育児はブランクじゃない
世界でトップクラスの女性のマネージャーたちを観察したところ、わたしがこれまで日本のビジネス界で会った女性の先輩たちとは違うタイプだった。同じキャリアウーマンとしてどこが違うだろう。そう考えながら見ていたら、歴然たる違いに気づいた。
それはね、世銀のトップの女性たちは、殆どが結婚をして子育てを終えて復帰していた方々だった。おまけに出産、育児の間は休職ではなく、スパッと仕事を辞めて、まとまった時間、家庭にいた方ばかりだった。
反対に独身で頑張ってキャリアを続けているという女性の数がすごく少ない。一方、日本で私より年齢的にも先輩の女性たちは、みんな独身で仕事一辺倒で頑張っていた。私達の上にはガラスの天井があって、上に上がりたくても上がれない、そこが頑張っている女性たちの悩みでもあった。
そこに女性のキャリアプランニングのやり方の違いがあった。世銀のトップマネジメントの職にある女性たちは、ガラスの天井なんてなんのその、なんなく抜けて管理職としていい仕事を任されている。オフィスに子供や家族の写真を飾って、ウィークエンドは家族とのクオリティタイムを楽しんで、そしてスタッフからも人望があって仕事ができる、ライフ&ファミリーのバランスがいい。
わたしは機会あるごとにトップマネジメントの女性たちに話を聞きに行った。そこで分かったのは、まず彼女たちの武器は、
①仕事に就く前に修めた学問的知識
②出産までに培った実地の経験
③そして子育て中のハウスマネージメント術
それに加えて、
④家にいる間に、自分の専門性を高めるために学習、スクーリングを行って、単位を取る
などしていた。
家にいる間も最新の情報、スキルを取り入れて復帰に備えている。だから子育てが終わって社会に戻る時には、以前よりももっと進んでいる。
まず基礎の学問、実地の経験値、それから最新の学問知識。そして子育てを通して人を育てる力、またハウスマネージメントで身につけたいくつものことを同時にこなすスキルなどが備わる。だから彼女たちは、子育てを終えて社会に復帰した途端、飛び級していく。
「結婚、子育てはキャリアの邪魔」と言っている人たちが聞いたら驚くでしょう。
ソーシャルファシリテーター / 中野裕弓さん
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