見出し画像

Re:ヤギ部のさおちゃんへ/シナイ半島のヤギと宗教のお話

「ヤギ部のさおちゃんへ」というお決まりの一文から始まるメールを、父は2014年から約3年間も私に送り続けてくれました。3年間もメールを受け取っていたのに、娘の私は父のメールに一切返事をしていませんでした。ここnoteでは、父が送り続けてくれたメールと、それに対する「今の私」からの返信を連載していきます。

詳しくはこちらの記事をお読みください!

|2014/10/21 父からのメール

2014/10/21 10:46
件名 : 山羊の写真その 1

画像1
ヤギ部のさおちゃんへ
さおちゃんもお兄ちゃんもまだ生まれる前、パパがエジプトのシナイ半島で地下水の調査をしていた頃撮った山羊の写真を送ります。シナイ半島は、アフリカ大陸とユーラシア大陸のつなぎ目にある半島です。旧約聖書の出エジプト記にあるモーゼ海を開いて渡ったのがこのシナイ半島で、今はケンカばかりしていますが、もともと同じだったキリスト教とイスラム教が発生した地です。日本人になじみはありませんが、欧米の人たち ( 一神教の人たち ) にとっては非常に聖なる地です。そして山羊は一神教の人たちにとっては、非常に重要な役割です。山羊は乾燥に強いため元々この地にいたと言われています。古代文明の栄えたエジプトでは人類最古の家畜とされています。パパは良く知りませんが、宗教的にも ( キリスト教もイスラム教も ) 山羊は非常に重要な動物で、いろんな儀式に使われています。ファイルが重いようなので、一枚ずつ写真を送ります。まず一枚目は一面砂漠地帯のシナイ半島の山を切り開いた道路で山羊をつれて歩いているベトウィン ( 砂漠の中の遊牧民族 ) の女性です。

|Re:ヤギの写真その1

パパへ
メールありがとう。
ベトウィン、と言う言葉はパパのこのメールで初めて知りました。ヤギたちは繋がれたりもせずに、この女の人について行っているんですか?すごい可愛いです。私もヤギを連れて歩いてみたいけど、きっとベトウィンの人たちと、ヤギの間にはちゃんと絆があるんだよね。不思議。

うちは無宗教なので(そうだよね?)私は宗教のことは全くよくわかりません。でも、大学に入った頃から、やっと世界で起きている争いごとと宗教の関係とか、ちょっとずつわかるようになってきました。パパは若い頃から、そう言う現場で働いてきて、宗教による争いの被害もたくさん見てきたと思います。

宗教って身近だなって思うことがありました。それは、最近できたボーイフレンドのお家が宗教に入っているお家だったことです。(「宗教に入っているお家」という言い方も、何だかしっくりこないけど・・・)
私も最初はびっくりしたし、どうしよう!と思いました。でも別に、私はどうもしませんでした。
でも、時々、もしも、彼と結婚しようという話になったとき、絶対にママに反対されるだろうな〜と想像することがあります。もしかしたらパパも反対するかもしれません。
私は、(パパがよくご存知の通り)人の言うことを聞く娘ではないので、反対されたって全く気にしません。でも、パパやママたちが、一体どんな理由で、宗教を持つ彼との結婚を反対してくるのか。が少し気になります。

では、体に気をつけて。お仕事頑張ってください。

ヤギ部のさおちゃんより