ナスの煮びたし 夏
36度の炎天下のなかをTheピーズを聞きながら、ちょっと遠くのスーパーまでトロトロ歩く。
日焼け止めは塗った、日傘は差さない。ジリジリと肌が焼けていく感じと、サンダルのストラップで摺れる足の甲の痛さは同じくらいだ。ダラダラと首筋に伝ってくる汗を白いTシャツの袖で拭い、「暑っついな」と小さくつぶやく。
この感じ。この「夏に浸ってる自分」を感じるのがたまらなく気持ちいいのです。
ちょっと遠いスーパーの入口すぐそばにはカットスイカが売っていて、目に入れた瞬間、今すぐにでも口にしたいと食欲と生存本能が黙っていなかった。300円の少々高い出費さえ惜しむことなくカゴに入れる。
次に野菜売り場。ナスが安い!ありがたすぎるぜ、夏。ナスは煮浸しか、夏野菜カレーに入れるのが1番美味しいと思っている私であるが、今回は全部煮浸しにしてしまおうかしら。
煮浸しの中でも好きなレシピがある。しかも、レンジでチンするだけでできてしまうのだから作らないわけがないのです。
ポン酢とゴマ油と覚えてない少しの調味料の中に切ったナスを入れ、レンジで3分くらい。追いゴマしてから大葉を散らし、冷蔵庫で冷やしてしまえば、あっという間の極うまナスの煮びたし完成。
と、ナス売り場でレシピを思い出し、カゴに入れる。(レシピはリンクに貼っとくので作って!)
https://mariegohan.com/3705
お肉売り場に行けば、しゃぶしゃぶ用の豚肉が安い!とりあえず夏は薄い肉を買ってしゃぶしゃぶしとけば最高になるんだからと、カゴに入れる。ポン酢のついでにゴマだれも買っちゃう。ゴマだれってマジで汎用性高いし。
この時点で私は思う、「生活をこなしてるなー」と。
スーパーは1番「今、生活をこなしてるな」と感じられる場所である。ひとり暮らしをしているからなんだろうけど。
この「生活をこなしてる」感じは、俗に言われる「丁寧なくらし」の前提条件なように思う。生活がままならないのに、丁寧なくらしはできるはずがなく、生活をこなした先に、丁寧なくらしがあると思っているからだ。
出汁から味噌汁は作らないし、お菓子も市販で十分である。花を生けたり、観葉植物と暮らしていくことは今の私にとっては困難極まりない。私は300円均一の観葉植物でさえ枯らしてしまう女であるから。
こういう具合で、「丁寧なくらし」には到底及ばないけれど、「生活をこなすくらし」が私にはちょうどよく楽しい。そして、私は「私が生活をこなしてる」ことを感じられることが堪らなく嬉しいのだ。だって、生活がままならないことって長期的に続いたりするから。
このnoteを駅前で人待ちしながら書いている。
今日も暑かった。駅までの道中で、ナスとしゃぶしゃぶ用の豚肉を味噌で炒めるの、良いなと思っちゃったりした。ナスは安いから、煮浸しはまた作ればいいよ。
「生活をこなす」
隣に座った女の人が気持ちよく缶ビールのプルタブを開ける。
アロハシャツを着た大学生がタバコを吸ってる。
生活をこなしていく。1番気持ちよくて楽しい夏だね。明日ナスの煮びたしでも作りますね。