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200827【恵比寿の大高級フレンチ】

30年ちょっと生きてきて、自分はこれといった偉業を成し遂げたこともなく、会社の出世コースに乗ることもなく、もう惰性が始まったかもしれない。もう少し、20代を大事に生きていれば良かったと、書店に山積みされた“20代の過ごし方”のワードが飛び交うビジネス書を見て思う。なるべく責任から逃れ、行き着いた先が今の30代なんだよなぁ、最低限、結婚はしたけど。周りを見渡すと、ビジネスの面では同級生が会社を立ち上げたり、本を出版したり、一方では、親の立場になり、子どもの成長をSNSにアップしている様子を毎日のように見ている。

それが普通の30代、と偏見多めで書き出すのは良くないのかもしれないけど、自分が思い描いた30代とは全然違う画が広がっていて、それはそれで良いじゃん。という感じで日々を過ごしている。

恐縮ながら、自分の両親の30代の頃とは違う生き方になってはいるが、今でも両親を尊敬している。自分にとっては、当たり前のことだけど。よくもまあ、こんなしょうもない自分をここまで育ててくれたなぁと。言ってしまえば、自分には弟がいて、弟の方に期待値があるのは言うまでもない。

さてさて、完全に身内なことで進めていくのだが、自分は結婚、入籍してから丸2年が経つ。妻とのお付き合いの頃から計算すると、丸5年も一緒にいる。

よくもまあ、こんなクセがすごくて、大して稼がなく、ルックスもスマートじゃない自分なんかを選んでくれて、妻には感謝しかない。先に書いておくけど、妻も同様に、クセがすごい。

結婚記念日という日を、どう取り扱っていいのか、公式の取扱説明書は持っていないし、ネットにも落ちてないと思うのだが、自分の中で、なにか大事にしている。自分の両親の結婚記念日も何故か覚えているし、その日は簡単で申し訳ないが、LINEメッセージを送っている。自分と両親だけのグループLINEが存在している。弟は入ってないし、妻も入っていない、不思議なLINE。最近は専ら体調管理の報告と、両親がボケ出さないよう、60代に入っても学びの精神を持ってもらうよう、時事ニュースのURLを送ったり、横文字のビジネス用語の解説なんかを送っている。この4月に、父はようやく「テレワーク」という言葉を学んだようだ。そうだろうな、自分が生まれてから30年近く、ずうっとトラックの運転手だったのだから。

結婚記念日、何をどうしたらいいのか分からないが、1周年の昨年は、恵比寿の高級フレンチを食べに行った。恵比寿ガーデンプレイスの奥にある、なにかの要塞のように構える、ジョエル・ロブションだ。

「ジョエル・ロブション、30歳になるまでにデートで行けたらイイ女。」というフレーズをどこかのドラマで見た。ごめん、妻は自分より年上のため、30歳までに行けなかったけど、自分はその時30歳、ギリギリセーフで経験できるぞ。とちょっと鼻を高くして、足を運んだ。

もう、何をどう書けばいいか、これも先に反省しておくのだが、とにかくスゴいの、ジョエル・ロブションって。庶民の自分からしたら。東京カレンダーのアプリはインストールしているけど、掲載しているお店には数えるくらいしか行ってない。それが、ジョエル・ロブションよ、大ジョエル・ロブション。

予約の際に、「結婚記念日でして~。」と伝えて、アニバーサリー的な演出も込めて、結構な緊張をしながら、入店した。

席に案内され、極上の接客から始まる。軽い気持ちで“極上”という言葉を連呼するが、許してほしい。

コースメニューの一覧が渡され、フランス語は読めないから、邦訳されたものに目を通すが、どのような料理が来るのか頭の中で想像できない。

これは、とんでもないところに来てしまった。そして、早々にミネラルウォーターはガス入りかどうか。

“ガス!?”

炭酸のことらしいが、最初は「水にガスはよろしくないでしょう。」と妻に相談してしまった。

もう少し、勉強をしてから来ればよかったと、もう後悔していた。ここでそのレクチャーをするわけではないが、今後、ジョエル・ロブションに行く予定の方は、ネットで調べて、多少の知識を備えていくと、より楽しめると思う、極上の空間を。

ガス入りのミネラルウォーターから始まり、スパークリングワインで乾杯して、前菜から、ご丁寧な説明とともに、ディナーなひとときが始まる。

最初の前菜が来たタイミングで、勇気を振り絞ってスタッフの方に聞いた。

「これ、写真撮っても良いですか。」

「どうぞお撮りください。」

お店によっては、写真撮影は怒られると聞いたことがあった。どこかのラーメン屋さんでもそんなことがあったかもしれない。また、ある女友達は「パンケーキは食べるものではなく、撮るもの。」と迷言を残していたこともあった。

今回は高級フレンチ。その写真を撮って、何に活用するのか分からないが、記念によ、記念に。

自分は馬鹿舌なので、という言葉を枕に置き、どの料理も美味しい。と綴る。ホントに美味しいのよ、説得力、まるでないけど。

2時間以上も時間を掛けて、食事を取る事自体、自分にとっては未体験だったが、ホントに美味しくて、ホントにお腹いっぱいになった。

正直、食べ過ぎた。自分が予約したコースには、チーズ、スイーツ、パンのワゴンが席に来て、好きなものを好きなだけ選べるスタイルだったのだけど、これが美味しくて、言葉が幼稚だが、お代わりを何度もしてしまった、同じスイーツを複数食べてしまった。

気分良く、店を出られると思ったが、会計額を見て、酔いが覚める感じがした。一食に掛ける最高金額だよね、今までの人生において。まあ、ポーカーフェイスで楽天カードをサラッと出したけど。

そのまま、今日は特別な日だ、恵比寿からタクシーで帰ろうかと提案して、雨が降り出した恵比寿を後にした。いや、雨降っているんかぁい。

そんな1年前から少しは成長したと勝手に感じて、今年、結婚記念日2周年も、ジョエル・ロブションに行くことが妻と自分だけの家族会議で決定した。昨年のジョエル・ロブションの経験以降、妻と500円玉貯金を始め、MAX10万円の貯金箱がいい具合に溜まってきたため、それを活かす時だ。

さあ、パリッパリにクリーニングしたシャツを着て、今年も、恵比寿に向かうとしよう。今年は昨年より堂々と振る舞おう。なんたってリピーターだから。多少の無理を強いて、お店を利用するんだけど、何かのネタになれば幸いです。

今年も結婚記念日での利用と店側には伝えてある。ただし、今年はアニバーサリーのホールケーキは止めておいた。持ち帰りで楽しめるんだけど、ホントにお腹いっぱいになって、美味しいはずのケーキがちょっと楽しめなかった経験が昨年ある。そのような経験を活かした楽しみ方ができるなんて、確実に成長していると自分に言い聞かせるが、おそらく恵比寿に着いたら、緊張しだして、猫背になっちゃうんだろうなぁ。

今年の目標は、昨年よりじっくり料理を楽しみ、妻とのひとときを楽しみたいと宣言する。昨年は、結婚記念日というより、ジョエル・ロブションの世界観に浸るだけで、大事な1日が終わってしまったようなものだったから。今年はしっかり楽しもう、ジョエル・ロブション。

妻には直接言えないから、ここに綴るけど、これから先の自分の人生、たぶん、楽しいシーンに出会すことは往々にしてあるかと思う。ただ、妻と過ごす時間を超えることはないかなと思う。言葉に説得力はないし、墓場まで隠し持っていく話も幾つかあるけど、よろしくお願いいたします。まあ、絶対この駄文が妻の目に入ることはないから、心配無用だろう。たぶん。

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