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年表を眺めながら#1『少年ジャンプと私』

社会学者・田中俊之さんの『<40男>はなぜ嫌われるか』には、今の<40男>たちがどんなふうに社会に影響されてきたかを指摘する箇所がある。僕が歴史に興味を抱くきっかけになった文章だ。

40男が少年だった頃、『週刊少年ジャンプ』が全盛期を迎え、ファミコンによって家庭用ゲーム機が爆発的に普及した。1980年代に人気だった『キン肉マン』や『北斗の拳』、あるいは、1990年代を代表する『ドラゴンボール』や『スラムダンク』の愛読者で、絵が得意だった少年たちは漫画家になりたいと願っていたはずである

『北斗の拳』を模写し、うっすら漫画家に憧れていた僕はこれを読んでドキッとする。もしや、自分が漫画家になりたいと思っていたのは、自分の意思というより時代の空気に影響されたからでは…?と。1995年にジャンプが過去最高の653万部を発行したときも、僕は『スラムダンク』の模写をしていた。

そのうちジャンプも読まなくなり、夢もすっかり忘れていたのだが、それは時代が変わって自分の興味が他に移ったからだ。大学に入って東京に来てからの関心は映画とお笑いだった。そこには、ミニシアターブームやお笑いブームがあった。

僕はこれまで、自分の意思で自分の進む道を決めてきた自覚があった。でもそれは思い上がりで「自分はどうしたいか」という欲求すら、時代の空気に影響されている。

時代の空気はたえず変わっていく。だから「時代の空気に影響されること」をやめなければ、夢を追い続けることはできない。

過去を振り返ってみると、自分がいかに時代に影響されてきたかわかった。「今やるべきはこれだ!」という号令に従い、その都度右往左往してきた自分。そんなとき、哲学者の千葉雅也さんの『勉強の哲学』と出会う。そこに書かれていた「欲望年表」を元に、僕は歴史を学ぶようになっていく。このマガジンでは次回以降、そこで出会った「年表」にまつわる話を書いていきます。

(補遺)
-北斗の拳:1983年から1986年の連載。
-スラムダンク:1990年から1996年に週刊少年ジャンプに連載されていた。


このコラムは「企画でメシを食っていく」4期生の合同コラム企画「コラム街」の1つとして書かれています。他のみんなのリンクはこちら。↓
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