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情報的には増えてない。
髪を切った。
「今年はもう髪を切らないから、限界まで短いボブにしてください。」
身軽になった私は、「良いお年を。」と美容師さんに挨拶をして家路に着いた。
今年はもうお会いしないでしょうということ。良いお年を。11月の一方的な別れの言葉。
母親から、「餃子を焼くから、姉家族の家を通り過ぎたくらいでラインして。」とラインが来た。
私の家は、最寄駅から15分くらい歩いて、姉家族の家につき、そこから5分くらい歩いたところにある。
果たして5分で餃子は焼けるのかと思ったが、案の定焼けてはなかったので、夕食の準備を手伝った。
ご飯を食べながら、母と話をする。
「バァバがすーちゃん(家での呼称)が靴下買ってくれるって何回も母親に言って喜んでいる。」という話を聞いた。
祖母に靴下買うなんて話、したっけな。と思ったら、もうすぐ祖母の誕生日なので、誕生日プレゼント何が欲しい?と聞いたことを思い出した。
多分祖母が、誕生日プレゼントもらえることに嬉しくなりすぎて、靴下をもらえるんだ!って頭に自分ひとりでたどり着いたのだろう。
そして、死ぬまでこの話を、たくさんの人にしてくれて、時には、同じ人に何度もそれを伝えるのだろう。
嬉しくて聞いてほしくて、わかっていても、同じ話何度もしてしまう。
情報的には増えてない。けど、祖母には、同じ話を何度もして欲しいと思った。
友人に「大阪万博行く?」と聞かれた。
そもそもいつやるのかも知らなかった。
万博とは、国を上げて、全国民が、明るい未来を夢見て、それはそれは盛り上がるものだと思っていたが、何も興味がない自分に驚いた。
私にとって未だ万博とは、本の中の世界で、遠い過去のことで、全国民が盛り上がるものだと知識として得ているのに、自分はその舞台にいなかった。
教科書で見た、万博を迎える。
そんな未来が、近づいている。
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