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ブログが稼げない構造的な問題|個性とSEOで苦しんだ日々

「好きなことで、生きていく」というスローガンは2014年にYouTubeのキャッチコピーとして流行った言葉だが、当時若者の自己表現の場として一番身近な存在だったのは、ブログだった。

YouTubeは機材や動画編集の敷居が高かったし、当時のYouTuberという存在は、ヒカキンに代表されるようなメントスコーラ的な意味合いで「面白い」ことをやってナンボな人たちという位置付けだったと思う。

そんな中で、ブログは特別な機材も必要なく、文章さえ書ければ始められる手軽な表現媒体として、当時の大学生を中心に大きな盛り上がりを起こしていた。

僕自身、大学を卒業する頃にはそのブームもだいぶ終わりかけていたのだが、先輩に音楽ブログを一緒にやらないかと誘われたのがきっかけで、自分も「ブログ」という世界に興味を持った。このエピソードは、下記の自己紹介記事にも書いた通り。

しかし、2024年の今、当時のブログの勢いは見る影もない。当時イケイケで活動していたプロブロガー達の多くはネットの世界から消えていたり、今もYouTubeなどで活動していても、当時ほどの勢いはまるでない。

「ブログ オワコン」という現実

「ブログ オワコン」というキーワードで検索してみると、興味深い現象に出会う。タイトルには「オワコン」という言葉が踊っているのに、内容を読むと「まだまだブログには将来性が溢れている」といった趣旨の記事ばかりだ。

より露骨なものだと「ブログはオワコンじゃない!〇〇〇〇ブロガーの戦略を云々」という記事が検索順位の上位に並ぶ。これらは全て、「ブログ オワコン」という検索需要を狙ったSEO対策の結果だ。皮肉なことに、このSEO対策された記事の群れこそが、ブログ文化の「オワコン」化を如実に物語っている

現在のブログ界隈

最近、Xでブログ関連の情報を見ていると、その変質ぶりに愕然とする。初心者ブロガーやブログを始めてみようという人たちの層が、かつてとは大きく変わっているのだ。

多くが20代後半以降の社会人としてある程度落ち着いてきた年齢層の人たちで、50代の人も数多く目にする。少なくとも2010年代に目にしてた20代前半のような人は見る影もない。

  • 給料が上がらないから副業収入として

  • 将来への不安から資産を作る手段として

  • 会社を退職したから収入源として

だいたいのブログを始める理由はこういったもので、とにかく稼ぐことがブログの第一目標になっている。

「ブログの先生」と名乗る人たちの生放送を覗いてみても、視聴者からの質問は「中古ドメインと新規ドメインのどちらがいいですか?」「キーワード選定のコツを教えてください」といった、極めて実務的なものばかりだし、何よりこう言っちゃ申し訳ないが、質問者たちの声がやたらと老けている。

当時の自分が憧れたブログの世界で共有していた「自分の言葉で何かを伝えたい」という動機はまるで無さそうだ。

プロブロガーは構造的に無理のある仕事

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