながら雑記している。
気づくと、一日に一時間以上は雑記する時間に当てている。

それだけ時間があると読書や映画鑑賞が捗るもんで、職場が休業に入ってから3週間 映画はあっと言う間に17本観ていた。
観たら評価はせずに、咀嚼したら感じたことをFilmarksに身勝手に語り始めたりするのが最近は楽しい。


今までの人生にない時間の過ごし方の中で、だらだらとつまみ食いするように、興味の赴くままに本を読んでいる。
集中力が散漫なので読んでいたら一日が終わっていた…みたいなことはないのだけど、生活に本の存在がちゃんとあることに今、かなり救われている。

家にいなさい!stay home期間は、それこそ本をあるくように読んでいる気がする。自分でも何冊読んだかわからないが、まず4月上旬あたりに読んだ装丁周辺の本と最近買った装丁がたまらない本を、どうぞ。

ーーー

平野甲賀〔装丁〕術・好きな本のかたち

前の職場を辞める時、隣の席だったライターの方に、本にこれからも関わりたいのならと、勧めてもらった本。
今でもなお第一線で装丁や雑誌の題字などを手掛ける 平野甲賀さんが語る装丁のことや日々のことが書かれている。

本に対しての姿勢は、もちろん真剣だし良いものをつくる思いは 熱く強いけれど、この方は力の抜き方がうまいなと感じた。 何もかもに完璧なものをつくるというよりかは、 落としどころをつくる。平野さんにしかない感覚で「こんなもんか」と。

実際、平野さんが題字を手がけているものって 本屋さんに面陳されていると自然と目に入ってくるし、 つい手に取ってしまう。 そう思うほどに平野甲賀さんの字は、特別で唯一無二だ。 でも本の中で少し驚いたのと同時に、ものすごく好感が持てた言葉があった。

「低い技術がかえって人々を安心させ、いいコミュニケーションを生むかもしれない」p.85

平野さんは、自費出版に近いようなものにも関わっていて そういう作品についてこんなことを言っていたのだ。

30年以上も前に出された本だけど、全く堅苦しくない。 本は自由で、可能性に満ちていることを再認識させてくれる。
自分にとって大事な本になると思う。 こうやって相手にとって、 ああ読めてよかったと思えるような ちょっと人生動いたかも、と思える本を私も勧めたい。
そして、そんな本をつくっていきたい。


文芸誌「すばる」20年1月号

年明けあたりに買ったこれをまだ読んでいないことを思い出した。 すばる創刊50周年の号なのだけど、特集の一つに 「対談 エディトリアルデザインから見る50年」というのがあって、 これは買わねばと、人生初文芸誌を買ったのだった。

対談する人は、「すばる」のアートディレクターを務める重実生哉さんと 「文藝」のアートディレクターを務める佐藤亜沙美さん。 佐藤さんは元コズフィッシュの方で、 以前から、その新しさを感じる思い切った装丁に魅了されてしまって、 手掛ける作品はチェックするようにしていた。

正直、文芸誌を買う日が来るとは思わなかった。 なんとなく勝手に、 私みたいな年齢層は手に取らないもの、みたいな印象が強くあった。 そもそも手に取ろうとしたことがなかった。
でも、このお二人がアートディレクターに就いたことで 間違いなく若い世代と文芸誌との距離が近づいたと思う。 SNSで「文藝」を買ったという投稿を何度も見たことがある。

すばるも重実さんによってかなりモデルチェンジをとげているけど、 佐藤さんによる文藝の変わりようは異次元だ。完全に違う文芸誌に生まれ変わっている。ここまでできたのは編集部、編集長の意向があったからだと 佐藤さんはおっしゃっていたけれど、それにしてもここまでの変化を生みだしながら、結局相当売れているからすごいの一言だ。

二人の対談の中で、佐藤さんが 「この表紙、よ〜く見るとロゴを含めて全てのフォントの線が滲んだように揺らされていますよね。」 と重実さんに尋ねているところがあって、表紙を見てみたら確かに 「すばる」の文字がかすかに滲んでいる。言われないとわからないほどかすかに。 重実さんは、オフセット印刷のつるっとした仕上がりに味気なさを感じて、 活版印刷で出る滲みを”揺れ”によって、その触感を出したかったのだそうだ。

この話に心底感動してしまって、もうそれだけでその日はいい日になった気がした。 エディトリアルデザイン、DTPについてもっと知りたい。


あげものブルース

「あげものブルース」は自店で見つけてずっと気になっていたものだったけど、袋がかかっていたので中を見ることができなかった。

そしたら、先日地元の本屋さんに袋にかからずそのまま棚にささっていた。扉に油がしみたような印刷、カバー裏には精肉屋さんの紙袋を彷彿させる印刷が施されていて、完全に胸を鷲掴みにされた。絵のタッチもいい。

こんな本と出会えると嬉しくて、それだけでどんなことがあっても励まされてしまう。若干のブックデザインオタクになりつつあるね。
望むところだ!

ーーー

ZINEも買ったり譲ってもらったりしたので、ZINEも別の投稿で書きたい。書く!

こんなに時間があるのだから、私もなにか作ろうか…と思うのだけど。ううむ

装丁の勉強は引き続きやるし、これからも装丁に感動したり、興奮したりしていく。それがここ最近の生きがいでもある。

本に救われる毎日。




いいなと思ったら応援しよう!