五等分の花嫁〜この冬も展示会にいま、会いにゆきます〜
目の前には残り10秒の時限爆弾。切るべきは青のコードか赤のコードか、一か八かの賭けの場面。そんな局面を迎えたことは、私はまだない。
ないんですよ。でも人生100年時代ですしあり得るかもしれません。
これは極端な例ですが、どちらを選ぶのが正解なんでしょう。そういえば名探偵コナンの「時計仕掛けの摩天楼」で蘭姉ちゃんは青の線を切りました。理由?新一と繋がってる赤は切らないんだよ…バロー!!!乙女だね。
でもそれが赤と青だけではなく、もし五種類もあったらどうでしょうか。その中から本当に時間内で一つを選ぶ事が出来ますか。成績表で判断力◎がつきますか?流石に蘭姉ちゃんも迷うんじゃないですかね。これが私が大好きな作品、「五等分の花嫁」の真髄な気がします。
因みに、私の住まいにはブレーカーが四つあります。この夏、換気扇を修理にきてくれた業者さんに、どれが換気扇のブレーカーか聞かれた時、私は正解が分からずに「いっそ全部落としてください。」と伝えました。業者さんの瞳に映る私は、昼ドラでよく見る船越英一郎さんに崖で追い詰められた犯人のようでした。諦めた人間は全部を選び、全部を捨てる。崖を背負ってみて分かったことです。適当に選んだ自分のせいでもし冷蔵庫や冷房が止まってしまうなんて耐えられない、だったらもう全てを自分で終わらせたい、そんな気持ちでした。
結局、この客は思考が停止してると察してもらい、「右から落としていきましょう」と提案してもらいました。結果、この住まいに関する選択肢を放棄して、生殺与奪の権利を他人に握らせたのです。私は愚か者です。ラブコメが三度の飯より好きですが、ここまで優柔不断なのでラブコメの主人公属性はないです。転生しないと無理です。
私は大きな理由もなくただ美少女たちにひたすらモテるハーレムアニメも大好きなのですが、「五等分の花嫁」は、現代のラブコメに一石を投じている様に感じます。
主人公の風太郎がヒロインの五つ子の誰かと結婚することを第一話で明かしているんです。「誰も選ばない」「全員選ぶ」というラブコメ的な優しさは無く、あえて一人選ぶ。たまに炎上するやつです。 主人公も一人だけ選ぶ難しさを本人も自覚しながら五人と接していきます。それでも思わせぶりなんですけどね。 私はただのオタクで、ヒロインの顔が良ければ、ハマってしまう悲しきオタクなのです。
「五等分の花嫁」のヒロインは一卵性の五つ子なので顔はみんな一緒。正直顔が一緒だと入り込みづらい気もして、ヒロインたちを好きになれるのか懐疑的に最初は観ていました。が、結果、顔が一緒でもめちゃ萌えられました…!!やったよお母さん!!
頼れるお姉さんなのに、小悪魔な長女。ツンデレがどんどんデレていく次女。クールに見えるけど一途さが胸を打つ三女。常に明るいムードメーカーの四女。真面目すぎる不器用の五女。 “五人五色”で全員性格が違うのです。どうしてもアニメは作画や見た目から入りがちですが、ヒロインに魅力があればルックスは関係ない事を証明してくれました。感謝しかないです。
去年、作品が完結する劇場版が公開されて、無事一人のヒロインと結ばれて大円満で終わりました。去年映画の入場特典もあって推しの為に10周以上したのは思い出です。ここまで来るとフィルターが掛かってるかもしれませんが何度も観ても良い作品でした。ちなみに一部のオタクは号泣していましたし、選ばれなかったいわゆる「負けヒロイン」を一番に推す私も館内で静かに男泣きしていました。三玖ゥがんばったね…。
選ばれなかったヒロインたちもそれぞれ自立して新しい道に進んでいく姿は清々しいです。
ここまで綺麗に完結した作品です、流石に新作は望んでも叶うのか…?と思っていたのですが、なんと今年もテレビスペシャル「五等分の花嫁∽」として新作が決定しました!さらに、テレビ放送に先駆けて この夏三週間限定で劇場に帰ってきたのです。もう五つ子に会えないと思っていたので、喜びもひとしお。テレビスペシャルでは、これまでのアニメシリーズでは描かれなかった原作エピソードが映像化され、五つ子姉妹それぞれの知られざる思いが描かれています。なーんだ永遠に映像化いけますね。
オタクらしい事を言うと、映像化は一期、二期、映画ときて今回のテレビスペシャルなのですが、アニメ制作会社がシャフトに変わっています。一期11話をシャフトが担当した事が縁だったそうですが、また違う五つ子の魅力に会えた気がして嬉しかったです。いわゆるシャフト独特の、キャラクターがあごを上げてこちらを見ることで有名な「シャフ度」だったり、カット割りだったり、キャラの色彩が新鮮でした。好きな子が美容室に行って「え?雰囲気違うよね…ちょっと前髪切った?」の感覚。最高じゃないですか。
五つ子の恋愛競争を平等に見せる中で溢れてしまった話がいくつかピックアップされていて、映画では惜しくも負けヒロインとなってしまった推しも大活躍していて満足でした。大優勝は五月ちゃんオタクだと思っています。最後に。オリジナルで他のヒロインでifを描いてくれても全然こちらは幸せなので、どうか…完結してなお、末長くこの作品が続きますように…!一青窈さんのつもりで100年続きますようにと願っています。ハナミズキ。