そして伝説へ...セナFINAL①
人生80年時代が到来して久しく、長い人生の中で「7年」という期間の価値は相対的に薄れてきているのかもしれない。しかし、「悔いはない、やり切った」7年があると誇れる人はこれを読んで下さってる皆さんの中でどれくらい居るだろうか。しかも、途方もない努力研鑽を積み上げたとて、必ず結果が出るわけではない世界に身を置いてである
2024.8.10 バーレスクTSのせな(筆者は「せなち」呼びなので、以降は「せなち」も使います)がその2536日に渡るショーダンサー人生にピリオドを打った。その激動の歩みの果てに彼女が見た景色とは。日本一、いや世界一熱い夜だったそんな伝説のイベントを振り返ってみたい
プロローグ
筆者は昨年夏に行われたバースデーイベントにも参戦し、その時の感想をNOTEに記している。そこにせなちとの出会いや、いまや代名詞となった #錦のブラックダイヤモンド というキャッチフレーズの誕生エピソードを記しているので、そちらを読んで頂けると幸いである。
思い返すと、あのバーイベの成功の裏で、せなち自身は、ショーダンサーとしての引き際をどうするべきか、という道を探し始めていたのではないかと推測する。新陳代謝の激しいショービジネスの世界で、長年第一線で活躍してきたからこそ、その引き際を考えることの苦悩はきっと我々が想像する以上のものであろう。
「自身の限界」なのか、「未来を託せる後輩たちの存在」なのか、その心境を測り知ることはできないが、そんなせなちが卒業を決断し発表したのはまだ寒い冬の時期。その時点で「やり切りました」と言い切った彼女。何よりその言葉を聞けた事が嬉しかったのを覚えている。
そこから、紆余曲折あり半年後、夏真っ盛り☀️🌻に卒業イベントとなった訳だが、これはきっと神様が「せなちは夏女なんだから、自分の一番好きな季節に最高のフィナーレを飾りなさい」と少しだけイタズラしたんだと思う。
ということで、お盆前の週末という時期にも関わらず、予約はもちろん即完売(一部の座席は開始1分)!!特に本当のFINAL STAGEとなる3部はTS史上最大の動員(120オーバーと聞きました)を記録することになった。ここからは各部の感想について書いていきたい。
Show回顧 -1部-
SP 〜 PAIN IS BEAUTY
超満員でのっけから最高潮のボルテージに包まれたなか、SPパフォーマンスからショーの幕が上がる。そう、昨年のバーイベで披露され、目撃したお客さん達の中で語り草となった『PAIN IS BEAUTY』のリバイバル
ショーの考察については、前述のNOTEで記し、せなち本人にも「伝えたかったことを読み解いてくれた」とお褒めの言葉をもらったので、そこについては今回は記さない。構成についてもおそらく大幅なリニューアルはなかったと思われる。
ただ一つ、これは完全に個人的な感覚でしかないのだが、昨年はせなちがまだまだひよっこのTSの後輩たちに「私にはまだやり残したことがあるから、何があっても前を向く、ついてきてね」とショーガールとして生き様・覚悟を示してあげる、そんな意図を感じたのに対して、今回は「私はやり切った。これから色々あっても、あなた達ならきっと乗り越えていける、あとは任せたよ」というメッセージのように捉えられた。
特にラストの4人に歩み寄る場面、筆者の席からせなちの表情は見えなかったが、きっと満面の笑みなんだろうな、というのが背中から感じ取れた。
奇しくも、脇を固めた4人はせなちと共にオープニングから苦楽を共にして来た一期生たち。彼女達も辛い事悔しい事を乗り越えて、自身のイベントを成功させ大きく成長してきた。おそらくその傍らにはせなちがそっと寄り添ってあげていたのかもしれない。そんな彼女達が2年で育んできた絆の象徴のようなラストだったと思う。
FCD
そして、本編のスタート。スタート何から来るかとワクワクしてたら、ど直球のFCD🍸。確かにこれしかないなという選択肢だった。せなちの永遠の憧れである、バーレスク東京(現:63エンジェル)いちごちゃんのシグニチャーとも言うべきマティーニ演目。TSに来たことでいちごちゃんと同じ演目のクィーンを務めることができた、そして2年間マティーニを護り続け、今日この日のスターターとして演じることができた、そんな感謝と喜びをマティーニに腰掛ける彼女の満面の笑顔が表していたと思う。
続いて、こころの「逢いたくていま🎤」このチョイスもエモすぎる。
『初めて出会った日のこと 覚えてますか』
その場にいた全ての人が、その歴の長さに関わらずせなちと初めて会った日の出来事に思いを馳せる一瞬だったろう。出会いは様々であれ、今日ここで永遠の存在となるショーダンサーせなを一緒に見送る決意というか一体感がこの曲により強固になったような気がする
SM
そして、次なるクィーン、じあとのSM(Whore)⛓
まさか最後の最後にスイッチVer.をやるとは思わなかった。不敵に笑うジアに背筋が凍った刹那の逆転劇。何度もこのペアでのショーを見届けてきたが、最後にして最高峰をやってのけた。急遽決まったらしいが、ジアの勝負度胸に賭けたせなちの心意気と、それに見事に応えた若きエースに拍手を贈りたい👏
Kill this love
Bチームのラプソディアでステージに上がったせな推しのお客さん、らむのメッセージも粋で心がほっこりした後は、ここもせなちクィーンでの『Kill This Love👹』
見てる側からしてもキルディスのクィーンは身体への負担が相当あると感じられ、せなちの👹を見るのは昨年のバーイベ以来?、それくらいレアな存在。
本人も記憶ないとコメントしていたが、バーレスク界隈の全ての鬼達が憑依した百鬼夜行、キレキレに動き、TSを焼き尽くさんばかりの情熱の炎🔥を燃やしていた。『鬼気迫る』って言葉通りの快演で、それはもう、ここで燃え尽きないかと心配になるばかりに、、、
この後、エモ爆発な映像を挟んで(この映像についての思いはエピローグで記したい)、Bチームの馬ぴょい。また後でも感じることになるのだが、この日のセトリは本当に考え尽くされていた。卒業という湿っぽいのは似合わない、ここはみんなに楽しんでもらうショークラブ、という矜持を感じさせた。その分、Bチームはしんどかったと思うが、見事にせなちの期待に応えていた。みんながせなちの最後の日を忘れられないものにする、という意気込みが感じられた。
Born to be wild
そして1部ラストは、いまや唯一のヤバイ同期現役ダンサーであるみちるちゃんとの『Born to be wild🏍』
なんなら2部や3部のスターターに持ってきてもいいはずなのに、これを1部のラストなんて贅沢すぎ✨️
お互い切磋琢磨し、離れていてもお互いの存在を励みに駆け抜けてきた2人の間には言葉を交わさずとも分かる阿吽の呼吸が確かにあった。ラスト、2人が顔を付き合わせてるシーンに7年という歴史の重みと、みちるちゃんに1日でも長くショーガールを続けて欲しいというせなちの願いが感じ取れた。
しかし、この日のせなちは『本当に満身創痍?』と思えるほどに動きにキレがあった。筆者自身も1番動けてた全盛期(?)って言うのを知らないが、せなちを長く応援してたお客さんにとっては嬉しい誤算だったに違いない。アドレナリンがそうさせたのであっても、最後の日に最高のパフォーマンスができる身体を与えてくれた神様に感謝である😌
この時点でこの夜の成功は確約されたのであるが、ここから更なる高みへ。伝説の夜はまだまだ続くのである
〈後編に続く〉